懐中時計が欲しかった
週末当日。なんだよ、週末当日って。
まぁ、今日はあれだ。出かける日だ。
今更なのだが、何処に出掛けるかなんてのは聞いておらず。
そういやなんだが、用事があっていけないなんてほざいていたはずの伊藤は
「あ、もう用事すませたから」と言って結局遊びに来たのだった。
なんだよこのイケメンは。う~ん、なんとかなるなら俺に相談しなくていいのでは?
それにあの時はどうやっても無理みたいな感じに言ってたし。
俺を困らせたかったのか。普通に予定が変わったのか。
伊藤が来ても来なくても大して変わりのない俺にとって、そんなことはどちらでもいいことであるが。
そして、待ち合わせ場所は学校である。朝早くだ。
つまり学校に着くまではただ時間の早い通学である。眠いことこの上ない。
だるく重たい体をゆさゆさゆすりながら歩く。冬だったら死んでたな俺。
そんなしょうもないことを考えながら俺は歩く。とことことこ。かたかたかた。
学校の校門が見えるころにはなんだか眠気はどうにかなって、体の重さがだけがただ残り、頭すっきり体ダルダルだ。
自分は遅刻は好きではないがそれ以上に早起きが苦手であり、嫌いである。
そのため今日もと言っては何だが、時間はギリギリになっているはずである。
時計を見ると、成程ちょうどいい時間である。さすが俺。時間調整完璧なのな。
時計と言われれば腕時計を想像するかもしれないが自分は少し違う。
いや、違うわけではないのだが、腕時計であることには間違いはないが。
俺の腕時計は所謂バンドをとめる所のわっか。わかるだろうか。バンドの余った所が邪魔にならないようにするわっかである。もちろん金属製なわけはなく、ビニルの製品であるので劣化で切れてしまったのだ。
これでは腕に巻けない、いや、巻けない訳ではないのだが、バンドが邪魔になってしまうのだった。しかしまぁ、動くことは動くし、使わないのはもったいない。
そこで自分はポケットに入れて使うことにしたのだ。
役割はほぼ懐中時計である。
実際懐中時計で困ることなどないので一向にかまわない。ウェルカムである。
元々腕に何かを巻いておくと何だか気持ちが悪かったのでむしろプラスである。
え?
なんで腕時計を買ったかって?一回調べてみ。
懐中時計で安いのってそうそうないから。あったらむしろ教えて欲しいものだ。
女性用はまだ見かけるがな。う~ん。
妹は断然腕時計派らしい。二人は走るときに見やすいからいいんだと。
そしてデジタル派だとか。ストップウォッチが良いらしいな。
俺は勿論アナログだ。ぱっと見た時の分かりやすさが肝だな。
しっかしなぁ、普段時間を気にしない俺にとってどっちでもいいことではあるんだが、こうやって待ち合わせなるものをしてみたりすると中々どうして、便利じゃあないか。こうやって時間を確認できるというのは感慨深いものがある。
そんなことはさて置き、さて置くには語りすぎたかもしれないが、何だかんだでこの時間確認は全く意味をなさなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます