第一章の②:解雇通告を受けてのあれこれ

今回私が受けたのは厳密にいえば解雇通告ではなく、早期退職プログラムの通知だ。

会社都合による人員整理という都合もあり、会社からは退職にあたって色々な条件を提示された。

正直、もし単に辞めてくれと言われて最低限のものしか与えられずに放り出されるのであれば例え退職は覆すことが難しくとも、とことんまで争ってもよかったのだが、あらかじめ退職にあたって最悪のパターンをシミュレーションしていたおかげで、想定していたよりはるかに良い条件が提示された。

私の想定していた最悪のパターンは、翌月末解雇ということで解雇予告通知もなく、勤務期間に合わせた最低限の退職金(1年ちょっとしか勤めていないのでおそらく雀の涙であろう)を貰って放り出されることも覚悟はしていた。

そうなった場合、再就職や生活が一気に困難になることも想定はしていたが、会社側が提示した条件は通常の退職金+数か月分の給与に相当する退職一時金、そして有給買取などわずかしか勤めていない身としては破格の条件が提示された。おまけとして、会社費用負担で再就職支援会社の利用もあっせんしてくれるということもあり、昨今の世情を考えればかなり良い条件であるのは間違いなかった。

それでも、本来であればゴネて残ることを交渉するという方法も取れたのであろうが、私はあえてそうしなかった。

条件が良かったというのもあるが、結局のところゴネて残ったとしても残る椅子には針の筵しか敷かれていないことは明白であったし、外資系である以上本国の方針に反抗しても結局のところ一時的な延命にしかならないであろうことは容易に予測でき、社歴が浅めの私は他の同僚と比較して相当に従業員としての魅力を発揮できない環境である以上、いずれは退職という道しか残っていないと考えたからだ。

それに最悪の条件を想定していて、それよりも破格の条件を提示されたというギャップに助けられたというのもあるだろう。

無理に残るより次を探すほうが「残ったはいいがいつ解雇されるかもしれない、望まない条件での勤務を提示されるかもしれない」と言う不安に苛まれながら勤務するより仮に望まない条件での転職でも、自分で探す立場にあるほうが精神衛生上はるかに良いと考えたことも受諾の要因となった。

そして何より妻が「まぁ、世の中もっと悪い条件で解雇される人もいるんだからましなんじゃない、のんびり次を探しな」と言ってくれたこともあり即断に近い形で受諾した。

正直なところ、あらかじめ覚悟を決めていたこと、条件が良かったこと、そして何より妻の後押しがあったこと、がなければ相当に悩んでいたことだろうと思える。

会社側も破格の条件を出してきたということは、さっさと決めてほしいということもあっただろうし、逆に色んな面で不利益を被らないとも限らなかった。その意味ではほかに結論はなかったのだろうなぁ・・・と考えている。

まぁ、いずれにしろ退職の意思を固めて、会社から退職に同意する旨の書類が後日郵送されてきたが、即日サインして返送した。

無論、後ほどもめないようにすることと証拠を残しておくためにWeb面談の様子は録画しておいた。万が一を考えてね。

人は良い人が多い会社なのだが、外資系である以上本国の意向が優先されるので、最低限必要と考えたからだ。

これから転職する方や退職する方はぜひとも面談の様子は録画や録音しておくことをお勧めする。個人でも購入できる隠しカメラや、ボイスレコーダーは比較的安価に手に入るので、必ず忍ばせておくとよい・・・

まぁ、そんなこんなで読者様はもっと悪い環境での解雇を想像されていたかもしれないが、思ったより良い条件であったという話でした。最悪の状況を想定していたほうが精神衛生上ははるかにましなのは間違いないなと実感した次第でした。

次回へ続く。

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