第2話、経験値略奪と進化
何度聞いても慣れない無機質な声だ。
俺はもう殺られるわけには行かない...
死ぬ度に人間の魂が削られている気がする...
なんとしても生き残らなければ。
ステータスは確認できるのか?
ステータスオープン!
そう言うと目の前にウインドウが出てきた。
良かった。この機能は残ってた...
どれどれ...
アランLV1 /10
ゴブリンハーフ(元勇者)
HP10
MP 2
攻撃力5・防御力3・回避力3・魔法力1
スキル
・鑑定・言語理解
ユニークスキル
「
やっぱり俺はモンスターになっちまってたか...
しかもレベル1のゴブリンって...
どうなってんだよ...最弱すぎるだろ...糞が....
ステータスもゴミ以下だ...
これならすぐ殺られても仕方ない...
唯一の救いはユニークスキルが残ってることだな...
「
勇者時代に俺はこのスキルでモンスターから、経験値を奪い強くなった。
そして勇者として名を馳せて行ったのだ。
他の勇者を寄せ付けない強さで、
勇者の序列1位に。
魔王には効かなかったが...
何にせよこのスキルが有る限り俺はもう負けはしない!
もう一度魔王に会うまでは...
それに鑑定スキルが増えたのは単純に有り難い。
これで敵の強さがどんなか色々分かるからな...
後は言語理解か...
まさか、モンスターの声まで聞こえるとか無いよな...
「また、人間達が来たぞ!」
「アイツらは何回俺たちを殺せば気が済むんだ...」
「もう、あんな苦しむのは嫌だよぉ...」
「誰か助けてくれぇぇー!」
聞こえちゃってるよ...
ゴブリンの声バッチリと聞こえちゃってるよ...
俺は声のする方に歩いて行った。
すると、子供のゴブリンと年老いたゴブリン達が身を寄せあって震えていた。
俺はゴブリン達を鑑定した。
すると、子供のゴブリンは当然レベル1、年老いたゴブリンも強くてレベル3程度だった。
そりゃ震えるわな...
人間達は冒険者達であろうから少なくてもレベルはゴブリンより上だろうし、
俺を殺した奴ら見たいなゲーム感覚で殺す奴もいるのだろう。
こんなに幼いゴブリンが殺されているなんて...
って俺は何を考えているんだ?
ゴブリンが混じってるからか?
前まではなかった感情が沸き上がってくる...
とりあえず俺は、
人間達のいるであろう所まで向かうことにした。
「お、おい。お前。何処に行くんだ?
この先に行っても殺されるだけだぞ...」
「ここに居てもいずれは殺されるんだろう?
俺はただ殺されるなんてゴメンだ。」
「そ、そうか。俺達はここに居るよ。人間が怖いんだ...」
「あぁ...無理はするな。」
俺は不思議な感覚だった...
敵であったモンスターが俺がモンスターになったことで感情が変わり始めているのが分かった。
それと同時に勇者として、弱き者を助けるという使命に駆られてたのである。
洞窟の入り口付近まで近づくと人の声が聞こえた。
「こんな雑魚ばっかり狩ってもしょうがなくないですか?」
「それを言うな。今日は新人研修なんだから仕事だと思ってやるんだ。
新人に慣れさせないと行けないからな。」
「ハイハイ。今日は一杯奢ってくださいね。」
「ほんとにお前は、あぁ...わかった。そのかわりきっちりと仕事頼むぞ!」
「さすが旦那!話がわかるね~!
よぉし、新人ども張り切っていくぞ!!」
などと糞見たいな事を言ってる。
何が新人研修だ...
何が奢ってくださいだ...
糞ムカつく...
俺はゴブリンにされて絶望の淵いるのに楽しそうにしやがって...
俺はコイツらから駆逐していくことを決めた。
まずコイツらを鑑定してやる。
レベル5が3人引率の2人は、
チャラ男がレベル18、リーダーがレベル25か...
