第四章 平安時代編
第13話 男たちの熱い友情から始まった平安時代!
【平安時代スタート】
桓武天皇「坊主ども! お前ら政治に口出しするんじゃねーよ! いい加減にろ!」
うわ! いきなり天皇がキレてますね。
というのも、道教の一件以降、力をつけた仏教勢力が政治に介入するようになったのです。
桓武天皇「坊主ども口出ししてきやがって! ウザいな! そうだ都を移して、坊主から離れちゃえばいいんだ!」
こうして桓武天皇は奈良県の平城京から、京都の長岡京に都を移しました。
その目的は、桓武天皇の言葉通り、仏教勢力から物理的に距離をとるためでした。
また長岡京は桂川、宇治川、淀川などの水路に恵まれており、船で効率よく物資を運ぶ事が出来るのです。
やったね桓武天皇! と言いたいところですが、水路に恵まれている反面、長岡京は洪水が起きやすかったのです。
しかも相変わらず天然痘は猛威を振るい、散々な事ばかりでした。そこで桓武天皇が占いを行わせたところ……
占い師「長岡京は怨霊に祟られてます」
このような結果が出たのです。
桓武天皇「長岡京はいかーん! 都を移さなければ!」
占いの結果によって都(首都)を変えるなんて、現代人からすればとんでもない話ですが、当時の人々は真剣に祟りや怨霊を信じていたのです。
今まで歴史を見てきたので、わかってくれていると思いますが、昔の朝廷はスピリチュアルに振り回されています。
こうして長岡京は捨てられて、794年に都が平安京に移り、平安時代が始まります。
【平安時代ってどんな時代なの?】
皆様は平安時代と聞いて何を想像するでしょうか? 貴族同士で
まあ、大体そんなイメージです。
というのも平安時代は『国風文化』が花開いた時代だからです。
「国風文化ってなに? 難しそう!」と思わなくても大丈夫。
簡単に言うと『国風文化というのは、“日本っぽい文化』の事です。
たとえば『竹取物語(かぐや姫)』、『源氏物語』、『枕草子』などの文学作品が誕生したのが平安時代です。
また『
なので人気漫画『ちはやふる』の原点が平安時代の国風文化と言えます。
また日本の怨霊伝説で知られる
さらに、陰陽師で有名な安倍晴明もいます。
このようにオカルト面でも、後世まで伝わっています。
また面白いのは、飛鳥時代~奈良時代にかけての『天皇、豪族(貴族)、仏教』による三つ巴の覇権争いの構図が変わってきます。
桓武天皇が仏教勢力を弱めるために行った首都の移動は思惑通り進み、お坊さんは大人しくなりました。
しかもこの頃に、
密教というのは、早い話が「ひたすら修行するべし!」というものです。こうして、仏教勢力は都離れた山で修行するようになりました。
三つ巴の覇権争いは『仏教』の部分が空くわけですが、まるで空白を埋めるように新たな勢力が出てきます。
それはサムライです。
そう、織田信長や徳川家康につながる戦国武将の原点は、この平安時代にあったのです!
ミステリアスな陰陽師、華やかな平安貴族、恐ろしい怨霊、そして雄々しいサムライ。色んな漫画やアニメ、ゲームの元ネタにった人物やエピソードが平安時代には詰まっています!
それでは、華やかな貴族の時代、平安時代を見ていきましょう!
【東北は日本じゃなかった!? 】
都を移した桓武天皇ですが、もう一つ成し遂げたい事がありました。それは
蝦夷というのは、かつて東北地方にいた大和朝廷に属さない集団の事です。
このように東北は大和朝廷の範囲外でした。なので桓武天皇の時にはまだ、東北地方より向こうは日本じゃなかったのです。
この状態を現代に例えると、京都の人が北海道にジンギスカン鍋や、岩手県にわんこそばを食べに行こうを思ったら、パスポートが必要になるという事です。
東北をなんとか手に入れたい朝廷は『征夷大将軍』という役職を作りました。
「征夷大将軍って徳川家康とか、足利尊氏とか幕府のトップだよね。国の最高権力者じゃないの?」と思う人も多いんじゃないでしょうか。
実はこれは半分正解です。
というのも、征夷大将軍が国の最高権力者を表す称号になったのは途中からで、元々は違う意味があったのです。
『征』=『征服』を表し、『夷』=『蝦夷』を表しています。
つまり征夷大将軍というのは、『蝦夷(東北)を征服するための将軍』という意味なのです。
初めて征夷大将軍が現れたのは奈良時代の最初の方でした。
多治比縣守、残念!
