第15話 真倉の進路

退院した次の日、休むかどうか悩んだが学校に行った。ユズは休みでホッとした。連絡はしていない。クソ担任には退院した次の日にはユズの見舞いの嫌味と受験する事を言いにいった。

「へー真倉受験すんのね。了解」

「…軽くないですか?なんていうかもっと聞くもんなんじゃ」

「真倉が自分で決めたんだろ?俺は真倉を信じてるからな」

すごい良いことドヤ顔で言ってるけど先生多分めんどくさいだけだ。

「で、どこ行きたいんだ?」

「寮がある所でなるべく頭が良い高校です。公立でも私立でもどっちでも。できれば理系で」

「じゃあ今簡単に絞り込むか。寮がある高校で良い所ね…」

先生はパソコンで検索し始める。

「おー理系、寮ありのトップはやっぱハーレスだな。お前目指してみるか?」

無理だと分かっていていう先生が憎い。

「ハーレスは…サガは無理でも俺の筆記成績で入れるんですか?」

先生の顔がパソコンから俺の目にいく。

「真倉の筆記成績だったら余裕って言いたいが難しいな。ぶっちゃけレベルが違いすぎる」

「筆記まで高いんですか?」

「高校中退した先生がいうんだから間違いねぇよ」

そうか先生中退したんだ。え?中退?

「先生ハーレス出身なんですか⁈」

「中退な」

「何で⁈えっ⁈先生2種ですよね⁈なんで入れたんですか⁈意味がわかんないです!」

「ちょっとここ職員室ですよ!叫ぶなら空き教室でお願いしますね!」

数学の先生に怒られ2人で放課後の教室にはいる。

「えっ⁈先生2種ですよね⁉︎」

「2回も言うなよ!今まで実は凄い天才感出してきたんが台無しじゃなぇか!」

「なんで入れたんですか⁈教えて下さい!願書どこで手に入れたんですか⁈ていうか卒業生なら推薦書手に入りますよね!ください!」

2種で入れた例は聞いたことが無い。そもそも入試制度も非公表だ。実は、ボウリングの後調べた。ハーレス。別名一種校。国のサガ開発トップ校で、初等部から大学まである超一流名門校。実態は謎に包まれていて、進路実績や成績評価などは偏差値全て非公表。ここを卒業すれば人生は安泰と言われていて、今殆どのお偉いさんはハーレス出身らしい。

そのハーレスを受験するにはまず推薦書が必要になる。卒業生の人が学校に推薦書を取りに行く形らしい。しかし兄弟が卒業していても1世帯1枚までで、自分の子どもを推薦することはできない。つまり家同士の協力か、コネでしかない。闇オークションで取引されているらしいが良い家の推薦書は1000万を超えるという噂だ。

「そんな騒ぐなよ。先生昨日アケミちゃんに振られてナーバスなの。あと中退って言ってんだろ。卒業してないの」

OLかよ。てかマジで謎だ。こんな社会の底辺感溢れる先生が?

「なんで…」

「まぁ初等部からいたから」

へー。初等部かぁ。ならまぁエスカレーターだし。

「はっ⁈初等部⁈先生って何者⁈」

「そう。実は俺が…サーシャ様の祝福者だ!」

「そうゆうのいいんで」

「可愛くねぇなあ」

「本当いいんで!早く教えてください!」

「分かったよ!俺はボンボンなんだよ!イケメンで金持ちのナイスミドルなんだよ!それなのに!昨日アケミちゃんに振られた!あっこれがアケミちゃん。いや実は先生尻派なんだよね…」

見せんなよ。大体俺の頭の中はそれどころじゃない。

「ていうか!推薦書!下さい!」

「実は推薦書は1家1枚しか渡せない決まりでさ。もうマツリに渡しちゃったのよ。いやぁあそこの親凄いよな、俺の経歴調べたんだぜ。一歩遅かったな」

マツリ⁈ハーレス受験するのか⁈いやそれよりも

「他に知り合いいないんですか⁈」

「だから俺は中退なの。中退。知り合いなんているわけないだろ」

「…なんで中退したんですか?」

「なんとなく?」

「真剣な話をしているんです」

「冗談だよ。普通に成績悪くて留年して中退だよ。ハーレスはなサガはともかく筆記のレベルも桁違いで中3で高3の内容やるからな。できない奴は容赦なくぶっ潰される。サガ筆記校内1位のマツリでも正直難しい。悪い事は言わん。やめておけ」

レベル7でもうすぐ一種のマツリでもついていけるか分からない?じゃあレベル3の俺じゃ絶対無理だ。

「入試方法はどんなのですか…?」

「だからやめとけって」

「もしもの話ですよ。推薦書なんてないし聞くだけです。見たことあるんですよね?」

「普通にサガ判定と筆記と内申書で決まるよ。家柄によってシートが変わるとか言われてるが嘘。良くも悪くも実力次第ってとこだ」

「そうなんですか…」

「真倉のだったら東都の西海高校がいいと思うぞ。筆記重視だし将来の夢は医者だろ?あの学校は男子校だしユズみたいな彼女がいたらきっと羨ましがられるぞ!」

「先生なんか誤解してません?ユズとはそんな関係じゃないんです」

「いやぁお前も苦労するよな。よりによってクラスのマドンナ」

「だから違いますって!」

「まぁまぁそう卑屈になるな。西海高校の推薦状用意しとくから」

先生はそう言って出ていった。

週が明けて月曜日、ユズは元気に登校してきた。

「ユズちゃん大丈夫?」

複数の女子が取り囲む。そりゃそうだ。水曜日にあんなことがあって木曜は俺が入院。ユズが見舞いに行ったら金曜日にユズは学校を休んだ。土日の間にクラスメイトの妄想は膨らんだのかよくわからないが俺の下駄箱には怪文書が貼られていた。

「全然大丈夫だよ!超元気!」

ユズは今日もハイテンションだ。 

「真倉?おーい見えてる?おはよう!」

「ユズ…おはよ」

またクラスの視線が痛い。ていうかあんな事あったあとによく普通に挨拶できんな。あれもうほぼお互い告白しあっただろ。確定だろ。

「真倉?顔怖いよ!笑って!」

ユズがそう言って変顔する。なんでコイツこの状況で変顔できんだ。てか

「ブッサ…」

「ちょっと真倉そんな笑わないでよ!私変顔しても結構可愛い方だって言われるよ!」

クラスの人はみんな俺らの仲が悪くなっているのを期待していたみたいで、あーあと言った感じで離れていく。

1週間2週間と経つにつれみんな俺とユズのことを見なくなっていった。なんだ最初からこうすればよかった。そしたらもっとユズと一緒にいれたのに。

いつのまにかお昼はユズと白川さんと俺で食べるようになっていった。

「なぁ白川さん。白川さんがいつも飲んでるそのサプリ何?」

「これは集中強化サプリですよ。後最近よく食べているのは緑サガ向上グミと言って緑サガ専用のグミです」

白川さんが芋虫型のグミを笑いながらユズと俺に見せてユズは大爆笑してる。てかやっぱ白川さんも変人だよな。ユズの周りって本当変な奴しかいない。

「そういやすっかり忘れてたけどさ。夏休み一回教室でマツリらしき人がいてその後ユズが来たんだけどみたりした?」

「んー見てないけどいつの話?」

ユズを抱きしめた日とは言えなくて話を逸らす。

「いやないなら別にいい。いつになったらくんのかな?」

「修学旅行は一緒に行けるといいな。真倉とマツリとマイちゃんと私で自由行動の班出しちゃったし」

「待って俺それ聞いてないんだけど⁈いつ出したんだよ⁈」

「真倉が休んでた日。ねーマイちゃん」

「はい。2人で出しに行きました」

「聞いてない聞いてない」

「よかったね真倉。真倉の好きなハーレムだよ!」

ユズはハーレムを検索したのかドヤ顔で言う。クラスの女子の気持ち悪って目線と、男子の殺気を感じる。やっぱ高校受験決めてよかった。俺このままじゃいつか後ろを刺される。

