第362話 クラウディア発見!
ついにクラウディアさんを捉えた。
シャーロットとローレンスさんの兄妹は一刻も早く現場に向かおうと躍起になっており、それを落ち着かせながら移動を開始。
目的地まではそれほど距離もなかったのですぐに到着。
森の間を通る整備された道――恐らく、普段は交易路として使用されているのだろう。
そこにはいつもの見慣れたメイド服ではなく、私腹を着用したクラウディアさんがいた。
「「クラウディア!」」
真っ先に叫んだのはシャーロットとローレンスさんのふたり。クラウディアさんにとっても聞き慣れた声だけあってすぐにこちらへと振り返る。その表情はいつも冷静な彼女からは想像できないほど動揺したものだった。
「シャ、シャーロット様……それにローレンス様まで……」
「俺たちもいますよ、クラウディアさん」
「ベイルさん!? それにみなさんも!?」
よほど驚いたのか、いつもだったら聞けない大声まであげるクラウディアさん。
たぶん、追ってくるかもしれないという予想はあったのだろうが、まさか見つけられるとは思っていなかったようだ。
まあ、樹神の剣の新しい力を使って調べたんだから彼女が知らないのは当然。
――けど、状況は想像よりややこしそうだ。
まず、クラウディアさんは馬車に乗っていた。
御者の横に座っていたのだが……その御者というのがどうも彼女と知り合いらしいのだ。
「誰? 前の職場の人?」
「え、えぇ、私が仕えていたブラファー家の御令嬢と御子息です」
「ふーん……」
声からして女性というのは分かるのだが、顔は布を巻いて隠しているため表情までは読み取れない。
ただ、あまり俺たちをよく思っていないというのは態度でなんとなく察せられた。
「それにしても、まさかこんなに早く追いつかれるなんて……ていうか、あんたたちにとってはただの使用人でしょ? 貴族なら他にもいるんだし、わざわざ追いかけてこなくても――」
「貴様は何も分かっていないようだな」
「そうですわ!」
御者の女性の言葉に、ブラファー兄妹は猛反論。
「我ら兄妹にとってそこにいるクラウディアの存在がどれほど重要なものか議論する余地があるようだ」
「お兄様の言う通りですわ! ――って、お兄様もクラウディアをそこまで大切に思っているのですか?」
「分かったのならクラウディアと話をさせてもらおうか!」
妹からの素朴な質問をスルーしつつ、クラウディアさんへと近づくローレンスさん。
――が、
「申し訳ありません……」
彼女の口から出たのは意外な言葉だった。
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