第24話
土曜日、いよいよ要人護衛の依頼当日となったその日の早朝五時。
天気は快晴。実にクルージング日和といえるだろう。織はクルーズ旅行なんて経験ないから、適当に思ってるだけだが。
共に依頼に向かう桃と緋桜も事務所に集まり、一緒に起きてきた朱音も交え、五人で打ち合わせとなった。
「護衛対象はこの人、エウロペ・ティニスさんだ。ヨーロッパの小国のお姫様らしい」
「こりゃまた、随分別嬪だな」
「手出したら国際問題になるんだから、大人しくしてなさいよ」
机の上に広げた資料。そのうちの一枚に載っている写真には、ブロンドの髪の美人が映っていた。それを見て、緋桜がちょっと弾んだ声を出す。愛美の声と視線に諌められるが、果たしてこの男は聞いているのかどうか。
こういう時、愛美と一緒にチクリと小言を漏らす桃から反応がなかった。
朱音が聞いてきたという話もあるし、このメンバーで仕事をするのは、やはりどこか思うところがあるのだろうか。そう思ってチラと見てみたのだが。
「すぅ……」
「寝るな」
「いだっ!」
寝てた。そして愛美から脳天チョップを受けて、はしたない悲鳴を上げていた。
「あのね桃。あんたが朝に弱いことは知ってるけど、今日は大事な仕事の日なのよ。そこんとこ分かってるのかしら?」
「朝早いのが悪いんじゃん……なんでこんな時間に集まるの……」
「俺が迎えに行かなかったら、そのまま寝坊してたな」
「鍵閉めてたのに勝手に部屋入ってくる緋桜もどうかと思うよわたしは!」
「合鍵持ってんだから仕方ないだろ」
え、合鍵持ってるの? さらっと暴露された衝撃の事実に、織は声も出せず驚く。この二人、いつの間に自宅の合鍵を渡すような関係に……。
と思っていたら、どうやら恋愛スイーツ脳な娘も、同じところに食い付いたらしく。
「緋桜さん、桃さんの家の合鍵持ってるんですか⁉︎」
「ん? ああ、去年くらいに無理矢理貰った。だってこいつ、放っておいたら部屋が際限なく汚くなっていくんだぞ。愛美も持ってるし、別に変なことじゃねえよ」
「持ってるわね」
「貰ってから一回も使ってなかったけどな。さすがに今日は遅れちゃマズいし、遠慮なく使わせてもらった」
「でもでも、普通は異性の人に合鍵なんて渡しませんが! それくらい私でも分かりますので!」
まあ、そりゃそうだわな。恋人でもない異性に一人暮らししてる自宅の合鍵を渡すなんて、正直相当気を許している証だ。
それが去年、記憶が戻るよりもずっと前の話だというのだから、さらに驚く。
あるいは、この三人の関係性だからこそ、と言えるのかもしれないが。
「話を戻すぞ。このエウロペさんが参加するのは、国内のツアー旅行。横浜から船が出て、金沢までの五日間だ。その五日を凌ぎ切ればいい」
三人には学校を休んでもらうことになってしまう。緋桜は単位も取れてるから別に問題ないと言っていたが、高校生二人はそうもいかないだろう。なにせ文化祭の準備に追われているのに、生徒会のトップ二人が揃って休んでしまうのだから。
葵たちには今度、菓子折り持って謝りに行こう。
「狙ってる組織は国外のテロリストって書いてるけど、逆に狙われる理由は?」
脳天チョップで完全に目が覚めたのか、桃は真剣な目で尋ねてくる。どうやら、スイッチが入ったらしい。
最近の様子から色々と心配ではあったが、この感じだととりあえずは大丈夫だと思っておこう。
「それが、また面倒なことになっててな……形に残る書類とか資料とかにはできなかったんだけど、どうもこの人、旧世界でネザーとかなり深く繋がってたらしいんだよ」
「緋桜」
「え、いや知らねえぞ」
元ネザー職員である緋桜も知らない。つまりは、まだミハイル・ノーレッジが支配していた頃のネザーと、このエウロペという女性は関わりを持っていた。