「修学旅行めちゃくちゃ楽しみ!」

「ユズくらいだよそんな余裕あんの…俺らは先にサガ判定があるからそればっかだよ。あー異世界転生したい。チートで」

「ですよね…私またレベル6でギリ三種判定だったらって考えると…」

「2人なら大丈夫だって!2人ともエスカレーターだし受験に関係ないじゃん!それより自由行動の行き先決めよ!」

実はユズには受験するって伝えていない。心配されたくないし。

「ていうかユズはサガ判定ないから良いけど中間テストはあるぞ。全教科赤点だったら修学旅行行けるの?」

「そんなのいけるに決まってんじゃん!」

「小六の修学旅行はテスト30点以下だった人は修学旅行の自由行動なしでしたよね…」

ユズの顔から笑顔が消える。

「私今回修学旅行で頭いっぱいで全然勉強してない…」

「ユズ新学期の実力テスト結果は?」

「3教科赤点だった…」

「ユズちゃん。私サガ判定終わったら中間テストの勉強見てあげますよ。国語と社会限定ですが…」

白川さんが俺の方をチラッとみながらいう。そりゃ俺は理科と数学は得意だけど受験勉強があるからあんまり土日は潰されたくない。願書が12月で受験は1月にある。もうあと4ヶ月もない。

「じゃあサガ判定が金曜日に終わるから真倉の家でみんなで勉強会しよ!」

「ちょっと待てなんで俺の家なんだ⁈」

「だってぇカンナちゃんにも会いたいしー。真倉、全然会わせてくれないんだもん」

「勉強ならお前の家が一番だろ!あんなに広いんだし、大体名取さんに教えてもらえるだろ!」

「あのー名取さんとかカンナちゃんって誰ですか?」

あっミスった。白川さんは知らないんだった。

「カンナは俺の妹で、名取さんはその…あの…ユズのお母さん?ほらクッキー貰っただろ。あれに名前が書いていて…」

だいぶ無理あるな。てかユズ嘘だろみたいな顔してないでフォローしろよ!流石に無理あるよ!ユズとアイコンタクトで会話する。

「苗字が違う…ユズちゃん…いろんな苦労があったんですね…」

「あっうん!まぁね!」

よかった。よくわかんないけど納得してくれた。

「でも確かにユズちゃん家凄く綺麗だったし、クッキー最高でした!私もユズさん家で勉強したいです!」

「えっ⁈いやぁ私の家はちょっと…カラオケとかで勉強は?みんな楽しいし!」

今度はユズが俺にアイコンタクトを送ってくる。てか、カラオケって全く勉強する気ないな。

「ユズちゃんの家行きたいです…!ダメ…ですか?」

「マイちゃん…!」

白川さんがユズの両手を握って2人の世界が出来上がる。今のうちにトイレ行っとこ。

あっという間に日は流れ、金曜のサガ判定だ。佐藤さんが送ってくれたサプリを飲んで学校に向かう。

なんか教室がやけにシーンとしている。なんだ?

「真倉ー!廊下でに突っ立ってないで…」

ユズは一瞬固まるがすぐ笑顔になって

「マツリ!おはよう!」

とやっぱりハイテンションで挨拶する。ユズの一言でクラスは少しザワザワしたず。やっぱりユズはクラスのムードメーカーだ。マツリは無視して鏡で自分の顔をみている。白川さんがマツリは良い子だって感時のこといってたけどあれ良い子か?いやそれよりサガ判定だ。集中しよう。

「ユズ!俺レベル4に上がった!」

「おぉ真倉やったじゃん!」

「私はやっぱりレベル6…3種でした…」

「白川さんそんな落ち込まないでよ…俺なんて上がってレベル4…平均以下だよ…」

「ちょっとふたりとも空気重いよー」

ユズが笑いながらいう。

「ていうかあの取り巻きたち復活したんだな。マツリが帰ってきた瞬間、みんなあっちに行きやがって」

まぁでも確かにそうか。マツリはさっきのサ開判定でレベル9の一種と判定が出た。この学校では初めての快挙に先生はクラスみんなの分のジュースまで買いに行った。たった2.3ヶ月前までレベル7の2種だったのにすごい進歩だ。学校に来てなかったのも何処かの強化合宿に行っていたのかもしれない。

