第25話 鎌倉幕府、危機一髪! モンゴル帝国が攻めてきた!

【日本は平和になったけど、海の向こうでは……】 

 北条氏が日本国内を平定したので、平和な世の中が訪れました。


 天皇を見張る六波羅探題を京都に置いたので、朝廷が幕府にさからう事もなくなりました。


 鎌倉幕府に盾突こうとする者は、日本国内からいなくなりました……そう、日本国内には……。


 日本に平和が訪れている一方で、大陸は大変な事になっていました。


「ふあははは! 世界はこのチンギス・ハーンのモンゴル帝国の前にひれ伏すのだー!」

 

 そう、モンゴル帝国がユーラシア大陸の国々を侵略していたのです。


 モンゴル帝国襲来といえば、これをテーマにした人気ゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』が有名ですよね。

 

 これから、『鎌倉幕府VSモンゴル帝国』の戦いである、リアル・ゴースト・オブ・ツシマを語っていくのですが、

 わたしはこのゲーム、未プレイです。詳しい内容はわかりません。


 なんで、プレイしないのかと言うと……リアル・ゴースト・オブ・ツシマを書いているから、ゲームする時間がないんですよ!

 わたしに時間をください!!!

 

 すいません、取り乱しました (汗


 それでは、モンゴル帝国が攻めてきた『元寇げんこう』を見ていきましょう!



【超巨大帝国モンゴル】

 モンゴル帝国の進撃はすさまじく、侵略に侵略を重ねた結果、とてつもない領土を持っていました。

 

 なんと、東は朝鮮半島から始まり、中国全域、アフガニスタ、イラン、イラクなどの中東までモンゴル帝国に支配され、西はヨーロッパの一部という、とてつもない領土を持っていました。


 どうやってここまで領土を広げたのかと言うと、帝王チンギス・ハーンが力と暴力によって、数々の国を手に入れていったのですが、それだけじゃありません。

 モンゴル帝国があまりにも巨大で強すぎるので……


「チンギス・ハーンさん、我々の国はモンゴル帝国と戦いません。大人しく服従します」

 

このように自ら、属国になる国も現れたのです。


 また、戦争だけじゃなく国の運営も上手で、モンゴル帝国に逆らうよりも、服従した方が国が栄えるという事で、進んでモンゴル帝国に加わる国もありました。


 こうしてモンゴル帝国はユーラシア大陸の大部分を占める、巨大帝国になり、当時は世界の30%を支配いていたそです。

 

 そしてチンギス・ハーンの孫のフビライ・ハーンが、国号をモンゴル帝国から『元』に変更しました。



【なぜモンゴル帝国は、日本を侵略しようとしたのか?】

 ユーラシア大陸の大部分を支配していたモンゴル帝国、もとい元ですが……


元「くらえ! モンゴリアンチョップ!」


南宋「そんな攻撃効かん!」


元「なに!? 俺たちの攻撃が通じないだと!」


 中国の南側にあった『南宋』という国が強くて、なかなか攻め落とす事ができませんでした。

 そこでフビライは……


フビライ「うーん、なかなか上手くいかないなぁ。そうだ、日本に協力してもうらう!」


 日本を南宋を攻める仲間にするために、まずは使いを送りました。

 このように、いきなり攻めてきたわけではなく、最初は友好関係を結ぼうとしたのです。

 

 そして、元から日本に国書(手紙)が送られてくるのですが、その内容というのが……


『日本の人はじめまして、僕たちは天から守られている大モンゴル帝国の皇帝です。

 僕たちは昔から国境同士がつながってるから、貿易したり、お互いに仲良くするようにしてきたの。

 ましてや、大モンゴル帝国は天の命令によって、国々を支配してるから遠い国々の王様まで、皇帝を敬い家来になってるんだよ。

 たとえば、僕フビライが皇帝になってから、高麗こうらい(朝鮮)が、降伏して家来になったの。

 でも日本ってさ、昔から高麗や中国と仲良くしてて、貿易までしてたのに、どうして大モンゴル帝国に手紙の一枚も送らないの? ねえ、どうして?

