第四章の⑯:いよいよ最終日・・・クビになります

さて、いよいよ6月末日。

本日をもって勤務終了(と言っても、既に引継ぎは終わらせて特別休暇を貰ってのんびり遊び倒していたわけだが)という事で、色々感慨深く・・・ならん。

何せ転職して1年とちょっとで辞めてくれと言われて、さっさと引継ぎを終わらせてのんびり過ごしていたわけである。

これが10年くらい勤めていればいろいろ思うところもあるのだろうが、流石に1年では愛着がわく暇もなく。

「あー、今日で終わりかー・・・明日から仕事探さなきゃなー」と思っている程度である。

正直、在籍して給料も出ているという立場のため本気で職探しをしていなかったというのもあり、6月末までは遊び倒す!と言うように腹をくくってしまったので、ひたすら物欲とやりたいことをやり倒すこの春であった。

そんなこんなでダラダラ過ごして本日が最終日であるわけだが、そんな日に歯医者と子供の担任との個人面談が予定されているという、意外と最終日にイベント盛りだくさんと言う塩梅になってしまった。

歯医者は本日が最終日。何とか保険証があるうちに全て受けられてよかった。とりあえず歯のメンテナンスを終わらせて次回は10月と言われる。

それまでに国保じゃない保険証になっているといいのだが。

さて、その後は夕方から子供の学校に赴いて担任との個人面談である。

子供が普段どのように過ごしているか、得意なことは何か?苦手なことは何か?日々成長しているか?家での過ごし方はどうか?等を15分ほど担任と一対一で話し合う。

まぁ、特にこれも何事もなく終了。子供が親の見ていないところでしっかり成長しているのが聞けて非常に良かった。

思えば、こういった学校行事系はすべて妻任せであったから、担任との個人面談などは初めてのことである。緊張してしまったが無事終了した。

こう言っためんどくさいことを妻が全部やっていたのだなぁと反省・・・

そんなこんなで、一日がつつがなく終わり、勤務時間である17時半が経過。無事この瞬間無職となる(笑)

それも特に思い入れもなく、仕事から帰宅した妻と外から帰って来た子供のために晩御飯を準備し、酒を用意する。

そして夕食。


「解雇おつかれちゃーん」


という事で、祝杯?を3人であげる。全然喜ばしい話ではないのだが、私はこうやって笑い飛ばす。うじうじ落ち込んでいては次にも勧めなくなると思っているので、「こんなこともあるさー」で笑い飛ばして、アルコールで色んなことを喉の奥に流し込んで明日からの活力とする。

まぁ、そんな夕食も別段イベントもなく終わり自室に戻って、さて・・・


・・・退職にあたって会社に提出書類やこれからの手続きに必要なことを最終確認する。


私と子供の保険証、これは問題ない。既に封筒に入れて返却する準備はできている。

よくよく提出書類を確認すると、退職理由の承諾書を出していないことに気づく。会社が契約している行政書士?に退職後3営業日以内に提出せよとのことだが、完全に忘却の彼方に放り込んでいた。

慌てて書類を確認し、退職理由が「退職勧奨に応諾したため」であることを確認しレターパックに放り込んで封をし、ポストに投函。

まぁ、今日の回収は終わってしまったが明日回収されれば何とかなるだろう。


他にはないか・・・という事で目を皿のようにして退職関係の書類を確認するが、今の所特に見当たらず、一安心。

なんだかんだでドタバタしているようでドタバタしなかった一日もほぼ終わりに近づき、ふと我に返ってこれまでの自分とこれからの自分を考えてみる。

私はこれまで営業マンであること、営業畑の最前線で戦ってきたことを誇りに思っていたし、私の天職は営業であるとも考えていた。営業で戦い続けていけば出世は無理でも、食っていくには困らないだろうとそう思っていた。

だが、実際に退職勧奨と言う初めての経験をして、時間ができたことで立ち止まって考えることができた。


本当に今までのような生き方でよいのかどうか?


今まで、私は春から秋にかけてのシーズン性の強い業界に長くいたことで、その時期は余り家族のレジャーも控えていたが、妻が「これで家族そろって自由に旅行に行ける」と少し複雑な理由で喜んでいる。

それを見るにつけ、私は思う。


「家族を大切にしてきた?俺。」と。


家族のために働くという建前で、家族との時間を犠牲にしすぎていたのではないだろうか?子供も昨年までは学校でたびたび喧嘩をしたりなど問題行動も起こしていたという話を聞いていたが、本日の面談では4月以降そういった傾向はどんどんなくなっていき、落ち着いている。クラスメートとのコミュニケーションもうまくいっていると言った話を担任から聞くにつれ、私が家にいることが多くなった時から家族のコミュニケーションや子供の学校生活などが少しずつ変わってきているような気がしてならない。

もちろん、働かなくてはお金が無くなるので再就職は必須なのだが、家族の中が安定してきている現実と、私自身が今までの営業マンとしての価値観を退職勧奨でぶっ壊されたことにより、本当に今まで見たいな生き方を再びすることで家族は良い方向に進むのか?と言う思いが心の底に沈殿している。

恐らく甘いことを言っているのだろうが、改めて家族と言うものが何かを考えさせられたこの数か月であった。

と言うわけで、これで第四章終わりです。一応第五章として、退職した後の色んな事も少し書いてみます。

それでは。

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