「マツリ!修学旅行来るよね?一緒の班で申請しておいたよ!後プールではごめんね?私の親ってば過保護でさ…」

ユズはいつのまにマツリが座る席の前で喋っている。クラスみんなの視線と空気が2人に注がれている。マツリは黙ったままだ。

「…という訳で本当ごめんね。仲直りしよ?」

ユズが手を差し出す。

「私も…悪かったわよ」

マツリがそう言った瞬間ユズはマツリに抱きつく。

マツリめっちゃ嫌そう。てか急に来たとか絶対名取さん何かしたとしか思えない。

ユズが抱きついたおかげか、クラス中の空気が緩み先生が買ってきたジュースでマツリの一種をお祝いした。

日曜日の朝、また俺は6時に起きた。別にユズの家に勉強しに行くからじゃない。その為に起きたのではないけれど一応予習をしておく。まぁ集合時間13時なんだけど。一応。

バスで行くユズの家は初めてだ。外庭の門は開いていて直接屋敷のピンポンを押す。ユズが直接少し気まずそうに出てきた。

「あっユズちゃんこんにちは!これ手土産のマカロン。パルシェですよ!」

「うわぁ!ありがとう!私パルシェのマカロン大好き!マイちゃんはどこが一番すき?」

「私はですねぇ…」

女子の世界だ。暑いし家入りたい…。

「今日ユズちゃんの新しいお母さんは?」

白川さんが小声でユズに聞く。ユズは俺を恨めしそうに見る。悪かったと思ってるよ。

「今日はねお母さんいないんだ。仕事なの」

「それは残念。一緒にスイーツ談義しようと思ったんですけど」

「それより暑かったでしょ?早く入って」

やっと入れた。…何度見ても豪華で生活感のない家だ。白川さんも2回目のはずなのにものすごく感動している。

「私の部屋こっちだからきて」

色々ありすぎて忘れていたけどユズの部屋初めてだ。今更だけどなんか緊張する。

「わぁ凄い。お姫様みたいですね!」

白川さんが感動するのも無理はない。フカフカの絨毯に白で統一された家具が並んでて古都のスイートルームを思い出す。

「真倉早くこっちのちゃぶ台来てよ!あとレディーの部屋あんまジロジロ見ないで!」

「ちゃぶ台じゃなくてガラステーブルって言えよ!世界観なくなるだろ!」

透明なガラス机に教科書を広げる。ユズは初っ端から落書きをしている。全くもってやる気が無さそうだ。

「あー疲れた」

「まだ15分しかたってねぇよ!」

「ねー真倉、暗記パンだして」

「んなもんない!てかユズそこの問」

「あっ!私なんか今チキン食べたい」

「話聞けよ!」

白川さんはクスクス笑っている。他人から見た俺らの関係ってどんなんなんだろうか。恋人?親友?幼馴染?名前がつけれる関係が羨ましい。

「私ジュースとお菓子下から持ってくるよ」

「ありがと」

「ありがとうございます」

ユズが下に降りていく。チャンスだ。

「あのさ白川さんから見た…俺とユズ…どう思う?」

実際言うと死ぬほど恥ずかしいなこれ。

「どうって?幼馴染じゃないんですか?」

名前がつけられる関係とかカッコつけたさっきの自分をぶん殴りたい。

「そうですよね」

「どうしました?急に敬語使ってきて」

どうしようこれはやらかした。何も言えない。

「あっもしかして…」

ちょっと待って。そんな先走らないで。

「お待たせー。シュークリームあったから持ってきたよー」

「ユズちゃん、私用事思い出したから帰りますね」

「えっ?まだ30分も経ってないよ?」

「本当ごめんなさい。帰らないといけなくて…」

頼むからわざとらしくこっちをチラチラ見ないでほしい。

「そっかぁ。じゃあ玄関まで送るよ」

「ここでいいですよ。じゃあ真倉君もまたね」