「緋桜さんが知らないってことは、結構ヤバめな研究に関わってた可能性が高い。それこそ、ミハイル・ノーレッジが直接手を出してたようなやつだ」
「つまり、そんな女性を狙うテロリスト側は、自然と転生者ってことになるね」
「トップはな。実行犯はどうか分かんねえよ。その辺りは出たとこ勝負になる」
依頼の仲介人曰く、エウロペに旧世界での記憶はないらしい。つまり、護衛対象は転生者じゃない。なぜ自分が狙われるのかも理解していないだろう。
「旧ネザーの研究員に、転生者はいた?」
「さあな。俺だって全職員を把握してたわけじゃねえし、仮に把握していても相手が隠してちゃおしまいだ」
「それもそうね……でも、記憶を持ってないこの人を狙う理由が、いまいち見当たらないわよ」
「そこはあれでしょ、愛美ちゃん。旧世界でネザーとドップリな関係だって言うなら、この世界でもそれなりに闇で色々やってるはずだよ」
「そんなものかしら?」
「そんなものだよ。愛美ちゃん、意外とこういう政治的な謀略とかは向いてないよね」
やれやれも肩を竦める魔女。愛美はムッとした表情で何か言い返そうとしていたが、自分でも否定できる要素が見当たらなかったのだろう。
実際、それは殺人姫の数少ない弱点とも言える。なにせ正面からの戦闘は全部斬っておしまいだし、それこそ謀略を張り巡らせた搦め手も全部斬っておしまい。
結果その内容まで理解することもなく、むしろ理解するまでもなく勝利するから。
頭はいいから、本格的に考えたり推理したりしだしたらそれなりの答えは出すのだろうが。それでもやはり、愛美は前線に出て直接戦闘する方が向いている。
「ともあれ、今回は不明な点が結構多いんだ。このエウロペって人が仮に裏で悪事に手を貸してたとしても、この人を守るのが依頼だからな。少なくとも、旧世界での遺恨を持ち込んでくるような奴が相手なら、俺たちの出番ってわけだ」
「高い前金も貰っちゃったし、失敗するわけにはいかないものね」
「お前らの食費が懸かってるからな」
「切実だねぇ……」
いや本当切実なんですよ。我が家のエンゲル係数は馬鹿みたいに高いので。
しかし愛する嫁と娘に食事制限を言い渡すなんて出来るわけもないし、二人が素直に聞くとも思えないから、高額の依頼は失敗するわけにはいかないのだ。
「現場では基本的に、二人に分かれて動くからな。愛美と桃は護衛対象と常に離れず動いてくれ。俺と緋桜さんは、少し離れたところで周囲の警戒って感じだ」
「ま、妥当なところだな」
「ところであんたたち、まさかその格好で行くつもりじゃないでしょうね」
なにか問題でも? と言いたげな桃と緋桜は、至って普通のラフな格好だ。かたやブラウスにロングスカートで、かたや適当なシャツにパーカーとジーパン。
そして一方で、ジト目で二人を睨む愛美は、卸したてのパンツスーツをきっちり着こなしている。
織も同じくスーツ姿だが、こちらは普段の仕事着なので特に変わり映えはない。
「なに、もしかしてわたしたちもスーツ着ないとダメなの?」
「家に取りに戻らないとダメじゃねえか。そういうのは先に言っとけよな」
「安心してください、私が作ってますので!」
文句を言い出す二人に、朱音がどこからともなく二着のスーツを取り出した。緋桜はともかく、桃は確実にスーツなんて持っていないだろうと思っていたから、予め朱音に頼んで作ってもらっていたのだ。
「それ、サイズは大丈夫なのか?」
「葵さんに聞いたらすぐに教えてくれました!」
「プライバシーどこいったの」
「それは今更ですが。あ、でも桃さんのは言い渋ってましたが、緋桜さんのは一瞬で答えてくれましたよ」
