第一週目 木曜日

さあ、今日も不登校更生だ。


明るい気持ちで今日も不登校の生徒の家に向かった。

今日の不登校の生徒の名前は内藤春木、年齢は2つ年下の中学3年生だ。昨日とは打って変わってとても近かったため、気づけば目的地についていた。

今日はいいことがありそうだ。


そう思っていたのは時計が17:00を回るまでだった。到着したのは16:00くらいで、今はもう19:00を超えている。

そう、家に誰もいないのだ。電気は真っ暗だし、いわゆる普通の一軒家はしんと静まり帰っていた。


諦めかけていたその時、ようやく目的の彼女が現れた。


毎日本当によく頑張っていると自分を褒めたくなった。


「あんた、誰?うちの前で何してるの?」


「内藤さん?」


現れた少女は随分と小柄で小学生にすら見える幼い顔立ちをしていた。

でも、明らかに彼女の格好は不良そのものだった。


「もしかして、その声…疾風煌光の天照?」


「わああああ!なんで知ってるのそのダサすぎる名前!!」


彼女は目を輝かせて俺の黒歴史すぎる不良時代の名前を読んだ。


「そうですよね!?私色々と物申したいことがあるんです!」


「え??」


「どうしてやめたんですか?私はあなたに憧れてこの世界に足を踏み入れたんです!あなたのあの光速裏拳を習得したくて!なのにあなたは急にいなくなってしまった!どうしてくれるんですか?この行き場のない気持ちを!!戻ってきてくださいよ!天照さん!」


「ちょっとちょっと落ち着いてよ。俺はもう戻るつもりないし…あとそのださい技名と名前を連呼するのやめて…」


「そんな…どうしてですか、天照さん…」


とんだやつにであってしまった。俺の過去を知っているのはまだいいとして、俺のせいであの世界に飛び込んだって?


「それから!内藤さんみたいな女の子がそんなところにいたら危ないよ?」


そういった途端、内藤さんの小さな足が俺の頭くらいの高さまで上がり、パンツが見えてしまったことは伏せておくが、そこで記憶が途絶えた。


「…さん、…あま…さん、天照さん!」


「ぎゃあ!」


悲鳴をあげて俺は起き上がった。


どうやら内藤さんの家にあげてもらったらしい。


「大丈夫ですか…?ですが、私をただの小さい少女だって思ってたからですよ。舐めないでください!」


「そりゃあまりに小さかったから…いや、別にチビとは言ってないぞ?」


俺のフォローは全く役に立たなかったらしい。内藤さんはみるみる顔を赤くさせて口を膨らませた。


「それより、天照さん。私と再会したからには戻ってきてくださるんですよね?」


「いや、戻らないよ。そもそも俺たち会ったことあるっけ?っていうかそろそろ時間まずいから帰るね。」


気を失っていた時間が長かったのか、いつの間にか終電間近だった。


「っ!!覚えてませんか…まあいいです。それでは。」


そういってそそくさと俺は帰った。


一番大切なことを伝えないまま…俺は相当馬鹿らしい。

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