第58話 なぜ日本経済が第一次世界大戦で活性化したのか!?
日露戦争の後、不平等条約であった日米修好通商条約の解消に成功し、領事裁判権の撤廃と、関税自主権を回復させることがました。
井伊直弼とハリスが日米修好通商条約を結んでから、およそ50年も経ってしまいました。
しかし、逆に言えばたった50年で日本はロシアに勝てるほど、強くなり、近代化が進んだといえます。
この50年を「長いととらえる」か「短いととらえるか」は、人それぞれでしょう。
日露戦争の後に起きるのが、あの『第一次世界大戦』です。
ヨーロッパを中心に起きた戦いで、約4年間行われ、多くの人が命を落としました。
さて、第一次世界大戦はテクノロジーの発展と共に、戦闘機や潜水艦、戦車や毒ガスなど、近代的な兵器が使用しれました。
剣で斬りあっていた時代とは、まったく違うといえ、今までの戦争の形から大きく変化したのが特徴といえます。
さて、日本はイギリスと『日英同盟』を結んでいたので、第一次世界大戦に参戦するのですが、大きな被害はありませんでした。
むしろ、第一次世界大戦が起きたことにより、日本の景気はよくなります。
今回は、なぜ第一次世界大戦が起きたのか? そして、なぜ日本の景気がよくなったのか? お話していきたいと思います。
【そもそもなぜ、第一次世界大戦が起きたの?】
現代ではヨーロッパの国同士って仲良くしているイメージがありますが、1900年代初期のヨーロッパはメチャクチャ仲が悪かったです。
というのも、それぞれの国が「自分の国が発展すれば、それでいい」と考えていたので、相手の足を引っ張ったりして、貿易や商売の邪魔をしていました。
積極的に植民地を作ったり、戦争をしかけて相手の領土を奪ったりしているのは、何度かお話しているので、皆様もわかっているのかもしれませんね。
こんな感じでみんな「自国ファースト、相手なんて知らん!」というスタンスなので、必然的お互い仲が悪くなってきます。
これも何度かお話していますが、産業革命によって機械で質のいい商品が大量生産できるようになりましが。それはいいけど、たくさん作りすぎて国内では売れなくなります。
「商品余っちゃったどうしよう。そうだ! 植民地に売ればいいんだ!」
こんな感じで、植民地に売り出すのですが……
「植民地がたくさんあったほうが、もっとお金儲けができるよね。アフリカやアジアの国を、どんどん奪っちゃおう」
こうして、ヨーロッパの国々は世界に進出して、積極的に植民地を増やしていきますが、相手の国を力付くで奪うので争いが起きるし、ヨーロッパの国同士でも植民地の奪い合いが起きるので、お互いの仲がわるくなっていきます。
さて、日本で明治維新が起きているくらいの時、ドイツとフランスが戦争していました(このとき、ドイツはプロイセンという国だったのですが、わかりやするためドイツって書いています)
結果はドイツが勝つのですが、フランスとは仲が悪いままでした。
ドイツ「くっそー! フランス、ムカつくなぁ! そうだ、仲間をつくってボッチにしたろ」
ドイツはフランスを仲間外れにするために、イタリア、オーストリアと手を組む『三国同盟』を結び、別でロシアとも仲良くしました。
こうして、ドイツは周囲の国と仲良くして、フランスをボッチにしたのです。しかし、ドイツの仲良しグループは、いつまでもいい関係がつづくことはありませんでした。
というのもドイツの皇帝が変わると、その人はとても強気でイケイケな皇帝でした。なので、海外進出をたくらむようになります。
ロシア「なんか最近のドイツ。調子にのってるなぁ。なんかムカつく!」
こんな感じでロシアの仲が悪くなり、同盟を解消しました。それを見ていたフランスは……
フランス「私ボッチなんで、仲良くしてください」
ロシア「いいよ」
こうしてフランスはロシアと手を組みました。
強気でイケイケなドイツに対して、イギリスもムカついてきます。そこで、イギリスはロシアとフランスのコンビに近づきます。
イギリス「なんかドイツがヤバイから、僕も仲間に入れてよ」
ロシア&フランス「いいよ」
こうして、「ドイツ、イタリア、オーストリア」による『三国同盟』というグループと、「イギリス、フランス、ロシア」による『三国協商』というグループに別れて対立が起きます。
例えるなら、ヤンキーのグループと暴走族のグループが土手に集まって、手は出してないけど、睨み合っている状態です。
ヨーロッパというフィールドで三国同盟と三国協商が……
三国同盟「やんのかコラ?」
