第15話 ラッキーボーイ登場!? 藤原道長

 平将門の乱が発生した西暦900年~1000年の間は、あの有名な陰陽師である安倍晴明が活躍した時代です。

 しかし日本史にはあまり関係ないのでカットします。


 ごめんね。安倍晴明(;>_<;)


 ですが、安倍晴明に関してはこちらでお話してるので、気になる方は読んでみてください。ミステリアスな陰陽師の世界が、楽しめます(^-^)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922097870/episodes/16816452219390533836



 今回注目するのは陰陽師ではなく、安倍晴明とほぼ同時期に活躍した『藤原道長ふじわらのみちなが』という男です。


 彼は「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠たることもなしと思へば」と言う有名な歌を詠みました。


「という事は有名な歌人なの?」と思いそうですが、道長は政治家です。

 しかもただの政治家ではなく、とても“運がよかった男”です。


 つまり『ラッキーボーイ』ですw


 それでは藤原道長がどんな人物だったのか見ていきましょう!



【摂関政治ってなに?】


 平安時代になると『摂関政治せっかんせいじ』というものが登場しました。

 

 これは“天皇が幼かったり、女性だった場合に、代わりの人が政務を行うシステム”です。


 しかし、これは飛鳥時代からありました。


 そう厩戸王(聖徳太子)がしていた『摂政せっしょう』という役職ですね。

 また中大兄皇子も皇太子ながら、政務を行っていたので摂政といえます。


「あれれー? 『摂政』も『摂関』も同じだよね? なにが違うの?」という話ですが……


 厩戸王も中大兄皇子も、どちらも皇族です。

 飛鳥時代から続いてきた『摂政』の職には皇族がつくのが、通例でした。


 つまり天皇のサポートは、皇族じゃないと出来なかったのです。


 しかし、平安時代になると、藤原氏出身の藤原良房ふじわらのよしふさという人物が摂政になります。

 

 皇族以外の人物が初めて摂政の職についたのです。


 摂政は天皇が成人すれば政務は終わるのですが……


藤原「天皇が大人になると俺の時代も終わっちゃうなぁ。もっと政権を握ってたいよ。そうだ! 天皇をサポートするという名目で『関白かんぱく』という役職つくって政権を握り続けよう」


 こうして、天皇が成人しても政務を行う事の出来る関白という役職を作り、藤原氏は政権に関わり続けたのです。


 つまり『摂関政治』というのは、『摂政+関白』の合わせ技であり、「ずっと俺のターン!」を維持させるものとして登場したんですね。


 これは藤原氏と天皇家の力関係が、同等になってきた事を意味しています。


 ここでも『天皇と貴族の覇権争いの図』が見えてきますね。



【奇跡を起こした男!? 藤原道長】


 藤原氏が「ずっと俺のターン!」を実現させる為に出来た摂関という役職ですが、簡単になれるものではありませんでした。


 摂関になるためには条件があって……


1、娘が天皇の妻になる事。


2、娘が男の子を生むこと。 

 

 この2が必要だったのです。


 なので道長はなんとしても自分の娘を、天皇に気に入ってもらいたかったのです。そこで道長は……


道長「ちょっと、娘に勉強教えてくれる?」


???「いいわよ」


道長「頼んだぞ。紫式部」


紫式部「私に任せておいて」


なんと有名な紫式部を娘の家庭教師につけさたのです。


 これは現代で言うと、有名小説『君のすい臓を食べたい』を書いた女性作家、住野よるさんを娘の家庭教師にするようなものですね。


 こうして道長は娘達を教養と知性を兼ね備えた、才女にしたてあげました。


 そして……


一条天皇「あの子、めっちゃ可愛いな。私の嫁にしよう」


 道長の思惑通り、娘が天皇に気に入られ嫁になりました。

 しかし、男子が生まれなければ摂関にはなれません。


 こればかりは、運次第です。


「おぎゃー、おぎゃー」

 

 子供が産まれたようです。ちょっと、見てみましょう。


 おや? おち○ち○がついてますね。


道長「よっしゃー! 男の子が生まれた! 俺が摂関だぁぁぁぁぁ!」


 こうして1と2の条件を達成できた道長は摂関になれたのです。

 

 しかもこの奇跡は一回だけありませんでした。


 次の天皇も、そのまた次の天皇も、娘が嫁に行き、しかも男の子を生みました。


 道長の娘の三人が三人とも天皇に嫁いで、しかも全員男の子を生むというスーパーミラクルを起こしたのです。

 

 こうして道長の権力はものすごいものとなり、30年間も摂関として政権を握っていたのです。


 道長という男がとてつもないラッキーボーイだった事がわかったところで、もう一度彼の歌を見ていきましょう。


「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠たることもなしと思へば」


 この歌を現代語になおしてみましょう。


「この世ってさ。俺のためにある世界だと思うんだよね。満月のように欠けたところがない、完璧なものじゃない」


 という、とてつもない天狗発言なのです。


 この歌を一言で表すなら「イッツ・パーフェクト・ワールド」といったとこでしょうか。


 ラッキーボーイ道長の有頂天っぷりがわかります。


 栄華を極めた藤原氏の摂関政治でしたが、ピークいつまでも続くなんて事はありません。


 絶頂の後に待っていたのは……そう、失墜です。


 何度も何度も娘が天皇に嫁いで、しかも男の子を生む、なんてラッキーは続きませんでした。


 道長の息子が跡を継いで摂関になりますが、都合よく男の子は生まれず藤原氏による摂関政治は終わります。


 さて、藤原氏が作った関白という役職ですが、戦国時代に大きな影響を与えます。


 しかし、まだ先のお話なので、頭の片隅にでも置いておいてください。

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