第358話 準備万端
俺たちはクラウディアさんを捜索するため、一度ツリーハウスに戻って準備を整える。
「よし。こんなもんかな」
今回は長期滞在ではないので軽めの荷物となっている。
距離はかなり遠いため、今回はシモーネ(ドラゴン形態)の力を借りるとしよう。
「あとは念のため食料を少し持っていって――」
「武器の数が少々不安だな。君たちの戦闘スタイルは熟知しているつもりだが、それでももう少し補充をしておくべきだろう」
「なるほど。確かに――って、ローレンスさん!?」
しれっと俺たちに混ざっていたローレンスさん。
屋敷で別れたはずなのに……なんでここに?
「あの、どうしてローレンスさんがツリーハウスに?」
「なんだ。俺がいては不服か?」
「不服というか不思議なんですよ」
「安心しろ。有事の際は俺が指揮を執る」
ダメだ。
会話が成立しない。
しかしここでローレンスさん翻訳係ことシャーロットが割って入った。
「お兄様、いい加減にしてくださいまし。どうしてここにいるのか、きちんとした理由を話してくださらなければ納得がいきませんわ」
「ぐっ、シャーロット……」
溺愛する妹に真正面からそう言われてしまってはさすがに答えないわけにはいかない。
観念したローレンスは事情を説明し始める――のだが、内容としてはこちらの予想通りであった。
掻い摘んで説明をすると、クラウディアさんを連れ戻したい気持ちはあるものの肝心の居場所が分からず、見当すらつかない。そんな時、俺がみんなに話していた内容の一部分を偶然聞いてしまい、ダンジョン農場までやってきたという。
「俺も君たちに同行させてほしい」
「分かりました」
「最初からそういえばいいのですわ」
俺たちとしては断る理由もないし、彼がいてくれた方が頼もしいのも事実。
……それはさておき、ひとつ疑問が。
「ところでローレンスさん」
「なんだ?」
「騎士団のお仕事はいいんですか?」
「案ずるな。すでに休みをもらってきた。かれこれ五年ほど休みを取っていなかったので騎士団長は驚いていたがな」
「そ、そうなんですね」
ローレンスさんって……昔の俺と同じで社畜体質?
いや、騎士団って警察みたいなポジションだから一概にそうとも言い切れない――のか?
ともかく、これで準備は万端。
いよいよクラウディアさん捜索に本腰を入れられるぞ。
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