第17話 源平合戦 その1

【牛若丸(源義経)登場!】

 ここは京都にある五条橋の上です。なにやらゴツいおじさんが立っていますね?


 お話を聞いてみましょう。


 あの、貴方は何者で、何をしてるんですか?


弁慶「俺は弁慶! ここを通るサムライを倒して刀を1000本集めている。あと一本で目標の1000本を達成できる! どうだ俺は強いだろ! ガハハハハハ!」


 そうですか、スタンプ感覚で刀を集めているんですね。


 おや? 五条橋に誰かが通りかかりましたね。ゴツいおじさんと対照的な、韓流アイドルのように小柄で華奢な美男子が横笛を吹きながら現れました。


 しかも韓流アイドルのような美男子は、腰から刀をぶらさげていて弁慶の目が光ります。


弁慶「俺はサムライを倒して、刀を1000本集めている! お前のその刀はもらった!」


 おっと、弁慶が美男子に襲いかかりました! しかし、美男子は動揺する事なく不敵に笑っています。


 美男子は弁慶の攻撃を華麗に避けると、すねを蹴りました。


弁慶「いたーい (>_<) 」


 急所である脛を蹴られた弁慶は、痛みに耐えられず倒れました。


弁慶「お、俺を倒すなんて、何者だ!?」


美男子「僕の名は牛若丸うしわかまる


弁慶「牛若丸様、どうか俺を家来にしてください!」


牛若丸「いいだろう。僕について来い」


 後の源平合戦で活躍する牛若丸(源義経みなもとのよしつね)と弁慶は 

こうして出会う訳です。

 もっとも、五条橋で弁慶と牛若丸が出会うお話は、後の創作であると言われています。


 牛若丸もとい義経は、保元の乱で活躍したサムライ、源義朝の息子です。


 一方、牛若丸の父である義朝ですが、保元の乱で一緒に戦った平清盛に殺されていました。


 父だけでなく、家族はほとんど処刑されてしまい、兄の源頼朝みなもとのよりともは島流しの刑にされていました。


 そう、源頼朝といえば、『1192(いいくに)造ろう! 鎌倉幕府』で有名な、鎌倉幕府を立ち上げる人物ですね。


 後に国の最高権力を握る源家ですが、ご覧の通り、現在の源家は平清盛にやられてしまい、衰退しています。


 一体、源家に何があったのか見ていきましょう!



【栄光の一族 平家】


 始まりは牛若丸がまだ産まれて間もない頃です。

義朝「くっそー! 平清盛の奴め! めっちゃムカつく!」


 義朝はなにやら怒っていますね。何があったのでしょうか?


義朝「保元の乱で俺の方が頑張ったのに、平清盛の奴よりも褒美が少ないんだ!」


 どうやら天皇から与えられた恩賞の差に、義朝は不満を抱いていたようです。


???「僕も今の朝廷が気に入らないんですよねー」


義朝「お、おまえはー!?」


信頼「僕の名前は藤原信頼ふじわらののぶより。一緒に朝廷と戦いましょう!」


 こうして義朝と信頼は結託したのです。そして……


清盛「ちょっと、三重県に行ってくるねー」


義朝「清盛の奴、出ていったな!」


信頼「今がチャンスですよ。やりましょう、義朝さん!」


 朝廷内で最大の武力を持っている清盛が、京都の都から離れている隙に、義朝&信頼は宮殿を襲撃しました。


 そして、天皇を幽閉して実権を握ろうとしたのです。

 

 しかし……


「清盛さーん、義朝と信頼が反乱を起こして、都が大変です!」


清盛「なに! 義朝の野郎! 許さん!」


 義朝&信頼のクーデターは、すぐに清盛の耳に届きました。


そして、清盛は急いで都に戻り……


清盛「こらー! お前達、俺がいない間に何してるんだぁ!」


義朝「やべー! 清盛が戻ってきた! 逃げよ」


清盛「清盛キック!」


信頼「ぎゃあああああ!」


 都に駆けつけてきた清盛によってクーデターは鎮圧され、藤原信頼は死亡。


 義朝はなんとか都から逃げ出すも、部下に裏切られて死亡。


 反乱を起こした源家の一族は、戦死もしくは処刑されてしまいました。

 残されたのは僅かな一族と、まだ幼い源頼朝と源義経の兄弟でした。


清盛「頼朝と義経は、まだ子供だから、見逃してやるか」


 こうして命まで奪われなかった頼朝は静岡県の伊豆に送られ、義経は京都のお寺に預けられました。


 こうして源家は衰退していくのです。


 反対に平家はライバルである源家を倒したので敵なしの状態になり、栄華を極めていくのです。


 源家が衰退し、平家が繁栄した、この戦いは『平治の乱』と言います。


 さて、平治の乱ですが注目するのは『サムライVSサムライによる戦い』という点です。


 保元の乱はサムライの介入があったものの皇族同士の戦いでした。


 なので飛鳥時代から続いてきた『天皇、貴族(豪族)、仏教による三つ巴の覇権争い』という構図があてはまります。


 しかし平治の乱はサムライ同士の戦いなので、この構図が当てはまりません。


 時代の変化を表している戦いと言えますね。



【豪傑なる一族 平家の繁栄!】


 次々と戦いに勝ち、力と名声を上げた平清盛は朝廷で、どんどんと出世していきました。


 そして、自分の権力を確かなものにするため清盛が行ったのは、自分の娘を天皇の嫁にして男の子(皇太子)を生ませる事です。


 そう、やってる事は以前お話した藤原道長と同じです。

 

 清盛は娘の徳子を高倉天皇に嫁がせて地位を固めていきますが、ここで反対勢力が現れました。


 その人物というのは……


後白河上皇「清盛、ちょっとやり過ぎだ。政権を取り返さないと!」


 そう、保元の乱を起こした後白河上皇が、朝廷内でやりたい放題している清盛に反感を持つようになり、クーデターを起こしますが……


清盛「いらない、上皇はしまっちゃうよー♪」


後白河上皇「やめて、しまっちゃダメ!」


清盛「邪魔な上皇は、しまっちゃおうねー♪」


後白河上皇「いやああああああああああ!」


 打倒清盛をかかげクーデターを計画した後白河上皇でしたが、あっさりと鎮圧されて、しかも幽閉されてしまい、政権を奪われてしまいます。


 その後、徳子が妊娠します。そして……


「おぎゃー、おぎゃー」


清盛「ついに子供が産まれたか! 見せてみろ! やったー、おち○ち○がついてるー! 俺は皇太子のおじいちゃんだー!」

 

 思惑通り男の子が産まれ、朝廷は清盛一色に染まっていきます。


清盛「高倉天皇、皇太子もいるし、そろそろ退位して」


高倉天皇「ええ、でも……」


清盛「いいから退位しろ! お前も後白河上皇みたいにしまっちゃうぞ!」


高倉天皇「はい……わかりました」


 なんと清盛は高倉天皇を無理矢理退位させ、ゴリ押しで自分の孫を天皇に即位させ、安徳天皇が誕生するのですが……


安徳天皇「ハーイ、チャーン、バブー」


 なんと安徳天皇はこの時まだ1歳くらいの、赤ちゃんだったのです。


清盛「安徳天皇はまだ赤ちゃんだからねー。仕方がないから、おじいちゃんの俺が政治するよー。文句ある奴は殺しちゃうから、覚悟してねー」


 勿論、幼い安徳天皇は清盛が政権を握るためのマリオネットに過ぎません。


 こうして、朝廷は完全に清盛に支配され、平家にとって都合のいいように政権を動かしていきました。


 清盛が独裁政治を行っている一方で、源頼朝と源義経という反逆の芽は確実に育っていたのです。

 

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