第二週目 火曜日

「はあーーー」


朝から大きなため息をつく俺。


今日は火曜日で先週追い返そうになってしまったひーちゃん、…いや、星田さんの家に行く日なのだ。


星田さんの性格は昔から変わらない。頑固で自由人、人の話はきかないし、意地っ張りだし、おまけに狂暴だ。でも、そんな彼女にも弱い部分があることを俺は知っていた。例えば、彼女は虫嫌いであったり、極度のビビりであったり。そして彼女は基本的にやさしい性格の持ち主なのだ。俺以外にはの話だが。


簡単にいえば庇護欲が湧き出てくる性格といったところだろうか。

まあ、そんなことをいったら俺は一生星田さんの家出禁になるか、昔の俺の過ちの数々ネット上に書き込むなどして、社会的に殺されるかになるだろうから、絶対に言うつもりはないが。


「…とはいえ、あいつにもいろいろあるっぽいしな」


先週言っていた言葉を思い出す。


『あたし、協調性ないから。学校ってほんとに不向きでね…』


なにがあったんだろうか。気になったところできっと俺には教えてくれないだろうが…





”ピーンポーン”


いつのまにか学校はおわり、もう星田さんの家の目の前だ。


やっぱりすぐには出てくれず、また俺はため息をついた。


「きゃあ!」


「なんだ?!」


突然悲鳴が聞こえる。


なんかデジャブだな、と思いつつ声をかける。


「大丈夫か?」


「太陽っ!たすけなさいよっ!」


「いや、鍵空いてないし…」


「あいてるからっ」


そういわれ、俺はドアに手をかける。言われた通り鍵はしまっておらず、簡単にあけることができた。


「たいよー!」


俺を見つけたとたん、飛びついてくるひーちゃん。


「また虫?」


星田さんはコクコクとうなずいた。


俺はその辺にあったティッシュで虫をとると、窓の外へ逃がした。


すると星田さんはそっと俺から離れていった。


「たすかったわ。」


「たすけてもらっておいてその態度かよ!?」


俺は渾身のツッコミを入れる。


何か文句ある?とでも言わんばかりの顔の星田さん。ったく、虫嫌いも変わってないのかよ。


「で、こんなにもの散らかしてなにしてたんだよ?」


「あんたに関係ないでしょ?」


「はあ。」


さすがに少し申し訳ないと思ったのか、星田さんは一息つくと話し始めた。


「ひなちゃんにあげるクッキーでも作ろうかとおもったの」


「なるほどね、で肝心のクッキーは?」


「材料足りなくてつくれてないのよ。」


じゃあ、なにしてたんだ?とツッコミたくなるが大体予想はつく。


材料をはかり終えた後虫をみつけて全部零してしまったのだろう。俺は必死に隠そうとするひーちゃんをいじろうとして…やめた。


(いや、マジで殺される。あっぶなw)


「そうなんだ、じゃあクッキーはまた来週一緒につくろうぜ」


「なれなれしくしないで!…や、でもその…どっちみちあんたが来る日にしかだめよね。」


「まあ、そうだな。日向に渡せないし。」


「ならしかたないから来週つくることにするわ。」


きっと日向が喜ぶだろうと、俺もうれしくなった。


「…で?今日のあんたの話はなんなのよ…助けてもらったし、きく…わよ?」


「…!(デレた!ひーちゃんがデレた!)」


その後星田さんは俺のオンライン授業の説明なんかをきいてくれて、なんとか俺は一歩進むことができた。


これからも道のりは長そうだな、と思いつつも少し気持ちが弾んでいる気がした。


クッキーが日曜日までに腐ってしまうことを知らない俺は今日、ノリノリで帰宅したのであった。





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7人の不登校美女更生プログラム 伊崎光波 @mitsuna0939

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