三国協商「ああん! ボコすぞ!」
こんな感じで、睨みあっている中、バルカン半島という場所がピリピリしていました。
バルカン半島はイタリアの隣にある、地中海に面した地域なのですが、ドイツとロシアが領土拡大のために進出を企んでいたからです。
なので、ヨーロッパの国同士でピリピリしているのに、バルカン半島の覇権を巡って争いが起きれば、大爆発が起きてもおかしくないので、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれていました。
そんなバルカン半島の中でも争いが発生! 余計にヨーロッパの情勢が悪くなっていきます。
お互いが「ボコボコにするぞ!」、「やれるものならやってみろ」とピリピリして、イライラしている中、ある大事件が起きました。
ボスニアにあるサラエボに来ていたオーストリアの皇太子が、セルビア人に暗殺されるという『サラエボ事件』が起きました。
日本で言うと、天皇の子供が殺されるような大事件です。
オーストリア「くっそー! セルビアめ! やりやがったな! ボコボコにしてやる!」
みんなピリピリしている中、サラエボ事件が起きたので不満が大爆発して、オーストリアがセルビアに宣戦布告します。
ロシア「セルビアがかわいそうだろ!」
そんな中、ロシアはセルビアの味方をします。
そう、三国同盟のオーストリアがセルビアに攻撃して、三国協商のロシアがセルビアに味方したのです。
こうしてセルビアを中心にして、三国同盟と三国協商の争いが始まり、『第一次世界大戦』という、とんでもない大戦争が起きたのです。
【なぜ日本は第一次世界大戦に参戦したのか】
三国同盟と三国協商が争い始めたことにより、ヨーロッパではとんでもない大戦争が発生しました。
さて、第一次世界大戦は、多くの国が参戦したため「世界大戦」と呼ばれていますが、主な戦場となったのはヨーロッパです。しかし、遠く離れた日本も参戦します。
といのも日露戦争の時に、日本とイギリスは日英同盟を結んでいましたね。なのでイギリスは日本に……
イギリス「中国周辺にいるドイツ軍を倒してよ」
日本「わかったよー」
こうしてドイツの植民地である
日本「はい! ここは日本の領土です!」
なんと! 日本はドイツの植民地を奪ってしまったのです。
中国「青島を返してよ」
日本「だが断るッ! 『二十一ヵ条の要求』っていうのを作ったから、日本の言うことを聞いてね!」
『二十一ヵ条の要求』っていうのは、「土地を日本に寄越して、日本人を優遇しなさい」という要求ですね。
このように日本は中国で領土拡大していくのですが、ヨーロッパの国々は大戦争を行っている最中なので、日本に構っている暇なんてなく、第一次世界大戦の陰に隠れて領土を広げていったのです。
【成金登場】
領地拡大だけでなく第一次世界大戦は、日本に好景気をもたらしました。
というのも戦争によって物資不足になった、ヨーロッパの国に商品を売りまくったからです。
特に兵器を作るために必要な鉄は、売れまくったそうです。
こうして輸出量が増加した日本は、一気に好景気となり、お金持ちとなった人が現れます。
戦争の好景気によって誕生したお金持ちのことを『成金』と言います。
学校の教科書でも「ほら、明るくなっただろう」と言いながら、お札を燃やしているおじさんの絵を見たことがあるんじゃないでしょうか?
現代ならお札を燃やそうものなら、自分まで炎上してしまいますが、第一次世界大戦によって、日本に訪れた好景気によって、お札を燃やす成金が現れたのです。
【第一次世界大戦の結果は?】
第一次世界大戦の結果ですが……
アメリカ「三国協商に助太刀するぜ!」
なんと、三国協商側にアメリカが参戦しました。これによって、三国協商が有利となります。
そして、三国同盟が負け、講和条約である『ヴェルサイユ条約』が制定され、第一次世界大戦は終結しました。
その内容ですが……
「もう、こんな争いを生むのはマズイから、『国際連盟』を作ってみんなで仲良くしましょう。あと、戦争をしかけたドイツは領土少なくして、賠償金を払いなさい」
敗戦国であるドイツには、厳しい内容でした。
こうしてドイツは多くの領土を奪われたうえ、多額の賠償金を支払うことになったのですが、同時に猛烈な劣等感と不満を抱かせることになりました。
そしてドイツに蓄積した、マイナスの感情を全て飲み込んで、あの男が登場するのです!
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