第六章の④:新聞屋時代の思い出(配達編2)
さて、準備が終わったら配達に出発♪
どの新聞屋さんでも必ず持っているマストアイテムがここで登場します。
『順路帳』ご存じですか?
配達先顧客のリストを配達順にソートし、印刷したものにその家がどこにあるかを記号で記入して冊子にしたものです。
確か、大きさは長形3号(A4三つ折り封筒)位だったろうか?
たくさんの顧客が記載されているので確かソコソコ厚さもあった。(と言っても1cmもなかったはずだが)
そこに書かれているのは顧客の名前が基本。その横に、矢印の記号が手書きで記入されている。
要は、この記号通りに角を曲がったり直進したりすると配達先に到着しますよと言う、いわゆるナビゲーションみたいなもの。
これが無いとどんなベテランでも完璧な配達はできないはず。
詳細は『新聞 順路帳』等で画像検索すると出てくるが超アナログである。
顧客名ぐらいが印刷されて出てくるぐらいで後は全て手書きで作られている。
店によってはフルで手書きの順路帳もあるようだが、現物は見たことが無い。
(ネットでは画像が出てきます調べると面白いですよ)
この順路帳、基本は店が管理し配達の時に持ち出すのだが、新聞の配達は基本的に同じ人が固定でやるので、日によって配るエリアが変わったりという事はまずない。
(但し、数ルートは必ず覚えて代理で配達するときも迷わないように訓練はするので、一応複数のルートは経験する。社員は特にピンチヒッターの役割も重要なのでパートの従業員よりたくさんのルートを配った記憶があります)
なので、順路帳も配達員の個性が光ることがあり、私の様な新入社員の研修で配達しているような場合、順路帳の読み間違えで誤配や配達先を見つけ出せない等のトラブルも最初はあった。
簡単に言うと、個人別にカスタムされたカーナビで、他の人が見ても全くわからないルート案内をされる・・・少し違うか。
例えば、直進する道路がある。二つの角を過ぎて3つ目の角で曲がると言うルートだとする。
1つ目の角があまりにも細い路地で、バイクも通れないような場所だと、角とみなさず記載しないで順路帳を作る従業員もいたりする。
その人は慣れているからいいのだが、例えば病欠で代理の人が配達する場合、曲がる角を間違える、と言うトラブルもある。
ただ、そういった事も一応は引継ぎするのでベテラン同士だと間違うことは少ないのだが、私の様な社員がピンチヒッターで入ったりすると間違える確率はかなり上がる。
だから、私の場合はきっちり極細路地まで順路を見直し順路帳の再編を少なくとも自分が配達する可能性のあるエリアについては行っていた。
無論、従業員への引継ぎも行っていた。
そして、配達についてややこしいのが配達場所・時間の指定である。
『朝五時までに配達して(仕事で朝早く出るから)』とか、『ポストじゃなくて庭の籠に入れて』とか、めんどくさいのである。無論順路帳にはそういったメモも書かれていて、これを無くしたり、汚損すると非常にめんどくさい事になる。
発行自体はプリンターでできるので問題ないのだが、順路記号は手書きなので、再度作り直すという手間暇かかるアナログなのだ。
そして、部数にもよるが大体朝六時前ぐらいにはほぼ配達が終わって、従業員も帰着し解散するが、ここから電話番である。電話番専門のパートさんがいる店もあったが、いない場合は従業員が輪番で見たりもする。これも店によってさまざまである。
前にも書いたが電話番の理由はほぼ不着か誤配(新聞配達ミスで届いていない、汚れていた、破れていた・・・等、たまに『取ってないのに来た、間違えてない?』と言った問い合わせも)である。
何もなければのほほんと7時くらいまで電話番をしていればいいのだが、不着があるとめんどくさい。予備の新聞をバイクに乗せて、連絡のあった家まで行ってお詫びし新聞を手渡しするのだ。
まぁ、大体は『気を付けてねー』くらいで済むのだが、ちょいちょいいるのが、長々クレームをつける客。
こちらは眠いのにひたすら頭を下げてお詫びしなくてはならないという。
通常は朝の時間なので説教を食らっても2~3分位で済むのだが、不着や誤配がちょいちょいある顧客だとやはり説教は長くなる。
大体はお詫びの品という事で食品ラップやタオルなどをもっていってお詫びするのであまり大事にはならないが・・・たまに変な従業員の配達エリアだと、不着・誤配がかなりの頻度で起きていたりすることもあるので、結構謝罪がめんどくさいエリアもある。そういう従業員は大体問題児なのだが、業界自体が慢性的に人手不足なので問題児でもクビを切れない・・・なんてこともしょっちゅうある。
まぁ、そんなこんなで7時くらいまでで一通りの配達業務が終了するわけです。
社員や従業員の勤務形態によってはこの後の労働も少し違いますが、次回は私の昼間の仕事について書いていきます。
それでは
とっぴんぱらりのぷう
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