朝廷VS蝦夷の争いは何度も起こっており、何度も征夷大将軍を東北に送っていました。
しかし蝦夷を倒す事が出来なかったのです。というのも蝦夷には……
???「東北はオラが守るだぁ!」
民衆「アテルイ様! オラ達、大和朝廷が怖いだぁ!」
アテルイ「大丈夫。大和朝廷はオラなんとかする。だから安心しろ!」
このように住む蝦夷たちには、アテルイという強力なリーダーが統率をとっていたのです。
一方、東北から離れた平安京の都では……
桓武天皇「ぐぬぬ、アテルイめ! あいつのせいで、東北が征服できない」
桓武天皇は東北まで領土を広げるためにも、アテルイを何とかしたかったのです。
しかしアテルイはとにかく強かった! 朝廷軍はアテルイを倒すために10000人の兵士を送ります。
対するアテルイ軍は1000人。
「いやいや、勝負はもう見えてるでしょ。アテルイは大人しく降伏したほうがいいんじゃないの?」と言いたくなるような戦力差ですが、アテルイが連勝を続けるのです。
なぜならアテルイ軍は朝廷軍を谷間や河辺に誘い込み、逃げ場がなくなったところで一気に奇襲をかけるゲリラ戦術だったからです。
アテルイの統率力と地の利をいかした戦術に、朝廷軍な何度も苦汁を舐めさせられます。
もはや東北はアテルイの無双状態だったのです。
しかし、ある軍人が登場した事により、状況は変わります。
【本当に意味での鬼嫁を持っていた
桓武天皇「もう、アテルイをなんとかしてちょうだい!」
???「桓武天皇。私にお任せください!」
なにやら、凛々しい武人が現れましたね。何者でしょうか?
桓武天皇「
坂上田村麻呂「この坂上田村麻呂。必ずやアテルイの倒してみせます!」
ここで登場するのが坂上田村麻呂という人物です。
この男とにかく武勇に優れた人物で、あだ名は『
しかも金色のヒゲを生やしていたと言われているので、おそらくサイヤ人に違いありませんw
さらに山に住む鬼の女を嫁にしたという伝説も残っています。つまり、比喩ではなく言葉通りの『鬼嫁』が奥さんだったのです。
リゼ○のレムと結婚するようなものですね。スバ○君よりも、先を進んでいたのが坂上田村麻呂といえますw
また『怒って目を鋭くすれば猛獣さえも恐怖で死んでしまうほどだが、ニッコリと笑えば子供もすぐになついてしまう』と言われているので、悪党には容赦ないけど子供には優しい『北斗○拳』の主人公ケンシ○ウのような人物といえます。
強さと優しさ、そしてカリスマ性を持つ田村麻呂は、『ドラゴ○ボール』と『北斗○拳』を掛け合わせた、
『東北で無双している最強の男アテルイ』VS『
田村麻呂はまず副将軍として、東北へ向かいました。
アテルイ「朝廷軍め! またぁ来たのがぁ!」
田村麻呂「むむ! あいつがアテルイか! だが、貴様の運命はここまでだ!」
アテルイ「なんだおめぇ! 初めて来る奴だなぁ。けど、結果はおんなじだぁ!」
田村麻呂「あたたたたたたたたたたたたた!」
アテルイ「うおりゃああああああああああ!」
田村麻呂とアテルイが激しくぶつかり合います!
東北最強の無双男アテルイと、
この熱いバトルは目が離せません!