それは果たして、緋桜がどうでもいいからなのか、それとも普段から兄の体のサイズを把握しているからか。
どうやら愛美は後者の見たようで。
「兄の身体データを把握してる妹って、冷静に考えてちょっと怖いわよね」
「言ってやるな愛美、葵もちょっとブラコン拗らせてるんだよ」
本人が聞いてたら怒られそうだが、しかし葵が実際に捻くれた形でブラコン拗らせてるのは事実だから仕方ない。
「そんなことより、さっさと着替えてきなさい。二階貸してあげるから」
「はーい」
「仕方ねえな」
「……いやついてこないでよ!」
桃と一緒に二階に上がろうとした緋桜が、顔面にグーを食らっていた。ついでとばかりに、倒れた緋桜を愛美がゲシゲシと蹴る。
相変わらず仲良いなぁ、と一瞬感心しそうになったが、いつまでも袋叩きにされてる緋桜がさすがに可哀想に思えてしまった。
いや、間違いなく緋桜が悪いんだけどね。
◆
朱音に元気よく見送られた四人は、転移で一息に横浜港まで移動した。護衛対象とは、クルーズ船の中で合流することになっているのだが。
「でかすぎね……?」
「織くんが驚いてどうするの」
目の前には、全長二百メートル以上ある巨大な豪華客船が。そもそも船に乗る経験自体があまりない織は、事前に渡された資料で船について書かれていても、いまいちピンと来なかった。
一方で、二百年を生きた魔女様はさすがにその辺詳しいのか、巨大な船体を見上げて解説してくれる。
「当然だと思うけど、富裕層向けの船だね。中でもかなりの上客しか乗せないんじゃないかな。それこそ海外のお姫様みたいなのから、どっかの会社の社長とか、国会議員様とかね」
「となると、本当にただの国内クルーズなのかも怪しいところだな。表向きはそう言ってても、実は船の中じゃ人様にお見せできないことやっててもおかしくはない」
続く緋桜の言葉に、織は嫌な予感がたっぷりとした。令和の時代にもなって海の上で闇オークションとか、そういうのが頭の中に思い浮かぶ。
しかしこのクルーズ旅行がおかしなものであることは、織だってさすがに気が付いていた。そもそも、護衛対象と事前に顔を合わせない時点でおかしい。船の中で合流とか、なにかありますよと言っているようなものだろう。
愛美の考えも聞こうと視線を向ければ、彼女は別にその辺を深く考えていないようで。桃と緋桜の話を聞いてるのか聞いてないんだか、マイペースに足回りの確認をしている。
「革靴って思ったより動きにくいのね……」
「慣れたら気にならなくなるぞ」
「織は普段から履いてるからでしょ」
スーツを華麗にかっこよく着こなす愛美は、長い髪を一本に纏めてポニーテールにしていた。普段とは全く違ったその装いが見慣れなくて、結構ドキドキしちゃう。
美人のスーツ姿がこうも絵になるとは。アンナが普段からスーツを着用しているが、彼女はふとした拍子にボロが出て可愛い系になってしまう。桃だって今はスーツを着ているけど、大人びて見える愛美と違って、顔立ちにはまだ幼さが垣間見える。なによりアンナと桃の二人は、下がスカートだ。
対して今の愛美はパンツスーツ。スラリと伸びた長い脚が、スーツの流麗なラインに彩られている。認識阻害をかけているため周りには見えていないが、腰には刀を差していた。そのせいで、アニメや漫画の中に出てくるキャラクターのようだ。立ち姿は完全に浮世離れしている。
綺麗だとか美人だとかより、カッコいいという印象が強い。
今後も仕事の時はスーツを着るようにお願いしよう。
「とにかく、中に入るわよ。今ここで話し合ったところで、その護衛対象と合流しないことには始まらないんだから」
「それもそうだな」
