第3話 スキルって何?
「これは…いよいよ現実味が無くなってきたな…」
いきなり手元のノートが震えだし、光り輝き、先程までなかった文章を浮かび上がらせる技術なんて見たことがない。更には声は反響するのに、効果音みたいなものは頭の中で鳴り響いた気がしてならない。
「ドッキリじゃないのかこれ…」
カメラなんてものは見当たらないし、冷静に考えてみれば薄暗いところで撮るドッキリなんてあるか?しかも一般人に。
「じゃあこれって…まさかな(高校生の時美穂がおすすめしてきた小説に似てないか?)」
「あぁー!!何で俺がこんなことに遭わなきゃいけないんだよ!!」
頭の中が混乱し、気持ちのモヤモヤを払拭するように大声をあげる。落ち着くまで10分後…
「これしかないよな…」
その手には1冊のノート。もう手がかりになりそうなものはこれしかなかった。
「とりあえずこの目標っていうのが何になるのか分からないけどやってみるしかないか…」
とりあえずひたすら壁に沿って歩いてみるとそこは…
「お?灯りあんじゃん!」
ゆらゆらと揺れ動くろうそくの火が辺りを少しだけ照らしていた。
近づいてみると、壁をくり抜いたようなところに誰かが住んでいると思われる空間がそこにはあった。
「ベッドも毛布もあるし、人でもいるのかな?」
中は外から見るよりも広く、生活に必要なものは大抵そろっていた。
「とりあえず中を探ってみるか…(もし人がいれば色々と情報聞けばいいしな)」
まずは入り口からすぐ近くの鉄扉をゆっくり開けてみる。
「誰かいますかー?」
声をかけながら開けるも返事はない。ただその部屋は想像していたよりも堂島にとってありがたい部屋だった。
「すげぇ…これ何人分あるんだ?」
その部屋には食料がびっしりと並べられ5人家族が半年は養えるほどの量がそこにはあった。穀物だけでなく、野菜や魚介類、肉類、調味料も豊富にあったのだ。
「ここには何人住んでいるんだ…(とりあえず食料はなんとかなったか)」
心の中で安堵しながら次の部屋へと進むと、隣の部屋は先程と雰囲気が変わり木の扉に掛札がかかっていた。
「これは…文字か?見たことないな…」
「失礼しまーす…」
またしても声をかけながら開けるも返事はない。そして、先程とは違う光景に息を飲むのであった。
「これまたすげぇな…」
そこには大量の本がずらりと所狭しと置かれていて、その全ての文字が先程の掛札と似たような文字で書かれていた。
「ん?これは…日本語だよな?」
堂島の目に止まった1冊は手元のノートと同じ日本語で書かれており、他とは違い1冊だけ展示されガラスの箱に入れらていた。
「えっと…タイトルはスキル?何だそれ?(一応手がかりになるのかな?持っていくか)」
無断でその1冊も取り出し、脇に抱えて次の部屋へと進む。
「ここは…トイレか」
あれから2時間ほどかけて全ての部屋を見たけどとにかくすごい。いくつかは鍵がかかって入れない部屋もあったが大体は捜索し終えてリビングと思われる場所へ戻ってきた。
「はぁ…疲れた…(何部屋あるんだよ?もう途中で数えるの面倒になったくらいだぞ)」
「でもほとんどの部屋見たけど誰もいなかったな…」
残念ながら人が住んでいる形跡はあるのに、誰一人としてこの空間にはいなかったのである。
「お腹すいたな…(勝手に食料取ったら怒るかな?)」
「まぁいいや!腹が減ってはなんちゃらと言うし勝手にいただくとするか!」
堂島は手際よく必要な材料を手に取り料理しこの空間にきて初めての食事を取った。すると…
(…テロリン!)
「ん!?なんだ?今なんか鳴ったよな?」
でも周りを見ても音がなった気配はなく、手元のノートも光っていなかった。
「気のせいか?ふぅ…ご馳走様でした!」
「あぁ…食べた食べた!あ。そういえば…」
そんなことを言いながらさっき見つけた本を開いていく。
<はじめに>
・この本が読めるのは日本人だけだと思う。簡単に自己紹介すると私は佐藤翔太この世界に来てもう30年くらいになる。最初は戸惑い何もわからないことだらけだったがなんとかここまで生き延びた!それもこの世界特有のスキル、魔法が関係してくる。
「え?この世界特有のスキル?魔法?てことは…本当に異世界に転移しちゃったのか?」
そんなことを思うと、簡単に納得できた。何故ならこの状況を説明するのに1番しっくりきたのである。
「まぁ、そうだよな。そんな気は薄々してたんだけどさ…(んー…でもちょっとワクワクするな)」
更に続きを読むと…
<スキルについて>
・ではスキルについて話していきたいと思う。まず、スキルといってもピンときていないと思うが日本で言うと才能、技術にあたる。各々持っているスキルは全く違うもので私が見た中でも多くて5個持っていれば天才と言われていた。そして、スキルは成長する!同じスキルでもレベルという成長具合で強さは変わる。だから、自分が持っているスキルはたくさん使って成長させておくのをおすすめする。
「あれ?俺のスキルってなんだ?(いきなり分かるものなのかな?)」
そんなことを思いながら読み進める。
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