またねじゃないよ。ユズが不思議そうに白川さんを見送った。しばらくノートとシャーペンの音だけが部屋に流れる。

「そこの答え違う」

「ん?あぁこれね!ありがとう」

ユズの頭が少し近づいて良い匂いがする。どのシャンプーなんだろ。ヘアカラー毎日塗ってるのに痛まないのかな。

「…なんだけどここ分かる?」

「え?ごめん聞いてなかった」

「ちょっと真倉、真剣にやる気ある?修学旅行がかかってるんだよ!」

ユズは真剣に言うが見た感じ問2間違えてる。

「修学旅行そんな楽しみ?」

「うん!初めてだからね!」

「はじめて?小学生の時は?」

「寝てた。ぐっすりと」

「えっ寝過ごしたの⁈それでいけなくなった⁈」

「起きた時本当びっくりした」

ユズならあり得る。にしてもねてたって。

「そんな笑う?」

ツボに入ってしまった。本当に昔から変わらない。名前と青い髪の毛と色んな大人たちと許嫁がいる以外はシグレのまんまだ。

「あのさ古都に行った時…その両親亡くなったっての知らなくてごめん」

ずっと言えなかった言葉がやっと言えた。

「私両親の記憶ないし別にいいよ。それよりここ寒くない?冷房何度なんだろ」

ユズはさらりとながす。

「よくないだろ。ごめん」

「本当にいいんだって」

ユズはケラケラ笑う。それは愛想笑いとかじゃなくて日常の笑ってる顔だ。

「…今日お手伝いさんとか護衛の人は?」

「実はみんな隠れてもらってる」

「はっ⁈マジで⁈」

「もうマイちゃん帰ったしもうみんな仕事に戻ってるんじゃない?」

「ユズん家って…本当よく分かんねぇ」

「実はヤクザだったりして」

ユズは笑いながら言う。佐藤さんにユズにチクったな。そういや佐藤さんとか松澤さんとかって普段どこで暮らしてるんだろ。住み込み?

「…なぁ佐藤さんとか松澤さんってどこで暮らしてんの?一人暮らしなのかな?」

「知らない。でも仕事の時は横の部屋で寝たりするみたい。多分今も横の部屋で会話聞いてる」

「マジで⁉︎えっどの音量まで聞こえんの⁉︎」

「さぁ?」

「さぁ?じゃねぇよ!あー最悪だー」

白川さんとの会話聞かれてたらって考えただけで恥ずかしすぎる。ユズも当たり前みたいな感じで言うんじゃねぇよ!

「…他人に会話聞かれてるかもとか息詰まらねぇの?」

「うーん、もう慣れたかな」

「へーそうゆうもんか」

「うん」

ユズは当たり前のように言う。会話聞かれてるって護衛じゃなくて監視じゃね?って聞きたいけど横で聞いてるなら言えないしな。

「あーもー分かんね」

「その問題難しいよね」

「…うん難い。ムズすぎる」

「私も全然分かんない」

2人で問題をひたすら解いていく。すぐに時間は過ぎてもう夕方だ。

「じゃあまた明日学校で」

「ほんとに送らなくていいの?真倉は別に車で送ってもらえるよ?」

「いやいい。自分で帰るわ」

「わかった。じゃあまた明日。バイバイ!」

「うん」

結構歩いたとこで振り返るとまだ家の前にユズらしき人影がいる。早く中に戻ったらいいのに。

バス停で待ってたら見覚えのある車が一台ゆっくり通った。バックミラーだから中は見えないはずなのに何故かレイさんのような気がして焦った。別に何もしてないけど。

「帰って勉強しよ…」

その前に報告書かかないと。よく考えたら俺も監視係みたいなもんだよな。ユズがちゃんと安心できる環境ってどこにあるんだ?もしかして俺も監視されてたりすんのかな。

「難しすぎねぇか問題…」

教科書をめくった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る