第四章の⑬:MSXと私、レトロゲームにハマる。

さて、ここに来て若い方には何が何だかわからないタイトルかもしれません。

MSXと言うPC規格を覚えている、もしくはご存じでしょうか?

1983年に米マイクロソフト社とアスキー社が共同で立ち上げたホビーパソコンの規格である。一応年表上は1995年松下電器(パナソニック)が最後の機種を出荷終了し、世界からMSX規格はなくなったのだが、当時世界で累計400万台以上販売されていたホビーパソコンとしてはかなり歴史に残る機種である。

その規格は初代である『MSX(MSX1)』『MSX2』『MSX2+』『MSXTurboR』の4種が存在し、電機メーカー各社がそれぞれMSXの名を冠した本体を発売していながら、各社共通の規格でありMSXであればどのメーカーのパソコンであってもソフトが遊べるという画期的なものだった。ただ、最上位機種のTurboRからMSX1の下位互換では遊べないソフトもあったが・・・

当時私は父の仕事の関係で、ソニーの『SMC-777』と言うPCが家に存在し、ゲームもたくさんあった。その代わり1980年代~90年代の子供が夢中になっていたファミコンを始め、ディスクシステム、PCエンジン、メガドライブ、セガサターン、プレイステーション・・・等と言ったゲーム機は一切買ってもらえず、ファミコンを遊びたければ友達の家に入り浸るしかないという子供であった。

当時としてはファミコンを始めとしたゲーム機・PCを一切買ってもらえない子供はいても、PCで遊び倒す環境はあってもゲーム機は一切買ってもらえなかったという子供は珍しかったのではないかと思っている。

まぁ、そのおかげで社会人になった当初からパソコンは当時同年代の若者以上に扱えて、ワープロソフトや表計算ソフトなども使いこなしていたという面においては親に感謝はしている。

ただ、子供の時におもちゃやゲーム機をあまり買ってもらえなかった反動か大人になってからの物欲がすごかったが。

そんな中で恐らく親も教育に役立ちそうで遊ぶこともできるゲーム機をという事で当時そこそこいい値段がしていたMSX2を購入し、私と弟専用のおもちゃにしてくれたわけだ・・・

結局のところ買ってもらったMSXは弟があまり興味を示すことがなかったために私専用の機体となってしまったのだが、95年の生産終了と共に当然市場は萎んでいった。

そのころになると私も高校3年生で、翌年には大学生と言う状況。当然、市場のなくなったゲームPC等に興味は示す事もなくなり部活と遊びで大学生活を満喫、そのまま社会人となってしまった。

それからン十年。現在、この年になって全部ゼロベースになってしまった現在、部屋の片づけで家の片隅に放り込んでいたMSXを引っ張り出して遊んでみた。

当然のことながら、20年以上前の機体なので接触不良によりブツブツゲームが終了する。このMSXと言う規格はファミコンと同じROMカセットとフロッピーディスクが主要なメディアで、私が現在所持しているゲームもほぼロムカセットである。

ファミコン世代なら覚えているだろうが、ロムカセットの接触が悪い時に端子部分にフーフーと息を吹きかけてスロットに差し込んでいたと思う。

任天堂が端子に良くないからNGと公式に発表していたが、20年以上も前当時の子供たちは当たり前のようにフーフーしていた。

そして、そのと息を吹きかけられたロムカセットは当然の如く汚れが積み重なり固着していく。

20年以上ぶりに差し込んだロムカセットがまともに読み込めないのも当然である・・・がそこは現代インターネットの世界。

当時の子供たちが知る由もなかったロムカセットのお手入れ方法はいくらでもネットに転がっていた。

そこで、古びたパソコンで再び遊ぶためにまずは買い物に走る。

無水アルコールと綿棒。これだけである。綿棒をアルコールに浸し、カセットの端子部分をこする、とにかくこする。ごしごしこする。

綿棒が真っ黒になる。これが数十年を経過した汚れのなれの果てである。

綿棒に汚れがつかなくなるまできれいになったところで、綿棒の繊維をエアダスターで吹き飛ばしいざスロットに装着。

電源を入れると綺麗に画面に映る。

MSXは8ビットもしくは16ビット規格のPCでドットも現在の美麗なデータと比較すれば粗いので現在のハイビジョンテレビなどで移すと当然の如くドットが非常に大きい・・・お世辞にも綺麗とは言えない代物ではあるが、それでも過去を懐かしんでしまうには十分すぎた。

自室には親に買ってもらったものと大学時代のバイト仲間から「いらないから」という事でほぼ廃棄寸前であったMSXのゲームソフトが40本程度あり、これからしばらくはロムカセットの掃除もポチポチやっていくこととなるだろう。

それと、もう一つ。

今では信じられないだろうが、昔は安価なメディアと言うことでカセットテープにデータを記録してゲームを販売していた時代もあった。

その時代のテープも数本所持しているので、さっそく再生を・・・と思ったがデータレコーダーと言う専用の機械が無いと再生できない。普通のラジカセでは不可能なので、機体を探すが当然生産しているはずもなく、結局オークションサイトで購入することとなった。

さて、届いたら遊んでみるか・・・続きはまた書きます。ではでは。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る