田村麻呂「その首、もらった!」
アテルイ「ぬるい! そんな技、オラには効かないだぁ!」
田村麻呂「なに! バカな私の攻撃が通用しないだと!」
アテルイ「東北パンチ!」
田村麻呂「うわああああああ!」
なんと、田村麻呂をアテルイが倒しました! しかし、田村麻呂はまだ立ち上がれます。
田村麻呂「くそっ! こいつ、強い!」
アテルイ「オラの攻撃を喰らっても生きてるなんて、おめぇやるなあ!」
田村麻呂「ダメだ! このままじゃやられてしまう! 逃げるぞ!」
アテルイに押されて戦況が不利だと判断した田村麻呂は、東北から引き上げて行きました。
田村麻呂「あんなに、強い男は初めてだ。敵ながらやるな」
田村麻呂は、敵ながらアテルイの事を認めていたのです。
アテルイと田村麻呂、最強に2人の戦いはまだ終わったわけではありません。このあと、どうなるのでしょうか。
【昨日の敵は今日の友 最強の男達に芽生えた友情】
田村麻呂は征夷大将軍に任命され、再び蝦夷に挑みます。
田村麻呂「アテルイは強い。正面からまともに戦って絶対に勝てない。しかし、勝機はある!」
田村麻呂はどうやって、アテルイを倒すのでしょうか?
田村麻呂「やあ。蝦夷の人達」
蝦夷の人「うわ、田村麻呂が攻めてきたぞ!」
田村麻呂「違う。今度は争いに来たんじゃない
蝦夷の人「ほ、本当か?」
田村麻呂「実は美味しい“お米”という物を持ってきたんだ。食べてみないか?」
蝦夷の人「じゃあ、一口だけ……こ、これは、美味すぎる!」
田村麻呂「お米の作り方を教えてやろう」
蝦夷の人「田村麻呂、あんたいい人なんだなぁ」
こんな感じで、直接ぶつかり合うのではなく、稲作や最新の農業技術を蝦夷の人も教えて懐柔させいったのです。
そう田村麻呂は、にらむだけで猛獣もショック死させるほど恐ろしい武人ですが、笑えば子供がすぐになつくカリスマ性も持ち合わせている人物です。
力はなく、カリスマ性を発揮して、蝦夷の人を取り込んでいきました。
蝦夷の仲間たちは田村麻呂に懐柔され、領地もゆっくりと着実に奪われていきます。
そして、追い詰められたアテルイは……
アテルイ「オラの負けだぁ」
なんと、田村麻呂はアテルイと直接戦う事なく降伏させたのです。
田村麻呂「私をここまで追い詰めたのはお前だけだ。敵ながら尊敬している。それに、私はお前の命を奪いなくない」
アテルイ「た、田村麻呂……」
田村麻呂「アテルイは蝦夷の人々に信頼され、とても優秀な人物だ。これからも東北はアテルイに任せたいと思っている。一緒に朝廷行って、天皇に東北はアテルイに運営させるようにお願いしよう」
「昨日の敵は、今日の友」という言葉通り、争っている内に田村麻呂とアテルイの間に友情が芽生えていたのです。
まさに
こうして、田村麻呂はアテルイを連れて都に戻りました。
桓武天皇「田村麻呂、よくやったね!」
田村麻呂「ありがとうございます。アテルイですが、人望が厚く統率力もあり、大変優秀な人物です。なので、東北に戻し今後の蝦夷はアテルイに任せるべきです」
桓武天皇「ふーん、田村麻呂はアテルイの命を助けたいの?」
田村麻呂「はい!」
桓武天皇「だめ! 死刑」
田村麻呂「アテルイを殺してしまっては、蝦夷の反感を買います。これでは争いはおさまりませんよ!」
桓武天皇「だめ! アテルイを戻したら反乱を起こすに決まってるから」
田村麻呂「そ、そんな……アテルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!」
田村麻呂の願いは虚しく、アテルイは処刑されていましました。
平安時代は田村麻呂とアテルイという、朝廷の英雄と東北の英雄の熱いバトルと、男同士の友情から始まるのです。
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