ゴブリンにされた元勇者、憎き魔王と一緒に世界の謎を解き明かす。

一ノ瀬 遊

第1話、俺が…ゴブリン?勇者の俺が…





「ここは何処だ……」




薄暗くて見知らぬ場所…

何故こんなところに復活してるんだ……



「まだこんなところに居やがった!」

「さっさと殺っちまえ。」


剣を持った男がこっちに向かってくる。

俺の目の前で剣を振りかぶって、


斬りやがった。


「雑魚が。」

「討伐証明に耳をきっとけよ。」

「あぁ、分かってる。」


男は俺の耳を剥ぎ斬って持っていく。


だんだん意識が遠のく………







再出現リポップします。



無機質な声が響く…







ここは……


また薄暗い場所だ。

一体俺に何が起きている...

とりあえず、外に出なければ...


俺は光ある方に歩いた。


いつもより視線が低い...

腕も細いし、身体はどうなっている...?


外に出た瞬間だった。


身体に無数の弓矢が刺さった




「ひょっほー!俺の勝ち!」

「バカいえ!俺の方が急所に近いだろうが!」



こいつらは何を言っている



「おい..まだ、生きてるぞ...」

「次はどっちが脳天をぶち抜くか競争だ!」

「負けた方が一杯奢りな!」


冒険者っぽい奴等は俺に向かって弓を引いている。

俺はとっさに脳天を庇おうとしたその時、

驚愕な物を見てしまった。


庇おうとした腕が緑色だったのだ


驚いてフリーズした。


何で俺がこんなことに...



グサッ!!


俺の脳天に矢が刺さった...


「イエーイ!俺の勝ち!」

「チクショー!」


冒険者達ははしゃいでる。


糞が....


俺はドス黒い感情を纏わせたまま意識が無くなった…







再出現リポップします。



また無機質な声が聞こえると共に薄暗い場所にいた。






またここか...

どうしてこうなってる?

俺は勇者だったはずだ....

魔王と対峙して確かに負けた...


俺達、勇者パーティーだけは死んだら教会で復活するはずなのだが...



俺は薄暗い所のさらに奥に身を潜め記憶を探った。







~記憶の中~



俺達勇者パーティーは魔王と対峙していた。


「また来たのか?勇者アランよ...

お主も懲りぬな...」


「黙れ!魔王シトラフ!

お前が居るだけで人々は苦しんでいる!」


「何を言ってるのか理解に苦しむな...

我が貴様ら人間に何をした?」


「何をしただと...しらばっくれるな!!

街や村を襲いこの国を、世界を征服しようとしてるじゃないか!」


「だから何を言ってるのだ...?

お主達は何か勘違いをしている。

我にはそんなこと興味はない。

あれはお主たち人間がモンスターを操り、襲わせてるのだぞ。」


「なっ!?嘘だ!!」


「嘘ではない。勇者よ...お主は真実が見えておらぬな。」


「アラン!騙されないで!」

「そうだぞ!騙されるな!」


そう声を掛けるのが聖女マリアと聖騎士ガリアーノだった。


「マリア、ガリアーノ。」


「そんな戯言聞く耳など持つな。」


「そうよ!

魔王は私たちを騙そうとしてるんだわ!」


魔道士ヨーグとレンジャーのリンダも声を出した。


「みんな...」


俺には最高の仲間がいる、


「魔王シトラス!

今日こそお前を倒してこの世界に平和をもたらしてやる!」


「勇者よ!主では無理だ...

もう何度、我に敗れていると思ってるんだ...

いいかげん我も飽きてきたわい。」


「何度だって戦ってやるさ!俺は勇者何だからな!」


「呆れるほどのしつこさだな。もういい...

闇魔法

死の終末デットエンド。」


俺達の廻り一体を黒い霧が襲う。


「わぁぁ!!」「きゃぁぁ!!」


「どうした?みんな!?」


黒い霧が晴れると仲間達は跡形もなく消されていた。


「ほう?さすが勇者か...その聖なる鎧で闇を払ったのだな。」


「貴様ァァ!!許さん!!」


俺は聖剣グラシアスを握り魔王に斬りかかった。


「お主はろくに聖剣の使い方もわかってないな...」


「うるさい!死ねぇぇ!」



パシッ!


魔王は聖剣を手で受け止めた。

それを俺から奪い、


「聖剣とはこう使うんだ。」


魔王が力を込めるとそれに反応して聖剣グラシアスが輝き始めた。


「そ、そんな...何故、魔王である貴様が聖剣を使える?」


「それは、お主が知ることでは無い...」


「それは俺の聖剣だ!返せぇぇ!」


「あぁ、返してやるよ。」


そういううと魔王は剣を俺に投げつけた。


目に見えないほどの高速で...





グサッ!





聖剣は俺の心臓を突きさした。


俺は崩れ落ちるときに、魔王は妙なことを言った。


「勇者よ。お主は人間の本質を知らなすぎる。

だから、利用されているとも知らずに何度も我に向かってくるんだな...

お主もモンスターになったら、

いかに人間が愚かで恐ろしい生き物だって事が分かるだろう。

お主の魂の半分を我が預かろう。

もう半分はゴブリンの魂と融合させる。

勇者よ、見てくればいい...

いかに自分が愚かだったことを...」


俺の意識はここで途切れた。







「俺がゴブリン...勇者の俺が...」



アランの悲痛の想いが胸を苦しめ、

声にならない声が洞窟内に響いた...




「ここら辺から声がしたぞ!」



人間達が近づいてくる...

アランは動揺してる為気づかない。


「こんなところに隠れてやがった!」


振り向いたときには男が剣を振りかぶった所だった。




ザシュ!



俺は首を切られた。


なんでコイツらはこんなにも無慈悲に殺せるんだ俺は人間だぞ....


違うか...

今の俺はゴブリンだ...

糞が...胸糞悪い...


次に再出現リポップした時、反撃してやる...


そう決意し、唇噛み締めながら朽ち果てていった。


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