第8話、新たな勇者パーティー誕生。



王都ザバンハルトの玉座にて、


「勇者アランはなぜ戻らん!!」


ザバンハルト4世は激怒していた!


「申し訳ございません!陛下!

私たちは先に魔王にやられてしまってその後の詳細は全くわからないのです。

アランが戻らないのはまだ戦っているのかもしれません!」


と聖騎士ガリアーノが言う。


「フン!案外逃亡したのかもよ!

一人になって土壇場でひよったとか。」


とレンジャーのリンダは吐き捨てるように言った。


「アランに限ってそんなことは無いんじゃないんですか?

正義感だけは人一倍強かったですから...正義感だけは。」


意味深な言葉を聖女マリアは言う。


「始めから平民なんて信用できなかったんだよ!」


と魔道士ヨーグは強く避難した。


「黙れ!そんなことはどうでもいい!

我の家宝の4本のうちの1本の聖剣が戻らないのはどう言うことだと言っておるのだ!」


一気にその場の緊張感が増す。


「だから言ったじゃありませんか?父上。

そんな平民ごときにに聖剣なんて貸すもんじゃないって。」


そこに現れたのはこの国の第三王子イヤミングだった。


「おぉ。可愛いイヤミングや。

お前の言う通りだったよ。不甲斐ない父でごめんな~。」


そう言って王はイヤミングを抱き寄せた。


「出た。親バカ...」


「リンダ。お静かに...」




「父上。提案があります!」


「提案とは何だ?イヤミング。何でも申せ。」


「僕にこのパーティーをくれませんか?

僕ならもっと有効に使えますよ。」


「ほう、それはいい考えだな...ちょうど一人勇者が抜けたしな。イヤミングは我の息子、勇者の血を引いてる者だから問題はないが...

心配じゃの...可愛い可愛いイヤミングが戦禍に行くと言うのは....」


「父上。僕はもう15才で成人です!

子ども扱いはやめて欲しいんだ。

僕も兄さん達みたいな立派な勇者になりたい。」


「そうかそうか。

こやつらは勇者が居なくなったとはいえ序列1位だった勇者パーティーじゃからな。

安心かの...」


「お言葉ですが陛下...

イヤミング王子は戦えるのでしょうか?」


「それは我が息子を馬鹿にしておるのか?」


「滅相もございません。ただ戦場に出たことがあるのかなと思い聞いた次第でございます。」


「実践はこれからだ。」


「「!?」」


勇者パーティーは驚愕した。


「だからお主達に頼むのじゃ!!」


「王様!それはあんまりじゃないっすか?」


「それはどういうことじゃ?リンダだったか...?言うてみろ。」


「戦闘未経験の王子を守りながら戦うって結構大変なんですよ。

その見返りに王様は何を下さいますか?」


「なんじゃ...報酬か。イヤミングを一人前の勇者にしてくれたなら地位でも金貨でもいくらでもくれてやろうぞ。これでも不満かの?」


「いや!王様!

全身全霊でその使命全うさせて頂きます!」


「なっ!?リンダお前...」


「僕も賛成!全うさせて頂きます!これで魔術の研究が好きなだけ出来る...」


「ヨーグ。お前もか...」


「私もその命を受けようと思います。

(これで、ダルい聖女との仕事もおさらば出来る。)」


「マリア...」


「残るはガリアーノお主だけじゃが...」


「....慎んでお受けしたいと思います。」


ガリアーノはマリアに惚れている為にマリアがやると言ったら付いて行こうと決めていた。


「これで決まりじゃの!序列はアランが抜けたことと聖剣の紛失により3位からのスタートになるが期待しておるぞ!

聖剣を我のもとに返してくれればすぐ序列1位にしてやるが...」


「大丈夫だよ!僕が取り返してくるからさ!」


「ほっほっほっ。頼もしいの!

そんなイヤミングにプレゼントじゃ。

おい!我の剣を持ってこい!」


家臣は陛下の光輝く剣を持ってきた。


「立派な勇者になるのじゃぞ。

これは餞別じゃ!我が使ってた聖剣の一つ。

聖剣エクスカリバーじゃ!」


「父上!良いのですか!?」


「よいよい。頑張るのじゃぞ!」


「はい!」


こうしてアランが抜けた勇者パーティーにザバンハルト第三王子イヤミングが加入したのだった。


「バルン。」


王は参謀のバルンを呼んだ。


「はい!陛下...」


「イヤミング達の新たな勇者パーティーに似合う任務はあるかのう...」


「たった今しがたアストラルの街のギルドから調査依頼の要請が来てましたね。」


「アストラル?...あぁ、初心者冒険者が集まる街じゃったか..」


「そこの西の森に喋るゴブリンとレベルが下がるという怪奇現象が起きているらしいです。」


「初心者の冒険者が集まるところなら大丈夫だろう。

イヤミングと勇者パーティーよ!

聞いていたな?

ただちにアストラルに出向き原因を探って解決して参れ!」


「「ハッ!!」」


新たな勇者パーティーは扉を開けてアストラルへ旅立つのであった。


ついにドン底までの転落への扉をあけてしまった...



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ゴブリンにされた元勇者、憎き魔王と一緒に世界の謎を解き明かす。 一ノ瀬 遊 @ichinose1120

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