第六章の③:新聞屋時代の思い出(配達編1)

若干②と被るけど、新聞配達の業務を思い出しながら書いてみます。


新聞屋の朝(未明?深夜?)は早い。

エリアによっては大体午前二時くらいに出勤するので、それまでに起床して身支度を整える。

仕事としては当たり前だけど、遅刻は当然許されないので自然前夜に就寝する時間も早くなる。ただ、私の様に営業や集金と言った業務もフルでこなしていた従業員は前夜に20時ごろまで外回りをしてから帰宅するので、食事やら入浴やら済ませるとどんなに早くても就寝は21時ごろ。

私の場合は店に併設された寮に入寮していたので、起きて階段を下りればすぐ職場・・・と言うありがたくないけど便利な環境であったので、起床時間は凡そ午前1時~1時半の間。大体4時間~4時間半の睡眠時間である。

短いがひどすぎるというほどではないのだが、実際は時間通りに起床できるかが気になって眠りも浅いことが多い。ぶっちゃけ良い環境とはいいがたかった。


出勤すると新聞に折り込みチラシを手作業で挟み込み、バイクや自転車にセットして配達に出る。自転車で配達する人も多かったが社員はバイク(スーパーカブ)を貸与されていたので、体力的にそこまできつくはなかった。

坂の多いエリアであったので、自転車で配達している人は大変だったろうな。


ちなみにこの折込チラシだが、きれいにセットされて入っているのを見たことがある人もいるだろう。チラシは大まかに分けて2種類あります。

地域の量販店などが大量に配布するように各店舗配送で手配する広域チラシ、そして地域の店舗や企業が店舗限定で配布してもらうように店に持ち込むチラシと大雑把に言って2種類。これを朝出勤して来た折り込みチラシセットのパートさんが、大量にさばいてセッティングするのだがこれは実は機械仕掛けである。

簡単に言うと多段に分かれた棚の一つ一つに種類ごとに折り込みチラシをセットして、スイッチオンで機械の下にセットされたチラシがペッと吐き出されてくるのだ。詳しくは『自動丁合機』で検索してみるとすぐに出てくるだろう。

ちなみに、折り込みチラシの一番外側には2つ折りにされてセットされたチラシ全体を挟み込むようになっているチラシが一枚ある。

これは『頭紙(あたまがみ)』と言っていたように思うが、一番外側にあって目立つという事で、チラシ一枚当たりの折り込み単価が一番高いのだ。

と言うわけで朝刊に仕込まれるチラシと言うのは前日に組まれている。

これを一つ一つ手で朝刊に挟み込んでセットしていくのだが、これはこれで手まである。慣れてくれば自分の作業しやすい位置に新聞とチラシを置いてスピーディにできるようになるが、多分配達に出るまででこれが多分一番めんどくさい。

そして、雨が降っているときや降りそうなときは『雨ビ』と呼ばれる水濡れ防止のビニール袋に一部ずつ梱包して積み込むのだが、これもチラシをセットした新聞を投入口から投入するとビニールに包まれて口を熱で圧着した密封状態で吐き出されてくる。『自動包装機』『新聞 雨ビ 機械』等で検索すると出てくるので興味がある人は見てほしい。


大変なのはこの包装機が店舗に一台しかないことが多く、使用順番は配達指定時間(配達時間を●時までと指定する客もいた)の早い人が優先され、後は早い者勝ちという事なので、雨の日にセッティングが遅れると順番待ちでめんどくさくなる。

そして、この雨ビだが・・・滑りやすい。カブの籠や荷台に積み込むのだが、つるつるで滑りやすいビニールの為、もし配達中にこけたり積み込み中に崩れたりすると道端に散らばった新聞を半泣きでかき集めて積みなおすこともしばしばあった。

とりあえず、積み込みが終わるとバイクや自転車で出発するのだが、実は店を出発したばかりの自転車やバイクは『前が見えない』ことが多いのだ。

新聞を配達する際に、積み込み切れないからと部数を減らして積み込むと後で店にとりに戻ることになるので非常にめんどくさい為、何が何でも配達する部数+αを積み込んで出発する。その時前かごと荷台に山のように積むのだが、前かごにはタケノコの皮の様に互い違いに差し込みながら積み込んでいくため、部数が多い人は少なくとも正面視界は完全にふさがれるので、顔を横から出しながら前方確認をして配達するという状況であった。(『タワー』と言っていたと思う)

特に元日の配達は籠の上端から1m以上積みあがって曲芸の様になっているバイクもざらであった・・・らしい。(元日配達は経験していないので伝聞・・・まぁ、実際普段の配達でも曲芸状態になる事はあったが)

そんな積み方をしている+雨ビだとバランス崩してタワーが崩壊することもしばしば。

そうしてじゅんびをしたらいよいよ出発。

長くなるので続きます。


とっぴんぱらりのぷう

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