第一章の③:それでもやっぱりメンタルはやられる

某ジャ●ーズの番組ではないが「正直しんどい」のはやはり事実だった。

元々、事業譲渡が決定し国内販売の売り上げ規模が激減することが分かった瞬間、恐らくリストラ、人員整理の嵐が吹き荒れるであろうことは容易に予測できていたから、年末の事業譲渡発表から面談までの数か月、精神的にはほぼ壊滅していた。

私はもともと抑うつを患って完治していたが、それが自覚できるくらいに再発している。電話ができない、話すのが怖い、定例のWebミーティングで人と話すのが嫌だ・・・

ルートセールスで、取引先を訪問しなければ売り上げにもつなげられない仕事にも関わらず、年明けの新型コロナウイルスによる緊急事態宣言再発令により、訪問を拒否される、動くことができない、仕事のやり方がとことんまで制限される・・・

こういった事情により、精神的にも人と関わるのが怖くなり、テレワークでデスクの前に座ってPCは開いているものの、仕事が手につかず何もできない、電話で仕事をしようにも連絡を取るのが怖い・・・

典型的に精神的に破綻した状況に陥ってしまっていたのだ。

そして、それが自覚できる精神状況にあるだけに余計に悪循環に陥ってしまい、本来外出ができずとも電話やメールで仕事をすればいいものをそれすらとことん億劫で、何も手につかないという状況が3月上旬ごろまで続いた。

2月の末ごろに関西圏は緊急事態宣言が先行解除されようやく仕事がまともにできるぞー!!!と思ったが、そのタイミングで身内の不幸・・・

通夜・葬式への参列などを行い、平常運転に戻ったはいいが自分の精神としてはどうしようもないぐらい千々に乱れていた。人の死だけはどうにもならないとわかってはいても、精神的にはかなり厳しい状況に置かれた。

それが自分が幼いころからかわいがってくれていた祖母の死去となればなおさらである。長らく入院していたが、コロナの影響で見舞いにも行けず死を看取ることもできず、通夜・葬儀とお骨上げに立ち会うことしかできなかった。

コロナに感染した人からすれば仮想すら立ち会えない状況であるため、甘えるなと言われそうだが、精神的な負担は思ったより大きかった・・・

結局3月中も本来すべき仕事がまともに遂行することもできず、甘えと言われるのは承知の上で、廃人のようにデスクに座っているだけという日々が流れた。

そんな中で事業譲渡とそれに伴う人員整理での早期退職勧奨である。もう、いろいろ打ち砕かれた。

現在のところ、仕事をまじめにする気にもなれないのに無理やりアポを取って、人に会うというプレッシャーが胸を締め付けてくるような精神状況の中で仕事をしている。

寧ろ退職勧奨を受けたことで割り切れた部分はあるが、やはり仕事が見つからなかったらどうしよう、家族の面倒を見れるくらいの給料がもらえる仕事に就けるのだろうか・・・?

そんな不安が大波小波として始終自分の胸を締め付けて、肉体的には何ら問題もないのに、精神的な不安や不調で毎日のように胸が締め付けられるような苦しみに襲われている。あれは恐ろしい、何もないのに胸が締め付けられるような苦痛が突然襲ってくる。

逃避行動は良くないとわかっていても、無理やり出張したホテルで酒をあおり、食事は酒の肴で済ませ、体に良くないことが分かっていてもまともな生活を送ることが自分の意志ではどうにも調整しづらい状況まで陥っている。

それが今現在の私の状況・・・

甘えだ、何とかしろという意見はごもっともで反論のしようもないし、私がもっとしっかりしていればここまで精神的に自ら追い込むこともなかったかもしれない。

正直自業自得な部分があるのは認める。ただ、自分ではどうしたくても動けなくなっていたのは事実。

まさかここまで自分の心が脆いとは思わなかった。

コロナが憎い、会社が憎いといえばそれにすべてを擦り付けられるが、そこまで他罰的には生きていたくないという思いもある。

早く自分の心を整えて、自分の精神を安らかに現実をすべて受け入れられるようになりたい・・・仕事が見つかるかはわからないが、落ち着いて生きていけるようになりたいと思う・・・

2021年4月1日・・・退職勧奨がエイプリルフールならどれだけよいか・・・

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