第7話、アラン思いにフケる



「コホン。もう一度言う。俺たちはゴブリンは静かに暮らしたいだけなんだ...」


「モンスターの言葉なんか誰が信じられるか!」

「そうだ!そうだ!」


本当に聞き分けない冒険者達だ...


「大人しく引き下がれば俺はなにもしない。

勝てない相手に手を出すほどお前らは間抜けじゃないだろう...」


「ぐぬぬ...レベルさえ下がんなければ、お前なんぞすぐにでも葬ってやるのに...」


それは一生無理な話だけどな...

俺がまた経験値を奪ってしまうから...


「取り合えず帰ってくんねーかな...

これ以上話す事ないし...」


「クソ...舐めやがって...覚えてやがれ!」


冒険者達はゾロゾロと帰ってた。


こりゃ、また来るな...

俺は早く魔王の所に行きたいのに、ゴブリン達あいつらをこんな状況下の中置いては行けない...

暫くはいい案が浮かぶまでここでゴブリン達あいつらを守るしかないのか...


洞窟に戻るとゴブリン達が迎えに来てくれた。


「大丈夫でしたか...?」


「あぁ。大丈夫だ...暫くはひっきりなしでここに冒険者が来ると思う...。」


「そ、そんな...」


「だが安心しろ。俺が居る間は必ず守ってやる。」


「居なくなるんですか!?」


「今じゃないが、そう遠くない内にな...

俺には行かなきゃ行けない所がある。」


「そうですか...我々も付いて行ってはダメでしょうか...?」


「そうしてあげたいが過酷な旅になるし、

もうここには戻ってこれなくなるかもしれないんだぞ。

それにお前達のレベルだとすぐに死んでしまう...。

それは、俺も心が痛む...」


「そう言われましてもここにずっと居ても冒険者に目を付けられてます故、貴方が居なくなったら我々はすぐに殺されてしまいます。」


「そうか...そうだな。

その事はちゃんと考える。

今は強くなることだけを考えてくれ。」


「わかりました。みんなで強くなることを考えます。」


「あぁ...」


俺は一人見張り台の上に行き夜空を見ながら、思いにふけっていた。








その頃アストラルのギルドでは、

アランから逃げ帰った冒険者が受付嬢に詰め寄っていた


「おいおい!どうしてくれるんだよ!?

せっかくレベル30になったのにレベル1になってしまったじゃねーか!」


「だから言いましたよね?

そう言う可能性があるから報酬は弾むけど責任は負わないと!

それで、原因は分かったのですか?」


「分からなかった。ただ喋るゴブリンが出てきたと思ったらレベルが下がった位しかないな。」


「そうですか...恐らくその喋るゴブリンのユニークスキルかも知れませんね...憶測ですが...」


「俺たちは報酬貰えるんだよな...。」


「それだけの情報だと支払えません!

ちゃんとした調査を依頼したのですよ!」


「何を~!!このアマ!!」

冒険者が受付嬢の胸ぐらを掴み殴りかかろうとした時、


「やめんか!!バカ者どもが!!

冒険者資格剥奪するぞ!」


「ギ、ギルドマスター。」


冒険者は受付嬢から手を離した。

受付嬢は逃げるようにギルド長の後ろに隠れた。


「聞いておったが、喋るゴブリンだと...」


「はい。そいつが現れてから俺たち全員のレベルが下がりまして...」


「なるほどな...ご苦労だった。ミミ!こいつらに一人銀貨50枚づつ報酬としてやってくれ。」


「えっ?でも...」


「ギルド長としての命令だ。」


「わかりました...。」


「受付嬢に八つ当たりをするのは筋違いだぞ!話を聞いてなかったお前達が悪いんだからな!」


「すいませんでした...。」


「わかれば宜しい。ちゃんとミミにも謝れよ。」


「はい...。」


冒険者達は受付嬢のミミに謝って、報酬を受け取り出ていった。


「それにしても、喋るゴブリンか...

これはかなり厄介な事かも知れない...

ミミ!王都に連絡して勇者を派遣してもらえるように要請してくれないか?」


「わかりました。王都のギルドに連絡とります。」


アランの知らない所でまた一悶着起きることなど当の本人は全く知るよしもなかった。

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