第56話 日清、日露戦争はどちらもロシアとの戦いだった!? 前編

 飛鳥時代から江戸時代まで、日本はずっと国内で争っていました。とは言え、外国との戦いがなかったわけではなくモンゴル帝国が攻めてきたり、たまに朝鮮半島に出兵していますが、日本はほとんど内乱の歴史です。


 しかし、近代になると日本は積極的に外国に攻め込んでいきます。


 その最初の戦いが、当時中国にあった国である『清』との戦い『日清戦争』であり、その次がロシアと戦った日露戦争ですね。


 さて、日本史の授業って日清戦争と日露戦争って、ギョーザ○王将のラーメンとギョーザのセットのように、同時に習いませんでしたか?


 2つの戦争の時期が近いというのもありますが、実はどちらも「ロシアとの戦い」なんです。


「ロシアとの戦いなんでしょ? 日露戦争はわかるけど、なんで最初に清と戦ったの?」と不思議に思った人もいるでしょう。


 今回はその疑問にお答えするお話です。


 それでは2つの戦いを見ていきますが、まずは日清戦争から見ていきましょう!



【寒くてでかいロシア】

 元お笑い芸人の中田敦彦さんは、自身のYouTubeチャンネルで、歴史、美術、世界情勢など色々なジャンルについて解説しています。


 中田敦彦さんの動画はオススメです。よかったら、視てください。


 さて、中田さんは動画の中で、ロシアの特徴について「寒くて、でかい」と語っていました。


 世界地図を見てもらえれば一目瞭然ですが、ロシアは北海道よりも北にあり、国土もかなり大きいです。


 そんな寒いロシアの港は冬になると凍ってしまい、貿易ができなくなります。


 一年中貿易するために、どうしても「凍らない港」が欲しかった。そこで、ロシアは南に進出しようとしていました。


 西のヨーロッパ側はフランスやイギリスがいるので、進出は難しいです。なので、ロシアは東側のアジアへの進出を企てていました。


ロシア「南に行きたいなぁ」


 このように考えるロシアですが、日本としては都合が悪いです。


日本「ロシアが南下してくると、日本に攻めてくるかも」


 日本はロシアが南下してくると、国内に攻め込まれるかもしれません。そこで、ロシアと日本の間にある、朝鮮半島を防衛戦として押さえておきたかったのです。しかし……


清「朝鮮は私たちの子分アルヨー。誰にも渡さないアルヨー」


 当時の朝鮮は清の属国だったんです。


ロシア「凍らない港がほしいから、南に行きたいなあ」


日本「ロシアが攻めてくるかもしれない。南下を防ぐためにも、朝鮮をおさえておきたい!」


清「朝鮮は私たちの属国アルヨー!」


 このように、朝鮮をめぐる3国の思惑が交差し、争いになったのが、『日清戦争』なのです。

 


【朝鮮はグダグダだった】

 日本、ロシア、清の思惑はわかってくれたと思います。さて、3国の思いの交差点となっている、朝鮮はというと……


「欧米諸国が攻めてくるかもしれないか、日本についていって近代化しようよ」

 このように考える人と……


「今まで通り清の言うとことを聞いていれば、いいんだよ」

 このように考える人がいました。


 当時の朝鮮では「日本についていこう派」と「清についていこう派」で別れ、国内の意見が割れていました。


 日本としては「朝鮮が近代化すれば、ロシアも手が出しにくくなるから、清から独立してほしい」と考えていました。


 また、当時の清は明治維新前の日本みたく、ヨーロッパのテクノロジーや文化を、全く取り入れていなかったので、「欧米列強に太刀打ちできない」と日本は思っていました。


「朝鮮に近代化してほしい」日本は「古いままの清」から朝鮮を離したかったのです。


 一方で、清としては子分が独立されるのは、おもしろくありません。

 

日本「朝鮮を独立させろよ!」


清「朝鮮は家の子分アルヨー。文句あるのか、コノヤロー」


 朝鮮を巡って、日本と清の関係がだんだん悪くなってきました。



【幕末の日本と朝鮮はよく似ていた】

 当時の朝鮮の状態は「幕末の日本」と同じと言えます。

 