すべて経験値を奪ってやる。
まずは緊張感のないチャラ男だな...
俺は身を潜めてスキル「
本当は戦いながら、徐々に奪っていくのだが今の俺はゴブリンでレベルも1だ...
こんなんで戦ったらまた即死してしまう。
だから、
気配察知にも引っ掛からない所に息を潜めて時間が過ぎるのを待った。
「全然居ないっすね。
怖じ気づいて隠れてるのかな?
「油断するなよ!
新人もしっかりついてくるようにな!」
「「ハイ!!」」
時間をかけて進んでいく冒険者達。
その間に俺のレベルはぐんぐん上がる。
そして、レベルが10に上がったときに無機質な声が響いた...
レベルが最大になりました。
進化できます。
進化しますか?
進化先が出てくる。
・ホブゴブリン・ゴブリンソード
進化までの所要時間10秒。
どれにするかな...?
ホブゴブリンは身体が大きくなってパワーが上がる進化をする。
ゴブリンソードは見た目は変わらないけど剣の扱いが上手くなる。
とりあえず今見つかるわけには行けないから、ホブゴブリンは無しだな...
10秒ならたいした時間のロスにはならないから大丈夫だろう...
ゴブリンソードで...
ポチッ!
俺は目の前のウィンドウのボタンを押した。
そうすると意識が一瞬落ちた。
身体がフワッとしてすぐに現実に戻ってきた。
変わったのか?
ステータスオープン
アランLV 1/15
ゴブリンソード
HP 70 MP 30
攻撃力25・防御力15・回避力15・魔法力5
スキル
・剣術・鑑定・言語理解
ユニークスキル
「経験値略奪」
スキルが増えて少しステータスが上がったな...
次の進化まで後15レベル必要か...
あのチャラ男の残りの経験値と新人3人の経験値を頂こう。
これで次の進化まで届くはずだ...
俺は警戒して歩いてるチャラ男と新人に、
「
レベルが最大になりました。
進化できます。
進化しますか?
進化完了まで10秒。
・ゴブリンマジシャン・ゴブリンアーチャー
・ホブゴブリン
進化先が増えたな...
次はゴブリンマジシャンだな...
俺はウインドウを押した。
あっ!?
ゴブリンソードの
スキルはどうなるんだろう?
鑑定で見とけばよかった...
スキルなくならないで欲しいな...
俺は意識が一瞬途切れた。
進化完了。
目を覚ました俺は、ステータスを確認する。
アランLv 1/15
ゴブリンマジシャン
HP 100 MP60
・攻撃力100・防御力60・回避力60・魔法力20
スキル
・初級剣術・初級魔法・鑑定・言語理解
ユニークスキル
「経験値略奪」
あった...
良かった...
けどステータスに違和感があるな...
進化を鑑定。
・進化
ステータスが全て引き継がれ、
次の進化先に全て受け継がれる。
これなら行ける!
俺は次の進化の為にリーダー格の男に、
「
「すいません...リーダー...なんか身体が急に重くなってきたんですけど..」
「旦那...俺もなんか調子悪いみたいなんですわ...」
「お前ら全員か!?大丈夫か?
ステータス確認して異常がないか見てみろ。」
「な!?レベルが1になってる!」
「俺もだ!」
新人たちは騒ぎ始める。
「んなアホな...。マ、マジか...」
チャラ男はウインドウを見て驚愕をしている。
「どうした。チャライ。まさかお前までも...」
「旦那!ヤバイっす!
俺もレベル1になってますよ。
このままここに居たら、
いくらゴブリン相手でも俺たち殺られてしまいます!!」
今にも泣きそうな顔して訴えている。
「ちょっと落ち着け。ステータスオープン。
........なっ!レベルが下がってる。いや、下がり続けている。なんだこれは、どうなっている?」
レベルが最大になりました。
進化出来ます。
進化しますか?
ポチッ。
俺は進化のボタンを押した。
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