第57話 日清、日露戦争はどちらもロシアとの戦いだった!? 後編

ロシア「凍らない港がほしいから、南に行きたい」


 このように企むロシアでしたが、この頃のヨーロッパやアメリカは、こぞってアジアの国を植民地にしていました。


 現代なら理由もなく他国を侵略すると国際的に非難されますが、近代の世界はそんな事おかまいなし、積極的に植民地を作り、そこと貿易して儲けようとしていました。


 世界的に治安が悪いですね。


 日本としはロシアが南下してくると、攻めてくるかもしれないから、朝鮮を防衛ラインにしようとしていました。

 しかし当時の朝鮮は清の子分でした。


 そして、朝鮮の支配権を巡り、日本と清が戦う『日清戦争』が勃発し、日本の大勝利に終わりました。

 

 こうして朝鮮の支配権を手に入れ、清の一部であった、遼東半島を手入れることができました。


ロシア「俺たちの南下を防ごうとしているな! 日本め、好きにはさせない!」


 日清戦争が終わった後、ついにロシアが動き始めたのです。



【ロシアが仲間を引き連れてクレームを入れた! 三国干渉】

ロシア「くっそー! 日本め! 遼東半島に居座りやがって! ムカつくなあ」


  遼東半島は朝鮮半島に上にあり、中国と朝鮮を繋ぐ場所にあります。そこが日本の領土になったので、ロシアとしては非常に南下しにくくなりました。


 そこでロシアはどうしたかと言うと……


ロシア「ちょっと、日本がムカつくから一緒に文句言って」


ドイツ「いいよ」


フランス「日本の好きにはさせない」


 仲間を集めて日本に文句を言う事にしたのです。なんで、こんなに簡単に仲間が集まってくるのかと言うと、何度も言っていますが、当時のヨーロッパは他国に攻め込んで、積極的に植民地を増やしていた時代。


 戦争で弱っている清は、ヨーロッパ諸国にとって調度いいターゲットでしたが、日本が進行してくると、やりにくくなるので排除しておきたかったのです。


ロシア「清に遼東半島を返せ!」


フランス「そうだー! そうだー!」


ドイツ「ロシアの言う通りだ!」


 3つの国から迫られたので、流石の日本も要求を飲むことしか出来ませんでした。この出来事を『三国干渉』といいます。


日本「わかった。遼東半島を返すよ」

 

ロシア「わかればいいんだよ」

 

 こうして、日本は遼東半島を返すことになったのですが……


ロシア「はい! ここ俺たちの土地。みんなでコサックダンスを踊ろう!」


 なんと! 「清に遼東半島を返せ!」とか言って、三国干渉を行ったのに、ロシアは遼東半島を自分の土地にしてしまったのです。


日本「ふざけるなああ! 清に遼東半島を返せとか言って、なに自分の土地にしてるんじゃ!」


 これには、日本はぶちギレました。そして『臥薪嘗胆がしんしょうたん』をスローガンに掲げて、ロシアと戦うことにしたのです。


 さて、臥薪嘗胆の意味ですが、これは中国の古い言葉で「じっと我慢して復讐する」という意味です。

 

 つまり、日本は「アベンジャーズ」ならぬ「リベンジャーズ」になった訳ですね。


【チャンス到来! 義和団事件】

 三国干渉によって、ロシアに遼東半島を奪われた日本。「復讐してやる! 臥薪嘗胆」というスローガンを掲げ、ロシアに攻撃を仕掛けるチャンスを伺っていました。


 そんな時、『義和団』という宗教団体が反乱を起こしました。


 なぜ宗教団体が反乱を起こしたのかと言うと、当時の清は外国との戦争に負けまくっており、イギリスやフランスにどんどん領土を奪われていました。


 たとえるなら、「仲間と食べるピザ」みたいなものですね。


「はーい、ここはイギリスで、こっちはフランスにあげる。あらら、日本も来たの、じゃあここを食べて」


 こんな感じで、ピザのようにどんどん分割されていました。


 さて、ヨーロッパ諸国が流入してきたで、当然キリスト教も入ってきますが、清は元々仏教国でした。


「イエス様の教えは素晴らしいですよ」


「うっせー! 俺たちは元々、仏教なんだ!」


 こんな感じで清の人々とキリスト教徒の間で、対立が生じます。そんな中、義和団という宗教団体が誕生しました。


 義和団というのは……


義和団「拳法によって、刀にも槍にも負けない、無敵の体を作る」


 という教義をもっていました。拳法でなんとかするなんて、後にブルース・リーやジャッキー・チェンが登場する国ですね。

 