 開国した時の日本も、保守的な幕府と尊皇攘夷派がケンカしたり、外国の商品が流れてきたりして、国内の商業や経済が悪化しましたよね。


 これと同じことが朝鮮でも起きたのです。


「日本についていくか?」or「今まで通りでいくか?」で、国が分裂し、経済は他国に侵食され、テンヤワンヤの状態。


日本「朝鮮を独立させろー!」


清「朝鮮は家の子分アルヨー!」


朝鮮人A「日本についていこう!」


朝鮮人B「いやいや、清についていこう!」


朝鮮C「その前に経済がメチャクチャだよー! なんとかして!」


 こんな感じで朝鮮のメチャクチャでした。


 そして「日本についていこう派」と「清についていこう派」が別れて争う『壬午軍乱じんごぐんらん』という戦いが起きました。


 結果的に「日本についていこう派」が勝利しましたが……


日本「日本人も巻き込まれたかた、慰謝料払ってね」


朝鮮人「うわー、日本って感じわるー。やっぱり、清いついてこう」


 こんな感じで、日本人の印象が悪くなり、朝鮮はやっぱり清の方へ傾いていきました。


 一方、ベトナムでは、フランスに攻撃されていました。


ベトナム「うわー! フランスに攻撃された! 清、助けて!」


清「任せるアルー」


フランス「清は引っ込んでな!」


清「あべしーアルー」


 ベトナムに助太刀するも、清はフランスにあっさり負けてしまします。


 これを見た、朝鮮人は「やっぱり清ダメじゃん。日本についていくためにも政権を奪おう」という事になり、親日派が『甲申事変こうじんじへん』という、クーデターを起こしました。


日本「よっしゃ! 来たこれ!」


 朝鮮を清から引き離したい日本としては、親日派が甲申事変を起こしたのは、都合がよかったです。

 日本軍のサポートもあり、クーデターは順調に進んでいましたが……


清「朝鮮で勝手なことするなアルー!」


 すぐに清から軍が送られてきて、鎮圧されてしまいました。


 このように、朝鮮では「清なの? それとも、日本なの?」という感じで、ずっと揺れ動いています。


 さて、壬午軍乱と甲申事変を経て、朝鮮の影響力は日本よりも、清の方が強くなりました。


 こうして、朝鮮の覇権は、変わらず清が握ることになりましたが、日本は清と「朝鮮出兵する時はお互いに連絡をしましょう」という、『天津条約』を結ぶことになりました。


 朝鮮を間に挟んで、日本と清はずっと争っていましたが、この天津条約によって仲直りしましたが、一時的なものです。


 そう、ついに『日清戦争』が勃発します!



【日清戦争!】

 壬午軍乱と甲申事変の2つの戦い、そして天津条約によって、日本における朝鮮への影響力はなくなりましたが……


日本「まだチャンスはあるはずだ」


 挽回の機会を狙っていました。


 そんな時に……


農民「こんな国! もう我慢ならん!」


 何度も反乱がおきるし、国の経済はメチャクチャだし、不満がつもりにつもったので、ついに農民が大反乱を起こしました。


 この農民の大反乱を『甲午農民戦争こうごのうみんせんそう』と言います。


 この農民の大反乱の勢いはものすごくて、朝鮮は鎮圧することができませんでした。


朝鮮「ヘルプミー 清!」


清「わかったアルー!」

 

 朝鮮は清に援軍を頼みましたが、これを見ていた日本は甲午農民戦争はチャンス到来といえます。


日本「朝鮮にいる日本人を助けないといけないから、軍を送ります!」


 なにかと理由をつけて、朝鮮に軍を送ったのです。


 甲午農民戦争は「朝鮮が農民の要求を受け入れる」という形で終わりました。つまり、農民が勝ったのです。


 さて、戦争も終わったのですが、なぜか日本軍も清軍も朝鮮から撤退しません。それどころか、朝鮮でにらみ合いを始めました。


清「ここは俺の子分の国アルー」


日本「うるさい。俺たち日本人が朝鮮を変えるんだよ」


清「なに? そっちが出いくアルー」


日本「オッケー! バトルスタート!!!」


 朝鮮で鉢合わせした両軍がついに戦いを始め、『日清戦争』が勃発します。


 戦いの結果ですが……


日本「ジャパニーズキャノン発射!」


朝鮮「たわばー!」


 なんと日本軍の圧勝でした。というのも、日本は欧米のテクノロジーを取り入れていたので、清を倒せたのです。


 こうして、日本は清と『下関条約』を結びました。


 その内容というのは「朝鮮の独立させなさい。あと、日本に賠償金と清の領土である遼東半島りょうとんはんとうと台湾を渡すこと」という、日本にとってとても有利な内容でした。


 ちなみに遼東半島っていうのは、朝鮮半島の上にある、中国にある半島です。


 日清戦争に勝ち、朝鮮半島の防衛ライン確保と、領土拡大が叶った日本でしたが……


ロシア「おのれ日本め、お前の好きにはさせない」


 ロシアが日本に接近し始めたのです。 


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