 僕たちは日本の事をもっと知りたいの! だから、仲良くしよう。

 もし、僕たちの気持ちがわかってくれないと、軍隊を送って潰すからね。

 それじゃあ、いいお返事、待ってるから  by フビライ・ハーン』


「仲良くしよう」と言いつつ、最後は「軍隊を送って潰す」と脅しています。

 いやあ、元は怖いですねぇ。


 これを読んだ八代目執権、北条時宗は……


時宗「元から手紙きたけど、シカトしたろ」

 

 なんと無視する事にしたのです。そうしたら……


「ねぇ、なんで無視するの?」

「私たちは、君と仲良くしたいだけなの?」

「返事ちょうだい。はぁ、辛い」

「いいかげんにしないと、軍を送るよ」


 こんなメンヘラっぽい手紙を書いたか、どうかわかりませんが、合計5回もの、手紙が送られてきたのに、時宗は全部無視しました。


 なぜ、時宗は元を相手にしなかったのかというと……


南宋「北条さん、フビライはやべぇよ」


時宗「ええ、怖い!」


 フビライが倒したがっている南宋と鎌倉幕府は繋がっていて、元の情報を得ていたからです。


 さて無視を決め込んだ時宗ですが、なにもしなかったわけではありません。


時宗「元っていうヤベェ奴が、海の向こうから来るかもしれないから、皆気をつけてね」

 

 このように全国の御家人に注意をうながし、警戒心を強めました。

 


【吹けよ神風! リアル・ゴースト・オブ・ツシマ!】

フビライ「日本め! よくも俺様の手紙を無視してくれたな! いいだろう。元を恐ろしさを知らしめてやる!」


 そしてついに、元軍が攻めてきて『文永の役=リアル・ゴースト・オブ・ツシマ』が発生します!

 元軍の船は博多湾の浜辺に押し寄せました! 

 

「誉れ! 誉れ! 誉れ! 誉れ!」と言って集まってきた日本のサムライは3000人。

 これに対して元軍の兵士は、なんと2万人!


 とても「誉れない」戦力差ですね。


 それでも果敢に戦うサムライたち! しかし勇敢なサムライたちでさえ、元軍との戦いは苦戦を強いられました。


 まず『てつはう』という、投てき武器を使っていた事です。

 これは、陶器に火薬を詰め込んだものです。殺傷能力はありませんが、地面に落ちるとものすごい音が出て、相手をビビらせる事ができます。


 サムライは男らしく一対一で戦うのに対して、元軍は1人の相手に対して数人で取り囲み袋叩きにする、という戦法でした。


 未知との相手にサムライは大苦戦! そして、博多は元軍によって占拠されてしまいました!

 このまま、日本は元に乗っ取られてしまうのでしょうか!?


 今こそ、日本を救うために『神風』が吹く時です!


元軍「今回はこれくらい、勘弁してやる!」

 

 おや? 元軍が引き上げていきました。なぜ、元軍は引き上げていったのでしょうか? 



【元軍撤退の理由は神風ではなく、船酔いが原因だった!?】

『神風という暴風雨が吹いて、元軍を追い払った』という伝説は有名ですが、最近の研究では、暴風雨なんて吹かなかったと言われています。


 そもそも文永の役が起きたのは、11月下旬で台風が来る時期じゃなかったと言われています。


 最近では元軍が引き返した理由は『船酔いが原因だったんじゃないか?』と言われています。


 考えてもみてください。モンゴルは海がない国です。そしてアジアの大半を支配してからは、大陸を東の方へ向かって進軍していきました。


 つまり、元軍にとって、海を渡って島国に攻め込むという船旅は、初めてだったのです。


 また『日本海の荒波』と例えられるように、博多~朝鮮半島の間の海峡はとても荒れやすいです。


 船旅に慣れていない元軍にとって、荒波は厳しいものだったのは、言うまでもありません。

 しかも船を造らせたのは、属国の高麗こうらいという国でした。高麗の民衆を馬車馬のごとく働かせて、造った船だったので粗悪なものばかりでした。


『日本海の荒波』+『粗悪な船』という、合わせ技を喰らった元軍は、どんどん船酔いになっていき……


元軍「うう、気持ち悪い……こんな、状況でも戦わないといけないのか……」


 船酔いというステータス異常が発生している元軍がまともに戦えるはずがなく、士気がどんどん下がっていきます。そして……


元軍「ダメだ! 日本がどれぐらい広いかわからないし、気持ち悪くて戦えない! 撤収だ!」


 こうして元軍は引き返していったのですが、先程の言った通り季節は11月下旬です。


 気圧配置は冬型となり、暴風雨が吹かなくても波は荒くなります。もちろん、元軍は船の操作下手だし、そもそも船の造りが粗悪でした。


元軍A「うわー波がすごくて、船が操作できない! しかも気持ち悪くなってきた……うっ」


元軍B「お、おい! 前を見ろ! 岩がある!」


元軍C「うわー! ぶつかるー!」


 日本海の荒波に翻弄されたのは、言うまでもありません。


 その結果、岩に激突したりして、ズタボロになった元軍の船の残骸が、九州や対馬の海岸に流れ着きました。 

 それを見たサムライは……


サムライ「あれー? なんかよくわからないけど、嵐が来て元軍をやっつけてくれぞー! よかった! よかった!」



【リアル・ゴースト・オブ・ツシマ 第2ラウンド 弘安の役】

「北条さぁん、我々の強さわかったでしょ。元と仲良くしましょうよ~」

 