四人揃って、ついにクルーズ船へと乗り込む。合流場所は対象が泊まる一等客室、ホテルなどでのスイートルームに該当する。ただでさえ金持ちばかりが集まる中でのスイートだ。それだけの上客ということだろう。
まあ、護衛を依頼する割には目立つところに泊まるのも変な話だが。
船の中を歩き、高層階の後方の位置までやってきた。そこまで来ると部屋が近いからか、黒服の屈強な男が織たちを案内する。道中は想像していたよりも広々とした通路だった。学校の廊下なんかよりも更に広い。客船だから当然なのだろうが、もっと狭いイメージがあっただけに意外だ。
そうして辿り着いた先の部屋に通されると、中はかなり広く、並のホテルよりも豪華な内装が四人を出迎えた。
およそ300㎡はあるだろうか。当然のように事務所より広いし、置かれている家具や調度品は、織の年収じゃ弁償できないほどの価値がついてるだろう。
ベランダまで付いている上に窓からは外の景色が一望でき、青々とした海と横浜港が広がっている。
そして部屋の奥へと進めば、中央のソファに座るブロンドの髪が。側仕えらしき女性が給仕していて、こちらに気づく。
「殿下、護衛の方がお見えになりました」
「あら、もうそんな時間? ということは、出発ももうすぐかしら」
微笑を携えて振り返ったのは、事務所でも写真で確認した女性。
エウロペ・ティニス。
自室にも関わらず豪華な青いドレスを着た彼女は、検分するように四人を見渡す。
「ふーん、思っていたより若いのね」
流暢な日本語。歳は織たちよりも上なのだろうが、その表情には幼なげな好奇心が宿っている。
写真での印象とはかなり違う、というのが正直なところか。
「この度護衛の依頼を受けました、桐生探偵事務所の所長、桐生織です。そちらの女性二名を常に控えさせておきますので、安心して船旅をお楽しみください」
家で何度も練習した口上を、なんとか噛まずに言ってみせる。織的にはここが最大の鬼門だったのだが、無事に乗り切ってみせた。
胸の中で安堵するのも束の間、しかしエウロペから放たれたのは、予想外の言葉で。
「どうしてあなたが勝手に決めるの?」
「え」
「せっかくの旅行なのだから、同性ばかりに囲まれるのなんて嫌よ。ほら、そこのあなた。あなたがわたくしの側にいなさい」
「俺?」
指差されたのは、織の背後に立っていた緋桜だった。
「ええ、あなたよあなた。だってイケメンじゃない。国に持ち帰りたいくらいだわ」
「ダメです」
答えたのは、織でも緋桜でもない。
ニコニコと底の見えない笑顔を浮かべている、おさげ髪の少女だ。
「お戯れはよしてください、王女殿下。現実に、あなたのお命を狙う輩がいるのです。こちらの決めた護衛の配置は変えられません」
「ちょっと桃」
「我々のことをただの若造だと舐めているのならそれでも結構。しかし、なにより優先すべきは御身であり、そのためなら最低限こちらの指示には従ってもらいます」
愛美が小突いて諌めようとしているが、それでも桃は止まらない。ソファへと一歩詰め寄り、言葉遣いこそ殊勝なものだが命令と何ら変わりなかった。
相手が一国の王族であるにも関わらず、威圧的とも取れる態度。
エウロペは気分を害したのか、端正な顔の眉根に皺を寄せていた。
勘弁してくれと内心では思ってしまうものの、はてさてそれはどちらに対するものなのか。織自身も判断がつかない。
「まあ落ち着けって桃。たしかに俺は自由に動き回れた方が助かるけどな、ここはあっちに従ってた方がいい」
「は? なに言ってんの? 緋桜がお姫様の側にずっといて、変な気を起こしたらどうするの」
「信用ねえな」
苦笑して赤みがかった黒髪を掻く緋桜だが、どうせ桃の言葉に込められた感情にも気づいているのだろう。
しかし珍しい。
たしかにお姫様の我儘、こちらとしては勝手に配置を変えられると困るが、桃がここまで噛み付くとは。
