第6話 これがダンジョン作成スキルか!
「マスターよろしいでしょうか?」
「ん?何かあったか?」
不意にガイドが頭の中で語りかけてくる。
「はい。ただいまこちらのダンジョンは何も設置されていないので壁や罠などを設置して頂きたいのですが…」
「なるほど。どうすればいい?」
「まずはメニューと念じてウィンドウを出して頂けますか?」
言われるがままに心の中で念じてみる。
「(メニュー)」
「そうしますと設置という項目を念じて押してもらえますか?」
目の前に3D映像のようにメニュー画面が表示されている。
「(これかな?)」
「そうしましたら、たくさんの選択肢があると思います。手始めに土壁を選択して頂けますか?」
「(土壁…あった!)」
「これで今選択されている状態なので体感したフロアマップを想像して目の前に土壁が現れるイメージをして頂けますか?」
「(土壁って…こんなのかな?)」
頭の中で先ほど歩いた空間を想像すると上から見たように俯瞰図が現れ自分の頭の上が見えた。その目の前に土壁が現れるよう念じると…
「うぉ!?いきなり壁が現れた…」
ガイドの言われた通りに念じていくと目の前に今まで何度も見た土壁が急に現れたのだ。
「今ご説明したのがダンジョン作成の基本になります。こちらを駆使してダンジョンフロアを作って頂きたいのです」
「なるほどな…これは声に出さずに念じれば使えるものだったのか…」
今思えば最初の操作方法はこれをさせたかったのだとわかった。
「(いや、無理だろ!こんなの説明なしに操作できるわけないだろ!やっぱりあのマニュアルは間違っていたんだな…)」
心の中で最初にあった操作方法の一文に悪態をつく。
「大変申し訳ありません。マスターに意思を伝えるのがあれが限界でしたので…」
「ん?てことは、あれはガイドが書いてくれていたのか?」
「左様でございます。マスターの持っているノートは全て私の管轄でございますので記入や更新は私がしております」
「なるほどな…これは嬉しい発見だな」
ここにきて話し相手が出来たのは堂島にとってとても嬉しかった。また、本を読んだり魔法を使ったりとやることが少なかったのでダンジョン作成が増えたことも堂島にとっては嬉しいことであった。
そんなこともあり、堂島の生活はダンジョン作成が中心になり日々ダンジョンの構成を緻密に考えていた。
堂島は幼い頃から手先が器用でプラモデルを自作したり、戦隊ヒーローのベルトを自作したりとモノを1から作るのが大好きであった。そのためこのダンジョンを1から作るのは大の得意であったのだ。
「ふぅ…こんなもんかな?」
「素晴らしいと思います!こんなにも綺麗な配置は見たことがありません!ただ…」
「ん?何か問題があったかな?」
「はい。罠や壁の設置は文句の付け所はないのですがダンジョンということもありモンスターや宝箱の配置もして頂きたいのです」
ダンジョンという割には何か物足りないと感じていたわけだ。
「あぁー!確かに!でもどうやって?」
「はい。メニューウィンドウの真ん中下辺りに配置とあると思います。そちらを念じて頂けますか?」
「(えっと…あった!…配置!)」
またガイドに言われるままに念じてみる。
「そうしましたら、モンスターや宝箱があると思います。そちらを配置して頂ければと…」
「おっけ!でもこの10ptとかは何?お金がかかるの?」
今までに見たことがないポイント表記に不安を覚える。
「いえ、ダンジョンptのことでして目標達成時やダンジョンの成績にもよってptは加算されます。現在のポイントは左上に常に表示されております。」
「あぁー!これか!そういえば目標達成した時になんか貰ってたな!」
「はい。ダンジョンptを多く使いますとより強力なモンスターや高価な宝箱を配置できます。」
以前目標を達成したときに流れた声を思い出していた。
「じゃあ最初は無料のやつで配置してみるか」
そう呟きながら手慣れた様子でモンスターや宝箱を配置していく。すると…
「ん?この青い点はなんだ?」
「はい。こちらは私たちのモンスターになります。今配置されたスライムが出現したのかと…」
配置している時に不意に現れた青い点が疑問に思って聞いてみたが…
「へぇー!これ俺が見に行っても攻撃されない?」
「はい。問題ありません。もし宜しければその場へ転移しますか?」
「え?出来るの!?」
「はい。ダンジョン内でありましたらマスターであれば可能です。先程のフロアマップの中で行きたいところを思い浮かべながら転移と念じてみてください」
同じように頭の中で俯瞰図を思い浮かべてさっき見た青い点のところを思い浮かべながら…
「(…転移!)」
すると周りの景色が急に変わり…
「おぉー!!スライムだ!」
初めて転移したあとでも体に異常はなく簡単に目的地に飛べる便利さに感心しながら見たことない生き物に興奮していた。
「あ。でも忘れてたけどここってダンジョンならこのスライム達は討伐されるんだよね?」
「はい。もし負けてしまえば討伐され、光の粒子になります。そして、一定数になるまで配置した場所からポップアップします」
「そっか…こんなに可愛らしいんだけどなぁ…。あ!じゃあ逆にこのスライム達が入ってきた人を倒したら?」
「同じように光の粒子になります。ただ、ダンジョンの入り口に戻ることになります。ダンジョンの中では基本的に死ぬことはありません」
「そうなんだ…それは良かった…人が死ぬところとか見たくないし…」
「ただ、マスター権限で変更は可能です。死ぬことが可能な設定にするとダンジョンで人が死んだ場合得られるptが多いですからたまにそういう設定のダンジョンもありますね」
「いや、俺は絶対にここでは死人を出さん!」
「それがマスターらしいと思います」
「じゃあ戻るか…(転移!)」
もうダンジョン作成スキルをいとも簡単に使いこなしていた。
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