第二週目 月曜日

今日はまたあの城みたいな家にいく日だ。

彼女は色々と気にしそうだから簡単に身支度を整え、俺は家を出た。


「2年C組村山くん、至急、校長室まできてください。」


校内放送で呼ばれた放課後。


至急って怖すぎだろ…なんて思いながら俺は校長室へ向かった。


「やあ、村山くん。今日は急によんでしまって申し訳ないが大事な話があってな。」


「なんでしょうか…?」


俺はビクビクしながらきいた。


「実は君に依頼した不登校の更生プロジェクトだが、期限がついたんだよ。再来月までというね。」


「えええ?再来月までにですか!!??」


俺は驚きすぎて叫んでしまった。あの頑固そうな不登校美少女たちを再来月までに全員登校させるだと???


「すまないが、決定事項だ。了承したまえ。」




「まじかよ…」


俺は途方に暮れながら、城へ向かっていた。


到着すると、美月は今回はちゃんとチャイムに出てくれた。


「いらっしゃいませ、村山さん。」


「あ、ど、どうも…」


美月は落ち着きのない俺を呆れてみながら、奥の部屋まで案内してくれた。


「今日はこれ、持ってきたんだ。」


「なんですか、これ?」


「参考書だよ。あ、ちなみにこれが俺の成績表。」


俺は彼女に成績表を自慢げにみせた。


「オール10ですか…さすがですね。」


「だろ?」


「調子に乗らないでください。それと、その参考書とはいったい…」


俺は重すぎる鞄から他の参考書も出していく。


「レベル別で各教科持ってきた。重かったんだからな?でもためになりそうだからさ、美月には苦手克服して欲しいし。」


彼女にも色々あるわけだ。俺の目的もあるが、やはり心から彼女の問題を解決してあげたいと思っているのも事実だし。


「…こ、ここは…素直に感謝をしておきます…あ、ありがとう、ございます。」


随分とぎこちないお礼。きっと慣れていないのだろう、彼女は耳まで真っ赤だった。


「んじゃ、やりますか!まずはレベル測るために実力テストを受けて欲しいんだけど…」


「はい…全力を尽くします。」




「まじかよ…」


本日2回目のまじかよだ。


実力テスト主要5科目500点満点中、彼女はなんと驚きの2桁の点数を叩き出した。


しゅんとしてしまう彼女。


俺がここで諦めたらそれで終わりだ、そう思った俺は彼女に声をかける。


「いうほど頭悪くはねえじゃん。てっきり一桁かと思ったぜ」


「フォローになっていません!わかっています、自分が馬鹿なことくらい…」


「そんなこというな。俺だってついこの間までこんくらいの点数だった。それはまじだよ?

派手に不良やってたからな。だけど、わけあって勉強始めて、勉強して勉強して今じゃこの点数よ。」


彼女は俯いていた顔をあげる。


「大丈夫だって!やろうぜ!」


「あなたは…その気にさせるのが上手いですね…もうこの際やってしまいます、できるところまで!」




結局その日は基礎中の基礎をやって終わってしまった。でも彼女のやる気にはバッチリ火を付けることができたようだ。


まあ、彼女は不登校なわけで来週までの一週間できっとかなりやりこんでくるだろう。

どんな成長を見せてくれるのか楽しみだ。


彼女が先輩だということを忘れている俺は呑気にそんな上から目線なことを考えて、家に帰ったのであった。

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