 ブルース・リーとジャッキー・チェンは冗談ですが、義和団は……


義和団「オラオラ! 俺たちの国から出ていけ!」


キリスト教徒「オーノー」


 キリスト教徒を襲撃していきました。


 そしてこの過激な活動は、どんどん激しくなっていき、農民も義和団の反乱に便乗していきます。

 そしてヨーロッパ諸国が作った建物を破壊したり、外国人を殺害する『義和団事件』という、とんでもない事件が発生します。


 さて、当時の清を支配していたのは、西太后という女性でした。


 西太后は義和団による反乱を止めようしますが、上手くいきませんでした。困った西太后は何をしたのかというと……


西太后「そうだ! 外国に宣戦布告して、外国の兵士と義和団を戦わせましょう!」


 まさに「毒をもって毒を制す」というところでしょうか。


西太后「世界中の国の偉いさんたち! かかってこいや! コラー」


 西太后はイギリス、フランス、オーストリア、ロシア、日本、インド、アメリカにケンカを売ったのです。


 なぜ西太后は世界の国々にケンカを売ったのかというと、義和団と外国の軍をぶつけるためです。

「義和団が外国に負けても、外国が義和団に負けても、どちらにとっても清にとって、いい結果に転ぶだろう」と考えていたからです。


 さて、清を支配して領土を広げたい各国にとって、西太后がケンカを売ってきたのは、まさに軍を送るいい機会です。


 まさに、「カモがネギを背負ってやってきた」のと同じです。


 西太后がケンカを売った国々が、清に雪崩込んできました。


各国の軍「オラオラオラ!」


義和団「ぎゃー! なんかたくさん来た!」


 さて、義和団ですが農民と宗教団体の人で構成されています。言ってしまえばただの素人軍団なので、プロの陸軍に勝てるはずがありません。

 草野球チームがプロの球団に挑むようなものです。しかも相手は8チームもいますw


 こうして、義和団事件はあっさりと鎮圧され、ケンカを売ったので、清も他の国々に抑えられ、西太后の権威も失墜します。


 ただでさえ、清は負けが続いているのに、余計にボコボコになってしまいました。



【日英同盟】

 8カ国というたくさんの国が介入した義和団事件ですが……


アメリカ「うちはフィリピンと戦争してるんで、帰ります」


イギリス「うちもアフリカと戦ってるんで、この辺でおいとまします」


 皆、どこかしらと戦争しているので、帰ってしましました。それにしても、治安が悪い時代ですね。


 さて、残されたのは日本とロシアです。


ロシア「ああん! やんのか? コラ」


日本「ぐぬぬぬ! やっつけたいけど、ロシアは強い」


 超列強国であるロシアと戦っても、日本に勝ち目はありません。そこで、日本はどうしたかというと。


日本「イギリス。ロシアを倒すのを手伝ってよー」


イギリス「わかった。俺たちもロシアが嫌いなんだ! 一緒にロシアを倒そう」


 日本はイギリスに助けを求めました。! なぜイギリスが日本の助っ人になってくれたのかというと、イギリスとロシアはケンカしたばかりなので、仲が悪かったのです。


 そもそも、なんでロシアが東のアジアに進出しようとしたのかというと、西側のヨーロッパへの進出に失敗したからです。

 その時、ロシアの行く手を阻んだのがイギリスだったから、2国の仲が悪かったのです。

 それだけでなく、イギリスは当時、植民地をたくさんもっていました。領土を広げて大国になったのはいいけど、植民地を作りすぎて、アジアの方面に手が回らなくなっていました。


 そこで、日本と仲良くして、アジア方面は日本に任せておいた方が、イギリスとしても都合がよかったのです。


日本「ロシアと戦いたいけど、俺たちだけじゃ勝てない」


イギリス「ロシアは嫌いだし、アジアは日本に任せたいなぁ」


 このように、日本とイギリスは利害が一致していたんですね。


 こうして、日本とイギリスは『日英同盟』を組みました。そして、イギリスの後ろ盾を得た日本は、ロシアと戦うことになります。



【ついに勃発! 日露戦争!】

日本「今度こそロシアをぶちのめしてやる!!!」


ロシア「かかってこいやー!」


 日本が宣戦布告して『日露戦争』が始まりました!


