第2話 ダンジョンのはじまり

「えっと…誰かいませんかー?」


 辺りは静かなまま、堂島の声だけが反響していくだけ。


「あれ?(もしかしてまだドッキリ続いてるのか?誰も出てこないし…)」


(バサッ…)


「っ!!」


 急な物音で後ろを振り返るとそこには1冊のノートが。


『堂島よ…お主の望み通りにしておいたぞ…これから存分に好きに生きるが良い…分からないことがあればこのノートを見れば分かるだろう…』

「(やっぱりドッキリはまだ続いてたのか。てか、このノートどっから降ってきたんだ?)」


 上を見上げても空1つ見えない土の壁、先が見えないほど薄暗く何か出そうな雰囲気がびんびんと伝わってくる。


「(そんなことよりも早く仕事行かなきゃ行けないんだからパッパと終わらせますか)」


 ノートをめくってみると…

<マニュアル>

・目標

・操作方法

~~~~~


「マニュアル?(なんのだ?とりあえず1ページずつ見ていくか)」


 恐る恐る1枚めくると…

<目標>

・まだ設定されていません


「は?どういうことだ?(そもそも目標ってなんのだよ?)」


 何度見直しても文字は変わらない。本を上下逆さまにしたり、振ってみたり、閉じてから開き直してみたりしても変わらない。


「(次のページ開いてみるか…)」


<操作方法>

・メニューと念じればなんか出るぞ


「は?これだけ??(どこのブラック上司だよ!それ見とけばあとは出来るからみたいなノリで書いてんじゃねぇよ!!もっと詳しく!ヘルプミー!)」


 ノートのたった1文に若干イラつきながらも落ち着きを取り戻し、念じてみる。

 すると…


「んっ!?なんだこれ?」


 視界には液晶ウィンドウのような表示が出ており、瞬きをしても消えない。


「あれ?これってドッキリだよな…(明らかにおかしい…そもそもここはどこだ?なんで周りが土の壁なんだ?俺の体にICチップでも埋め込まれたのか?)」


 体を触るもおかしいところや傷跡なんかも見られない。さらに言えばもう一度メニューと念じると先程までのウィンドウが消え、視界はクリアな状態になった。


「夢じゃないな…」


 ポツリと呟いた言葉も虚しく、腕をつねっても痛みはあった。


「ははっ…これはなんかの冗談か?」


 現実を受け止めきれずただ呆然とその場に立ち尽くし、目を閉じる。


「(整理しよう。落ち着くんだ。何か解決策はあるはず)」

「えっと…俺は朝早くに家を出て神社に向かってそこで奇妙なダンボールを見つけた。それから助けを呼んでいる声がしたので開いたが辺りが光に包まれおじいちゃんに会った。おじいちゃんに願いを伝えるとまた周りが光に包まれて今ここにいる」


 声に出して確認するも、現状を把握出来ない。そもそも堂島はドッキリだと思っているんだから。


「分からん!!(いくら整理しても俺の頭では理解出来ねぇ!)」

「とりあえずここがどこか探ってみるか」


 すると…


(…ピコンッ!)


「ん?今頭の中で音がした?あ。」


 手に持っていたノートが急に振動して、とある1ページが光っている。そのページを開けてみると…


<目標>

・ダンジョン1Fの捜索


 先程まで書かれていなかった文章がそこにはあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る