百合に混ざる男を殺しに来る刺客たちを返り討ちにしながらハーレムを作るランサー
水無土豆
百合に混ざる男を殺しに来る刺客たちを返り討ちにしながらハーレムを作るランサー
西暦10万2021年。
人類は〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟の暗躍により、衰退の一途を辿っていた。
時は現在より10万年前の2021年まで遡る。
その年に〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟が創設された。
街中で「俺も混ぜてよ」などと言う、もしくは聞こえようものなら、すぐさま巡回している〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟が駆け付け、対象を抹殺する仕組みが出来上がっていた。政府も〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟創設当初、これを──
「ちょっとやりすぎじゃない? 不可抗力もあるんだし、せめて執行猶予を設けようよ」と諫めたものの、その直後、その発言をした大臣がたまたま百合の間に挟まり、凶刃に斃れるという事件が発生してしまった。
これにより〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟を恐れた男たちは、女と関わることを極端に嫌い、やがて今度はそこかしこに薔薇が咲いたが、一過性だったためすぐに枯れ果てた。ちなみに、この時の薔薇騒動を収めた人物の発言──
「そこは出す所であって、入れる所ではないですよ」というフレーズは、幾人もの歌手がオマージュやリスペクトを込めて、歌としてリリースしている。ちなみにこの頃、どうしても殺害したい男性閣僚を女性議員たちが徒党を組み、無理やり挟んで殺害しようとした事件は、百合田門外の変として10万2021年現在も教科書に記載されている。
そして話は戻り、10万2021年現在、人類は〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟の台頭により衰退の一途を辿っていた。
それもそのはず。そもそも女性と付き合おうとする男性がいないのだから、結果として
誰かが声高に叫ぶ。
「それでよく10万年も文明がもったもんだな!」
全くその通りである。が、それはそれ、これはこれ。
それらの責任の一端は……いや、全責任は贔屓目に見たとしても〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟にある事は、火を見るよりも明らかだった。鼻息と股間を荒くした男たちはこれに激怒し、いまさらになってようやく反乱を企てたのだが、時すでにお寿司。
〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟はもはや人類では太刀打ちできないところまで、その勢力を伸ばしていた。
「あ、あいつら、人間じゃねえ……! 神は、俺たちに子を成すなと言っておられるのか……!」
某ウィレム・デフォー似の男性が膝をつき、天を仰ぐように両手を大きく広げて嘆く。
人を──百合の間に挟まろうとする男たちを、まるで紙切れのように裁断していく〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟に誰もが絶望しかけた頃、ひとりの、髪がもじゃもじゃで軍パンを穿いた男が声高に叫びながら〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟に特攻した。
「エイドリアーン!!」
その場にいた誰もが(それロッキーとランボー間違えてね?)と思ったが、誰も口には出さなかった。男はその後、見事爆散したが、その雄姿が絶望しかけていた男たちの目には、英雄として映り、男たちは再起したのだった。爆散した男は名を〝ゲイブ〟として記念碑が立てられるとの噂がなくもない。
もうハチャメチャである。
そして長い……永い時の中で、ついに男たちはこの俺──
〝百合に混ざる男を殺しに来る刺客たちを返り討ちにしながらハーレムを作るランサー〟を作り上げた。
そんな俺の
そして極めつけは左手に備わっている
あとはなぜ俺がハーレムなぞ作らなければいけないのかは未だに理解に苦しむのだが、俺は俺で、自分のやるべきことは理解しているつもりだ。
俺は、俺の足元に無数に転がっている〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟の亡骸を一瞥した。今まで数多の百合の間に挟まる男を抹殺してきた奴らが、今ではもうピクリとも動かない。
俺はここよりも先──〝百合の間に挟まる男抹殺し隊〟の親玉〝
「──待ってろよ、NJ。貴様の支配もすぐに終わる! ここからは、いや、これからが俺たちの世界だ!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
俺の背後で武装していた男たちが些か早い
俺たちの戦いは──これからだ!!
~終~
百合に混ざる男を殺しに来る刺客たちを返り討ちにしながらハーレムを作るランサー 水無土豆 @manji
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