第4話、運命は変えられる



進化完了がしました。

直ぐ様俺は鑑定を始めた。




アランLv 1/15

ゴブリンプリースト


HP 150   MP90


・攻撃力140・防御力80・回避力160・魔法力40


スキル

・初級剣術・初級魔法・鑑定・言語理解・回避・初級弓術・気配察知・初級回復


ユニークスキル


「経験値略奪」



ちゃんと前の能力を引き継いでるな...

さて、これからどうするかな....?

とりあえず冒険者の死体を埋めてやるか...


俺は穴を掘り、冒険者達の装備を脱がして死体を埋めた。

あれ?一人足りない気が...

まぁいいか...

この装備は作り替えれば使えるだろう...


それにしても腹へったな...

ウルフに肉は食べれるのかな?


とりあえず洞窟まで持っていくか...

こんなところで焼いたりしたら匂いで他のモンスターや冒険者が来るかも知れんしな...


俺は何回も往復して装備とウルフを洞窟に運んだ。

燃えそうな枯れ木を適当に探して魔法で火をつけた。

そしてウルフの解体をしていると奥の方に居たゴブリン達が寄ってきた。


「こ、これはどうしたんじゃ...」


「どうしたって普通に倒したけども...」


「普通にって...ウルフ達は強かったじゃろ...私たちでは手も足も出なくていつも虐められて居たんじゃ...」


「そうなのか...」


「お主魔物の解体やったことないじゃろ...」


「あぁ...初めてだな。お前はできるのか?」


「長年生きておるからな...解体位は朝飯前じゃ...

 それでなんじゃが...解体を教える代わりにわしらにも食べ物を恵んでくれないか...?」


「あぁ...そんなことか...」


「やっぱりダメかの...」


「良いぞ!その代わり一から教えてくれ。」


「おぉ。ありがたや、ありがたや。」


おれ自身ゴブリンになったせいかゴブリンのイメージが変わって来ている。

ゴブリンは一般的に姑息で汚い手を使うものとして教わって来たが、このゴブリン達はどうだ...

礼儀は正しいし、悪い所が今の所感じない...


「一つ聞きたいんだが、お前達は人間をどう思う?」


「なんでそんな事聞くのじゃ?」


「いや何ちょっとした興味だけど...」


「そう言うことならいいんじゃが...

我々はいつも人間に追われている。

何をしたわけじゃないのに、弓や剣で狩りでも楽しむように...

人間は恐ろしい。さっきも来たじゃろ...

逃げても隠れてもどこまでも追っ掛けてくる。オチオチ寝ても居られないのが現状なんじゃ...」



そんな...

俺は逆だとばかり思っていた。

言われてみれば確かにそうだ...

たいして経験値も無いのにゴブリンを襲う必要がない...

レベルの低い冒険者ならともかく、俺を殺していった冒険者は初心者では無かった。

狩りを楽しむだけに殺されたのか...

胸糞悪い話だ。


「話してくれてありがとう。早速解体の仕方教えてくれないか?」


「ええぞ。ここをこうしてだな...」

お爺ちゃんゴブリンは丁寧に解体を教えてくれた。

ウルフの皮を丁寧に剥ぐと別のゴブリンが縫い始めた。

「器用なんだな...」

「わしらは戦闘では役には立たないが手先が器用なんでな。色々出来るのじゃよ。」


「お兄ちゃん。コレ...」

一際小さいゴブリンの子がウルフの毛皮を縫い合わせた服を持ってきてくれた。

「お兄ちゃん裸だから...コレ着て...」


「えっ?」


気付かなかった...

俺は裸で戦ってたんだ...

人間なら間違いなく捕まってるな...

そういえば他のゴブリンたちもちゃんと服着てるし...

小さいゴブリンの子は恥ずかしそうにしている。

俺は直ぐ様ウルフの毛皮を装着した。

鑑定したら、多少防御力は上がるみたいだ。


「ありがとう。助かった。」


ウルフの解体を終えてそのまま骨つきウルフ肉の焼き肉を皆に振る舞った。


各々久しぶりのご飯だったらしく10匹のウルフはきれいに完食された。


かなり旨かったな...味覚が変わったせいか...



レベルが1あがりました。

無機質な声が響く。


モンスターを食べただけなのにレベルがあがるのか?


「お、おい!オマエ達もレベルがあがったのか?


「はい。お陰さまで上がりました。ありがとうございます。」


「そりゃ、どうも...」


モンスターとは不思議だ。


「ところで、お前たちはこれからどうするんだ?」


「どうするもなにも...私たちはここに逃げ込んだんですからここに居るしかないのですよ...。」


「何故だ?

ここを出てモンスターを倒して強くなれば良いじゃないか。」


「我々は戦闘をあまり好まないのですよ。

ただ穏やかに過ごして行きたいだけなんです。」


なるほど、ゴブリンが最弱の理由が分かった気がした。

戦いを好まない、レベルを上げたりもしない、初心者冒険者に殺される。

このループではいつまでたっても強くはなれないのは当たり前である。


「そんなんでは、死ぬぞ。」


「それが運命なら受け入れるしかないんです...」


「違う!運命は変えられる!」


俺はゴブリン相手に何を言ってるんだ?

同族だと認識しているのか?

魂が...


「でも、ど、どうすれば...」


「強くなるしかない!俺がお前たちを強くしてやる。」


こうして俺はゴブリンを強くするための指導が始まった!

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