第八章の⑭:新聞用紙値上げ交渉の記事を見て③
さてー、知っている人は知っている『押し紙』と言うワードを書いてみたが、知っている人はどれくらいいるのだろう(笑)
前回、新聞社が販売店に卸す部数と販売店が実際に契約して半ばしている部数の乖離について書いたが、その続きを書こう。
で、実際の販売部数より多い部数を押し付けられた販売店は、契約数を増加させるための営業活動を強化したり、ひとまずは部数増に向けて頑張るだろう。だが、当然実際に購入させられる部数との差が簡単に埋まるわけはない。更に購入増を『お願い』され、増やしたのならなおさらだ。
ここで一つの疑問が生じる。『販売店の契約部数が減れば、折り込みチラシの料金も変わるのでは?』・・・当然です。地元の広告主達は販売店が対外的に公表している部数を基に折り込み料金を提示され、それを支払って折り込み広告を入れているのだから。
正直ぶっちゃけると、私が働いていた店舗での事例では『対外的に公表している契約部数は3,000部、しかし実際に販売している部数はそれより少ない』
『だけど、折り込み広告料金は3,000部で広告主に提示していた』のが事実である。
実際の部数は既に20年以上も前なのでうろ覚えなのだが、確か2,000~2,500部前後の契約しか無かったと思う。これもうろ覚えなのだが、新聞社から配達されてきた新聞の内、契約していない部数の数百部以上を毎朝鍵のついた倉庫に放り込み、月に1回か2回程度回収に来るトラックに載せて古紙として回収する作業をさせられていたので・・・私が働いていた会社は比較的大きな販社で古紙を再生しトイレットペーパーなどにリサイクルして販売する部署もあったのでよく覚えている。(ちなみに、この販売されずに廃棄される新聞の事を『残紙』と言います)
少し話が逸れたが、実際の販売部数と対外的に折り込み料金の算定基準として提示する部数が違っているのは当たり前だったと言っておこう。
当時の店長に『これってまずくね?』と聞いた事もあるが、『いいんだよ、こうしなきゃ店がつぶれる』と言われたことは覚えている。実際、販売店の主な収入源は折り込み広告であり、私の働いていたところの様に旅行代理業、産直品販売、その他諸々の新聞販売業でのダメージを吸収できる事業を展開している会社ではなく、ほぼほぼ新聞販売専業だとかなりきついものはあるだろう。
しかも、新聞社本体は代理店として経営する権限をはく奪することもあり、販売店としては代理店契約が消滅しないために色々大変だっただろうとは思う。
また話が逸れたが、対外的に3,000部契約と言っている販売店で実際は2000部しか販売していないとなれば、前回の話で書いたように15万円/月が実際には広告宣伝として活用されず、販売店の懐に入る金額となっているわけである。ただ、実際15万円と言っても新聞社に支払う購入代金は支払わなくてはならないわけで(配達員への給料は配達していないので支払う必要はない)、手元に残る金額などほぼないとみて良いだろうが実際の所は販売店は広告主から折り込み料金だけもらっているわけである。
おかしな話だが、私が実際に接した中でこんな業界であるのは『当時の』事実だったとだけ言っておこう。
今はこんなこと無いですよね?とフォローはしておくが、もし未だにこんなことが続いているのであれば、わざわざ新聞として生産された紙を利用もされずに古紙として回収しリサイクルペーパーにするという、再生コスト(エネルギーや資源)の『ガチの無駄』を大量生産しているわけで。正直、今の新聞業界についても聞きたいなとは思っている。
まぁ、色々書いては見たが『あくまで当時の話』とだけ言っておく。『未だに続いていたとしても俺は知らん』とも言っておきます。
それじゃまた。
とっぴんぱらりのぷう。
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