第3話廊下での女子三人の会話

廊下に出て、結菜がウチの手を離して、三ケ野の頭を掴んで、謝らせた。

「ほんと、詩乃がごめんね。ほらっ、謝りなよ、詩乃っ!」

「やめっ離せぇー結菜ぁっ!ああっもうぉっー。ご、ごめん......ね、加瀬さ──」

三ケ野は、必死に抵抗してもがき続けていたが、抵抗もむなしく頭があがらずに一言謝る。

「そんな軽い謝罪はだめでしょ。あんな大勢に注目されたんだよ、加瀬さんはっ」

「軽いってぇっ......いたいいたいってばぁっ、結菜ぁっ!潰れるっっ、頭潰れるからやめてぇーっ!分かったから、今やるから離して。お願いっ、結菜ああっっ!」

三ケ野の悲痛な叫び声が廊下に響き渡る。

貴女のせいで今も注目を浴び続けてますけど。

「もういいですよ、本当に。ウチは、いいですから。離してあげて、結菜さんっ」

「いいの?泣き出しそうな感じがしてたのに、ほんといいの?加瀬さん」

「はいっ、なので離してあげて」

「加瀬さんがそう言うなら」

結菜は、三ケ野の頭を離して彼女の肩に腕を回した。

「こんな詩乃だけど仲良くしてやって。迷惑掛けるだろうけど、よろしくね。またね~加瀬さん」

そう言い残し、結菜は歩きだし去っていく。

「ほんと、手加減ないし結菜って。えっと、ありがとう。さっきはごめんなさい、加瀬さん」

三ケ野は、結菜のことを愚痴りながら頭をさする。改めて謝る彼女。

「もういいよ、謝らなくて。鞄、置いたままで帰るつもり?」

「えっ?それって帰ってくれるってこと?一緒に」

「まあ......ね」

彼女は、満面の笑みを浮かべ小走りで教室に通学鞄を取りに戻っていく。

ふぅー、まあいいかな。

今日ぐらいは。

教室を出てきた彼女が、駆け寄ってきて手を握ってきて歩きだした。

「身体がいくつあっても足りないよ、結菜といるのは。もうほんとにさぁ──」

彼女は、結菜の愚痴をこぼし始めた。



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