ドラグニアに住みたいとかいきなり言い出したかと思えば、恐らく本人も無意識にこうして緋桜への執着を見せる。
精神的に不安定、と言ってしまえばそれまでなのだろうが。それにしたっておかしい。
異世界への移住と緋桜への執着じみたなにかは、本来相反するものだ。だって桃は、言い方を選ばずに言ってしまえば、この世界を捨ててドラグニアに住むと言っていたらしいのだから。
でも、もしかしたらこれはチャンスかもしれない。
桃をこちらの世界に引き止めるための。
「いや、言う通りにしよう。予定変更だ、王女殿下の側に控えるのは緋桜さん一人、俺たち三人は少し離れて周囲の警戒。緋桜さんの役割は俺が引き継ぐ」
「織くん!」
「悪いな桃、従ってくれ」
「……勝手にすれば」
なにか言いたげに口を開いたが、しかしそれしか言葉は出てこなかったのか。そう吐き捨てて、桃は部屋を出て行った。
彼女なら仕事を放り出すような真似はしないはずだし、しばらくはひとりにしておいた方がいいだろう。
傍では愛美が、頭が痛いとばかりに額に手を当ててため息を吐いていた。
「では、我々は外で待機しています。危ないことがあれば、すぐに彼を頼ってください」
一礼して、緋桜だけを残し織と愛美も部屋を出る。一応護衛のためにも部屋を用意してくれているらしいので、とりあえずそちらへ向かった。
「とんだ我儘王女が出てきたわね。有澄さんを見習ってほしいわ」
「あれを見習うのはダメだろ」
ドラグニア神聖王国第一王女様は、あれで結構自由奔放なところがある。側近をしている友人は割と頭を悩ませていた。
ただ、今回の護衛対象であるエウロペ・ティリスも、ある意味でお姫様らしいか。
自分の言うことは誰でも聞いてくれる、そう勘違いしてしまっている我儘娘。
あんなの、相手がお姫様でなければ織だってその場でNOを突きつけたかった。
「それで? 緋桜の役割は織が引き継ぐんでしょ? 具体的にどうするのよ」
「考えがないわけじゃない」
緋桜には元々、隠密に徹してもらう予定だった。体を霧に変える魔術や、彼の桜の魔術はかなり応用が効く。それを使って索敵から罠を張るまで、色々と任せようと思っていたのだが。
蓋を開けてみればこの始末。単純な魔術の腕だと織は緋桜の数段格下なので、同じ芸当は真似できない。
しかし、織には出来て緋桜に出来ないことも、同時に存在している。
「ま、こんな感じでだな」
瞳を橙色に輝かせ、壁に手を当てる。そこに一瞬魔法陣が浮かび上がった。すぐに壁と同化して消えるが、今のは非殺傷の衝撃を与える魔術を込めた。
それだけなら緋桜でも同じことができるし、なんならもっと緻密な魔法陣を描けるだろう。
だが、特定の場所に特定の時間を指定して起動する魔法陣は、織にしか描けない。
「なるほど、未来視を使って罠を張るってわけね。敵が来る場所とタイミングさえ分かっていれば、それに合わせた時限爆弾でも仕掛けてればいいだけってこと」
「そういうことだ。船の中全部にってのはさすがに無理だから、危ないやつだけな」
あとは適当に近辺の見回りでもして、お姫様が外に出る時は距離を空けて見守っていればいい。
こちらは魔術も異能もフル活用させてもらうのだ。護衛それ自体は問題ない。
不安材料があるとすれば、それは彼女のことだろうか。
「あの馬鹿な魔女様は、どうするつもりかしらね」
ため息混じりに呟く愛美。
きっと、桃自身もどうしたらいいのか分かっていないのだろう。せめて彼女が、悔いのない選択をして欲しい。
今の織には、そう願うことしか出来ない。
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