第320話 謎の巨大竜
竜人族の里で遭遇した超巨大ドラゴン。
シモーネのドラゴン形態もかなり大きいのだが、あっちはレベルが段違いだ。ヤツと比較したら小さな子どもに見えてしまうくらいの差がある。
サイズ感に圧倒される俺たちだが――ただひとり、ヴィネッサだけは違った。
「許さねぇ……」
あの大きなドラゴンに相当恨みがあるらしく、怒りと憎しみが混ぜられた目で睨みつけている。これはかなり根深い問題がありそうだ。
身動きが取れない状況にあった俺たちだが、そこへ声をかけてくる男性が。
「お、おまえ……もしかしてヴィネッサなのか!?」
竜人族の男性だった。
人間の姿で見る限り年齢は俺たちよりもひと回り上くらいで、ヴィネッサの知り合いみたいだ。どんな関係なのかと思っていたら、
「なんだ、兄貴か」
あっさりと真相発覚。
声をかけてきたのはヴィネッサのお兄さんだった。
「いやぁ、何百年ぶりだろう……元気にしていたか? いつこっちへ戻ってきていたんだ? ご飯はちゃんと食べているのか?」
「一度にいろいろと聞きすぎだし、その過保護ぶりもやめろ」
「そうは言うがなぁ」
どうやら、ヴィネッサのお兄さんはかなり心配症のようだ――って、なんだかこの一連の流れ……過去にどこかで体験したような?
「あの方も自分の兄に苦労されているのですわね……」
しんみり語ったのはシャーロットだった。
……そうだ。
ヴィネッサのお兄さんの言動はシャーロットの兄であるローレンスさんに通じるものがある。あの人もめちゃくちゃシスコンで、常に妹を気にかけているかなぁ。
まあ、ローレンスさんの場合はうちの実家がブラファー家との婚約話を反故にしてしまい、一時期シャーロットが落ち込んでいたのが原因だろうから俺も責任を感じているんだけど。
ともかく、里に身内がいるなら話は早い。
シモーネもあの巨大竜が気にかかっているようだし、詳しい情報を聞くとしよう。
と、いうわけで、まずは軽く自己紹介を行う。
それにより、ヴィネッサのお兄さんはハンデスという名前で、生まれた時からこの里で暮らしているらしい。
あと、もっとも重要な巨大竜についての情報だが、
「彼は……かつて竜王と呼ばれたドラゴンだ」
「りゅ、竜王!?」
それってつまり……ドラゴンという種族の王様!?
もしかしたら、各地で始まっているという竜王選戦と何か関係があるのか!?
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