日本「くらえ! ジャパニーズキャノン発射!」


ロシア「うわああ! しかし、まだまだ! 今度はこっちの番だ! コサックビーム」


日本「ぬわああああ! くっそー! こっちだってやられていないぞ! 大和魂見せてやる!」


 日露戦争は大激戦となりました。


日本「オラオラオラオラオラオラオラオラッ! オラー!!!」


ロシア「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ! 無駄ー!!!」


 大国ロシアに果敢に挑むも、日本軍は苦戦を強いられます。軍資金も兵士もどんどん減っていき、日本軍の屍の山が築かれていきました。


 さて、日本では……


与謝野晶子よさのあきこ「君死にたまふことなかれ」

 

  と、日露戦争に出兵した弟の無事を願う、歌がかなり有名ですね。


 なかなか、ロシアに勝てない日本軍。お金、兵士、弾薬が尽きてきて、「もうダメだ!」と思われた時です。


ロシア「やべぇ! なんか本国で革命が起きたんだけど! 日本と戦っているのに、大変だー!」

 

 なんと! ロシアで『ロシア革命』が発生したのです! 国内が大変なことになっているのに、日本軍と戦わなければいけない不利な状態になってしまいました。


 実は日本はロシアにスパイを送りこんでいて……


スパイ「革命起こすなら、今でしょ!」


反政府勢力「よっしゃー! やってやる」


 なんと! スパイが反政府勢力に、革命を後押しさせたそうです。日本もなかなか、やりますねw


ロシア「くっそー! 革命でやばい状況だけど、日本を潰してやる! 行け! バルチック艦隊! 日本を焼き払え!」


 ロシアは世界屈指の強さを誇る、最強の戦艦の軍団を日本に送りました! 


 世界最強クラスのやべぇ奴等が日本海を渡って、どんどん日本に攻めてきます。


 漫画で例えると、ギニュー特戦○が攻めてくるようなものですw


 ギニュー特戦○を迎え撃つのは艦娘たち……じゃなくて、バルチック艦隊を迎え打つのは、日本の戦艦! この戦いはどうなったのかというと……


日本「いくぞ! 最後の大和魂見せてやる! うおおおお! ジャパニーズキャノン発射!」


バルチック艦隊「ぎゃあああああああああああ!」


 なんと! 日本の戦艦が世界最強クラスのバルチック艦隊を倒したのです。


世界「うそおおおおお! 日本がバルチック艦隊を倒したの!?」


 世界中の国々は「日本がバルチック艦隊には勝てないでしょ」と思っていたので、まさかの逆転劇に世界が驚きます。


 バルチック艦隊はやられたし、本国では革命で大変なことになっているしで、ロシアの戦意は喪失しました。


 こうして日露戦争は「日本のギリギリ勝利」という結果に終わりました。


 こうしてロシアは日本は和平交渉に進み、猫ひろしさんのギャグ「ポーツマス! ポーツマス!」で有名な『ポーツマス条約』を結びます。


 そしてポーツマス条約によって「日本の韓国の支配」が認められました。


 なんで、朝鮮から韓国に変わったのかというと、日露戦争をしているうちに国が変わったからです。激動に激動を重ねているので、ややこしいですねw


 どちらにせよ朝鮮半島は日本の植民地になりました。


 この出来事を『日韓併合』といいます。

 

 しかし、日本は戦争に勝ったけどボロボロの状態。一方、敗北したロシアはまだ戦う余力がありました。


 日本からしたら「試合に勝利して、戦いに負けた」という状態です。これ以上、ロシアが攻め込んできても困るので……


日本「賠償金の支配は、しなくてもいいよ」


ロシア「それなばいいだろう」


 このように、賠償金を得ることはできませんでした。


 こうして多くの犠牲を払った日本の勝利という形で、日露戦争は終わります。


 ちなみに与謝野晶子の弟ですが、多くの仲間が散っていくなか、なんとか生き残り姉と再会を果たしています。

 

 晶子の願いが届いたのかもしれませんね。


 明日は1日お休みします。

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