 鎌倉幕府に元から使いがやってきたようですね。

 しかし博多をメチャクチャにした元と、仲良くする事はできません。


時宗「うるさい! 元と仲良くできる訳ないだろ! 打ち首じゃあ!」


 怒った時宗は元の使いを処刑してしまいました!


 一方、元では……


フビライ「よくも、我々の使いを殺してくれたな。前回はデモンストレーションみたいなものだったが、今度は本格的に日本を潰してやる! 第2ラウンドスタートだ!」


 そしてフビライは、今回なんと! 14万人の大軍を日本に送ったのです。


時宗「元め! お前の行動はお見通しだ!」

 

 もちろん、鎌倉幕府はなにもしなかったわけではありません。

 

 九州沿岸に防壁を作り御家人だけでなく、朝廷のサムライや僧兵も、幕府の指揮下におき、軍事力を強化しました。


 元という巨大な敵に対して、日本一丸となって戦おうとしたのです。


 サムライは射程距離の長い弓を使い、さらに元軍の船に乗り込んで戦うという、相手を上陸させない戦法をとったのです。


 リアル・ゴースト・オブ・ツシマ2とも言える弘安の役は大激戦でした。


元軍「日本人め! 覚悟しろ!」


サムライ「うるせー! 大和魂みせてやる」


元軍「意外と強い! くっそー! 負けてたまるか!」


 元軍に対して、鎌倉のサムライは果敢に戦いました。


 暗くなり、両軍休戦状態になりました。そして元軍は船に引き上げていきました。


 さて、弘安の役が起きたのは7月でした。そう、バリバリ台風がやってくる季節です。そして夜中に嵐がやってきて……


サムライ「さあ! 今日も元軍と戦うぞ……ってあれ? 元軍の船が沈んでる!?」

 

 なんと暴風雨によって元軍の船が沈んでいたのです!


 こうしてラッキーによって、日本は国家存亡の危機から脱出する事ができました。

 

サムライ「やったー! 嵐が来て元軍が自滅したー!」 


 サムライが喜んでいると、しゃしゃり出てきたのは、お寺や神社など宗教関係者です。


坊主&神主「俺たちが日本を守るように、神仏に祈っていたから神風が吹いたんだ!」


『神様が元軍から日本を守ってくれた!』という神風伝説は、しゃしゃり出てきた宗教関係者によって、作られた可能性が高いと言われています。


 こうしてラッキーというか、相手が自滅したので、日本は元の侵略から逃れることができたのです。



【ゴースト・オブ・ツシマ3の可能性は……】

フビライ「くっそー! 日本め今度こそは、落としてやる!」

 

 もちろん、フビライは日本を諦めていませんでした。しかし……


「大変です、南の方で反乱が起きました!」

「大変です、北でも反乱が起こってます!」

「あっちでも反乱が起こってます!」

「そっちでも反乱が起こってます!」

「向こうでも反乱が起こってます!」


 国が大きくなりすぎて、手が回らなくなり、あちらこちらでクーデターが発生したのです。


フビライ「う、うわー大変だぁ! 日本にかまってられないよぉ!」


 こうして元は内部分裂を起こしたので、リアル・ゴースト・オブ・ツシマ3は起きませんでした。



【元寇によって、鎌倉幕府に亀裂が生じる】

 危険が去った日本ですが、こっちはこっちで面倒なことが起きていました……


時宗「いやー、危なかったけど、助かったねえ」


御家人「はい! それで、ご褒美はないんですか?」


時宗「え? ないよ。だった防衛戦だったんだもん。土地も奪ってないし、ガード固めるのにお金いっぱい使っちゃったっし、渡せるものがないんだよ」


御家人「そ、そんな、俺たち頑張ったのに、ただ働きなんですか!?」


 本来なら攻め落とした相手の領地を、活躍した者に与えたりして、なんらかの恩賞をあげるのが通例でしたが、時宗の言葉通り、今回は防衛戦です。


 相手の領地を奪ったわけじゃないので、得られるものが少ない戦いだったのです。


 御家人の不満はつのり、幕府は防衛にお金を使いすぎて経済難におちいり、北条家は徐々に傾きはじめたのです。

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