俺のこと非モテな童貞だとバカにしてくるツンデレ幼馴染。 コンビニで避妊具を買ってるのを目撃されたら「処女だから優しくしてね💕」などと言って迫ってくるんだが、もしかして俺のこと大大大好きだったの?

雲川はるさめ

第1話


俺のこと非モテな童貞だとバカにしてくる幼馴染。

コンビニで避妊具を買ってるのを目撃されたら「処女だから優しくしてね?」などと言って迫ってくるんだが、もしかして俺のこと大大大好きだったの?



俺は常日頃から、幼馴染の西野アイリにバカにされていた。保育園の頃からの顔馴染みで、家もすぐ隣で、

よく遊んでいたのだが。

いかんせん、イケ好かない女だった。

俺らは今、

高校二年生なのだが。

たまに一緒に帰ったりする仲なのだが。

会話の中で必ず一度は俺のことをバカにしてくる。


2/14日の帰り道。


「そいえば、女子からバレンタインチョコ、もらった?」


「シンジは昔からモテないから、彼女は

できないだろーね」


「一生童貞くんかもね!」


気に触る一言だが、触れずに、


「おーよ。もらってないよ...」


とだけ答えておいた。




「だよねぇ!あまりにもかわいそうだからさ!

はいこれ!」


そう言いながら幼馴染は

俺に手作りチョコをくれた。


でもな。


「これー、失敗しちゃったの。

分離?しちゃってさぁ、なんかおかしくなっちゃったの!捨てるの勿体ないからあげるだけだからね!そこんとこ、勘違いしないでよね」


「例によって今年も義理だかんね!」


「.....」


一応。


「さ、サンキュ」とだけ

言ったが。


帰宅後、食べたが、あまりうまくなかった。


でもな。


俺はちゃんと、ホワイトデーには

アイリの好きなお菓子、「マカロンの詰め合わせ」を買ってお返しをしたんだ。


さて。


一年後のバレンタインの日のこと。


俺は家から遠く離れたコンビニで避妊具に手をかけていた。


買おうとして、手に取ったその瞬間だった。


背後から聞き慣れた声がした。


「なにに使うのさ?」


「え」


驚き、振り返ると。


やっぱり、幼馴染のアイリだった。


怪訝な顔してる。


「アイリ、おまえ...なんでこんな

家からも学校からも遠いとこにいんだよ?」


「あんたを追いかけてきたのよ...」


「え?」


「義理チョコをあげようと思って、

追いかけてきたの!!全くもー、シンジときたら、

チャリを凄い勢いで飛ばして走るもんだから

見失うかと思っちゃったわよ!」


「一瞬見失ったんだけどさー、」


「ま、コンビニにシンジのマウンテンバイクが止まってたら、追いついたけどね」


そう言いながらも。


アイリはどこか怒った口調だった。


「で、それ、買ってどーすんの?

誰かと使うわけ?」


「あ、えっと....」


俺がもごもごしていると、

学年一のビッチギャルと噂される家がお金持ちな社長令嬢で

金髪の美少女、林ユーコが現れたのだ。


制服から覗く谷間を俺に見せつけ、言うことには。


「私とするんだよね?シンジくん」


「え」


「はぁ!?」とアイリ。


「なんで、あんたがここにいんのよ!!」


「あらー、西野さん!奇遇ね!

私もシンジくん追いかけてきたの」


「私はタクシーで追いかけてきたんだけどね」


「な、なんの用があって!?」


「本命の手作りチョコをあげよーと思って」


じゃん!と林ユーコは

店内にもかかわらず、

トートバッグの中から綺麗にラッピングされた

ハート型の手作りチョコを取り出してみせた。


「これ!シンジくんにあげる!」


「先日は廊下で貧血で倒れた私を、、

重いのに頑張って保健室まで運んでくれて

どうもありがとう...!!」


「私、シンジくんに姫抱っこされて、それからどうも、あなたのこと好きになっちゃったみたいなの...」



「な....!?」


アイリが大声をあげたものだから。

現場は修羅場になりそうだったので、

俺は二人をあわてて店の外に促した。


「義理チョコなんでしょ?

別にシンジくんのこと好きでもないんでしょ?

だったら、身を引きなさいよ」


「な....!私は幼馴染で...!!」


「幼馴染だかなんだか知らないけどね、

知ってんのよ。シンジくんのこと小バカにして

モテないだの、童貞くんだの言ってるの、

こっちは噂で聞いてんのよ!」


アイリは困り顔だった。


俺も困り顔だった。


「シンジくん、西野さんなんてほっといて、

これから私とデートしよ。それで、そのあとはさ、、私の部屋のベッドの上でイチャイチャしよ?」


「ほら、西野さんよりこの大きな胸を揉んでみたいよね?直に触ってみたいよね??」



俺は左腕を林ユーコに掴まれ、

ぐいいっと胸元に左腕を持っていかれた。

ふにゃっと、やわらかい感触が否が応でも

伝わってきた。


「う、うわぁああ...!!」


ここへ来てアイリが泣き出した。

泣きながらチョコを差し出していた。


「ちょ、待ちなさいっっ!シンジ、わたしね、素直になれなかったの!!義理じゃないの!これ、義理じゃない....」


俺にまさかのモテ期が来ていた。


アイリは泣き出すし。


林ユーコは俺をロックオンして離してくれないし。


俺は困り果てて。


二人から逃げることをたった今、決意した。


「わりい。俺、親戚のオバさんの見舞いにこれから

行かなきゃいけないんだ...!」


そう叫び、

林ユーコの束縛を無理矢理解いた。


それから、アイリにハンドタオルを差し出し、

「泣くんじゃねーよ。おまえに涙は似合わねーよ」などと慰めなんがか、煽りなんだか、微妙だけど、そう言ってのけて。


大急ぎ、

マウンテンバイクに跨り、颯爽と病院の方角を目指して走り去ったのでした。



結局俺は。


見舞いに行くなんてのはまっかな嘘で。


かなりの大回りしてからの

帰宅後は。


アイリに大慌て電話した。


「おい、おまえ、今からその本命のチョコ持って家に来い。受け取りたいから」と呼び出した。


「うん、わかった」


電話口の向こうでアイリは素直に頷き。


俺の家に来て。

俺は更に、アイリのやつを部屋にまであげた。



そして。


大回り中に立ち寄った薬局で買った避妊具を見せた。


「あのな、これはだな...ひとりでするときに使うために買おうとしてだな」


「男には男の事情があるわけでだな」


「....」


アイリはしばし無言からの頷き。


「そ、そーなんだ」と小さく言った。

それから困り顔で。


「林ユーコさんとするためじゃなくて?」

「もう何度かしてて、彼女を妊娠させないようにするためじゃなくて?」


「いやいやいや、誤解のないよーに言っとくとだな...

俺はまだ未経験でな...」


「だからこそ、林ユーコのやつは、

今日、俺に告白してきたわけでだな」


「わ、私もまだ初めてだよ!!」


「フッ...」


二人して息巻いてしまい。

おかしくなって二人して笑ったのでした。


この後俺は。


「林ユーコにはちゃんと断るよ。

本命チョコをもらったけど、ちゃんと謝って断るよ」


そう言って、アイリのことを

そっとベッドの上で抱きしめたのでした。




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俺のこと非モテな童貞だとバカにしてくるツンデレ幼馴染。 コンビニで避妊具を買ってるのを目撃されたら「処女だから優しくしてね💕」などと言って迫ってくるんだが、もしかして俺のこと大大大好きだったの? 雲川はるさめ @yukibounokeitai

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