勇気があれば 青春のリアル
@zowtg
勇気があれば
僕が高校生の頃、好きな人ができた。きっかけというきっかけは特に無い。ただ話していると気分が高揚して幸せになれた。
彼女への好意が高まるにつれて、会話の機会も増えていった。関わる機会が増えていくと親密になっていくもので、彼女と出かけることが多くなった。最初の頃は共通の友人を交えた大人数で、そしてしばらくしてから2人きりで出かけることもあった。
来年から受験で忙しくなると考え始める頃、彼女と2人で映画館に行くことになった。見たのは彼女と同じ趣味のホラー映画だった。僕は告白すべきかそうでないか、それをずっと考えていて、あまり映画の内容が頭に入ってこなかった。僕は彼女のことが好きで、誰にも渡したく無いほど好きだった。だが、もし告白が失敗したら、それが原因で友達という関係さえもなくなってしまったら、そんなことが何度も頭をよぎった。
映画も終わり、日も沈みかけた夕刻。彼女と並んで歩く帰り道は、彼女は僕が告白しようとしているのを察していたのか、いつもよりぎこちなく口数が少なくなっていた。
何度も何度も、もう少し一緒に過ごさないかという言葉が喉から出かかっては引っ込み、そんなことをしている間に徐々に駅は迫ってくる。
そして臆病な僕と、告白をしたい僕の一騎打ちの結果は書かなくてもわかるだろう。受験の忙しさを言い訳に、彼女とは疎遠になり、そのまま青春は終わってしまった。もう少し勇気があれば。
勇気があれば 青春のリアル @zowtg
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