第5話 ガイドとの出会い

 例のごとく手元のノートが震えだし、ある1ページが光り出す。


「まさかな…?」


光っているページを開くと…


<魔法一覧>

・初級魔法・火魔法(レベル1/0%)


「うわっ!まじか!魔法覚えれちゃったよ…」


 すると本がいきなり砂になって消え去った…


「なるほど、1度覚えたらその本は消えるのか」


 そんなことよりも堂島の心には魔法を使うことしかなかった。


「ここはダメだから…あそこがいいかな」


 住居空間から出て何も無いところで魔法を発動する


「初級魔法・火魔法!」


 すると何も無い空間に魔法陣が浮かび上がった。堂島はワクワクしながらその威力を期待したが…


(…ポッ)


「は?しょぼっ!!なんだよこれ!もっと火炎放射的なのを期待してたわ!!」


 期待してた理想とは違い、可愛らしい火の玉が浮遊しているだけであった。


「あ。でも…」


 そのまま左へ進むと火球はついてきた。


「意外と使い道はありそうだな」


 思わぬ使い道を発見し、ほくほく顔だったが…


「これ、どーやって消すの?いつまでもあるんだが…」


 そんなこと思いながら土の壁に向かって手を振り下ろすと火球が勢いよく飛んでいった。少しだけ壁を削って火球は消滅していた。だが…


(…ズゴゴ)


 目の前の壁が削れていたのに勝手に修復されていく。


「え?これ治るのか?」


 そうだとすれば…


「初級魔法・火魔法!」


 再び火球を出して壁に追突させる。

 そして、魔法一覧を確認すると…


・初級魔法・火魔法(レベル1/2%)


「やっぱり上がるのか!でも同じこと繰り返したら…」


 もう一度火球を出して壁に追突させて確認すると


・初級魔法・火魔法(レベル1/3%)


「なるほど。魔法は同じ場所に魔法を打ち込んでも熟練度は上がるのか、レベルを上げたらどうなるんだろう気になるな…」


 そうして、初めての魔法を手にすることができた堂島はさらに新しい魔法が手に入るのを期待してたくさんの本を読んでいくのであった。


 それからたくさんの本を読んでは寝て、食べて、魔法を使い、また本を読んでと悠々自適な生活を送っていた。

そんな堂島の魔法一覧は劇的に変わっていた。


<魔法一覧>

・初級魔法・火魔法(レベル2/0%)

・初級魔法・水魔法(レベル2/0%)

・初級魔法・土魔法(レベル2/0%)

・初級魔法・光魔法(レベル2/0%)

・初級魔法・闇魔法(レベル2/0%)


 なんと基本魔法5属性全ての初級魔法を本から手に入れていたのであった。更に少しずつ熟練度を上げて全てレベル2まで成長させていた。


「だいぶこの生活にも慣れてきたな…」


 最近になってはこの土の壁の空間にも慣れて意外と楽しく暮らせていた。何より、仕事がないというのはこんなにも気ままに生きれるものだと初めて実感していた。


「そういえば、ここに暮らしている人はいないのかな?」


 あれからどれくらい時間が経ったかわからないが、未だにこの空間に人は帰ってきていない。こんなにたくさんの食料があるからてっきり誰か住んでいると思っていたがなんかの避難所なのだろうか?


「あ。忘れてた!」


 そう言ってノートを拾い上げ目標を確認してみる


<目標>

・ダンジョン1Fの捜索


「最近魔法に夢中になっててこの目標ってやつをやっていなかったなぁ…(ひとまず全部レベル2にしたし捜索してみるか)」


 そんなことを決意し、少量の食料を鞄に詰めて自信満々に出発する。

 まずは右手に進むと100Mぐらい先で土の壁にぶつかり、そのまま左へ進むがこちらも100M先で土の壁にふつかった。

 同じようなことを繰り返しているとあの居住空間に戻ってきていた。


「てことは…大体100M四方の空間ってことか?(あれ?出口はないのか?)」


 そう。ここまで見てきたが出口らしき光や扉なんかは何も無くどこまで歩いても土の壁であった。すると…


(…ピロリン!)


「お?何がきたんだ?」


<目標>

・ダンジョン1Fの捜索…クリア!

→これによりダンジョンpt1000と熟練度120が増加します


「ん?ダンジョンpt?ってなんだ?」

「それは、ダンジョンを作成する上でのポイントになります」

「ん!?誰!?」


 ここしばらく人と会っていないため独り言に返事があったことにすごく動揺した堂島は周囲を警戒した。


「申し遅れて申し訳ありません。私はガイドと申します。マスターの思考とリンクして脳内に語りかけております」

「どういうことだ?」

「今回の目標達成によりダンジョン作成スキルの熟練度が120増加しスキルレベルが2になりましたので、私ガイドがご案内出来るようになったのです」

「なるほど…それは助かるな」

「ありがとうございます。これからマスターのために誠心誠意尽くして参りますので何卒よろしくお願いします」

「おう!よろしくな!」


 これがガイドと堂島の初めてのコンタクトであった。

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