第124話 初対面
スペンサーさんとモリスさんから、魔法兵団の団長を務めるディアーヌさんは城内にある団長室で俺たちを待っているというメッセージを受け取った。
ハリケーン・ガーリックを手に入れる旅へと出る前に、俺たちはディアーヌさんへ挨拶をするため城を訪れる。
うちではキアラがディアーヌさんと面識があるということで、会話もスムーズに進められるだろう。
やがて、案内役をしてくれた魔法兵団メンバーの足が止まる。
派手な装飾が施されたその部屋の奥に、ディアーヌさんが待っている。
そう告げられた俺たちは、ノックをして返事を待ってから中へ。
すると、
「えっ!?」
ディアーヌさんを見た俺は、思わず声が出た。
――が、俺だけじゃない。
マルティナもハノンもシモーネも、俺と同じように驚きの声をあげる。
さらに、
「ええぇっ!?」
一番驚いていたのがまさかのキアラだった。
……まあ、とりあえず、なぜ俺たちがこんなに驚いていたかというと――
「待っていましたよ」
落ち着いた口調でそう語るディアーヌ団長。
だが、その姿は――若い。
いや、若すぎる!
俺たちよりもずっと年下に見えるぞ!
外見から察するに、十歳くらいだろうか……。
いくら天才魔法使いとはいえ、限度ってものがありそうだが……それに、初対面である俺たちが驚くのはいいとして、一度会ったことのあるキアラがここまで驚いているのはなぜだろう。
その理由はすぐに本人の口から語れた。
「な、なんで!? 前に会った時は三十歳くらいだったのに!?」
「えっ?」
ど、どういうことだ?
もしかして、キアラが会ったというディアーヌ団長は別人? 影武者? いや、それならむしろこっちの団長が影武者っていう方がしっくりきそうなものだが……。
「久しぶりですね、キアラ。あの時のパーティー以来でしょうか」
目の前にいるディアーヌ団長(仮)は、キアラの名を知っていた。それに、パーティーのことも知っているみたいだ。
……ますます分からなくなってくる。
「あっ! もしかして!」
俺たちは軽くパニック状態だったが、キアラは何か気づいたらしい。
「魔法ですか!?」
「正解! 私の知り合いの魔女に教えてもらったんですよ。もっとも、あっちは常に幼女の姿でいるみたいですけど」
それってつまり……若さをキープする魔法ってことか?
「そ、そんな魔法が……」
「もちろん、そう簡単にできるものじゃないですよ。かなり厳しい制約が必要になってくるし――って、話が逸れてしまいましたね」
ディアーヌ団長は「コホン」とわざとらしく咳払いをしてから、
「初めまして。私が、クレンツ王国魔法兵団団長のディアーヌです」
そう名乗った。
見た目は子どもだけど、話し方や醸しだすオーラは大人のそれ……やっぱり、この子が――ああ、いや。この人が本物のディアーヌ団長なのか。
…………………………………………………………………………………………………
【お知らせ】
新作を投稿しました!
「聖樹の村で幸せなスローライフを! ~処刑宣告された少年は辺境の地で村長になる~」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860376109239
今回の新作はタイトルにある通り!
スローライフ×ハーレム×村づくりにプラスしてちょっとした「ざまぁ要素」もあります。
以上の要素がお好きな方はぜひ読んでみてください!
そうでもないという人もこの機会にぜひ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます