第一週目 火曜日

次の日の朝。俺は事前に午後に行く場所を調べていた。


そういえば名前は、星田火花だったはず。


「ちょっと待て、星田火花って!ひーちゃんのことか?」


俺は満員の電車の中で大声を出してしまった。恥ずかしすぎる。

とはいえ、それほど衝撃だったのだ。ひーちゃんこと星田火花は俺の少ない幼馴染だった。でも俺が引っ越してしまってから長らく会っていない。ひーちゃんも咲本や俺と同じ高校2年生のはず。


(こいつはなんで不登校になってんだよ…)


でもひーちゃんは小さい頃から結構凶暴だったはず。不登校に素直で優しいやつなんでいないことはわかっていてもやはりため息が止まらなかった。


ピーンポーン


「はーい、今出まーす。」


着いたのはひーちゃんが一人暮らしをしている比較的新しいアパートだった。


「…え?太陽?」


少し間が開く。そして


「勝手に人の家探すな、このストーカー!」


と、大声で言った。

俺は青ざめていう。


「違う、俺はただ校長に頼まれてひーちゃんを登校させようと説得しにきただけで…」


「その呼び方しないでくれる?気持ち悪いから。」


やっぱり凶暴だ。


「はい、さようなら。」


そう、冷たくいうとドアを閉められた。

今日もめんどくさい…


でもこっちは推薦がかかってるんだ。何も言わずに引き下がるわけにはいかない。


「ひーちゃ、星田さん!ちょっとだけでも聞かせてよ。なんで行きたくないのかとかさ。」


返事はない。

こうなったらもう全部ぶちまけるしかない。そうすれば、ひーちゃんはああ見えて根は優しいし、学校に来るとまではいかなくても、話くらいはしてくれるはず。


「星田さん、実は日向が…」



あのあと全部ぶちまけた俺は今こうしてひーちゃんの家に上がれている。

俺が全て話終わるとひーちゃんは話し始めた。


「そんなことが…あんたが困ってることはよくわかったわ。でも悪いけど学校にはいけない。」


「なんで…?」


「あたし、協調性ないから。学校ってほんとに不向きでね、昔色々あってそれからは学校行けてないのよ。でも、その他のことならなんでもするわよ。」


「そっか。」


(困ったなあ。でも、オンライン授業とかならひーちゃんでもできるかもな。うちの学校ってそういうのあったよな?)


「あくまでもひなちゃんのためだからね?あんたは調子乗るんじゃないわよ?」


「は、はい。」


「とりあえずもういいでしょ?帰ってくれる?」


そう言って半ば強制的に返された俺。

でも話さえできれば後は突破口を開くのみ。のぞみはきっとゼロじゃない。


「でも、あいつ。やっぱり優しいな。…日向、お兄ちゃん頑張るからなっ!」


そうして第一週目火曜日は幕を閉じた。


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