第65話 村の異変
※予約投稿の日付が間違っておりました……<(_ _)>
目的地であるネイサン村へたどり着いた俺たち。
だが、そこに村人の姿はなく、閑散としていた。
セルヒオの案内でグレゴリーさん率いるライマル商会の人々が先に到着しているはずなのだが……事態を把握するため、キアラが探知魔法で周囲を調べてみる。すると、
「! 大勢の人がこの先にいるわ」
どうやら、村人は一ヵ所に集まっているらしい。
「何かあったのでしょうか……?」
「あまりいい予感はしないが……」
村の異常事態が発生しているという噂。
それに、父親の様子がおかしくなったと訴えるセルヒオ。
どちらも明るい話題とは言い難い。
そんな中で村人が一ヵ所に集まっているという事態――なんというか、オチが読めた気がした。
「とにかく、その場所に行ってみよう」
「そうね。まずは状況をしっかり把握しないと」
「そうじゃな。そうするのがいいじゃろう」
とりあえず、意見はまとまった。
俺たちは馬車をその場にとめてから、キアラの案内で村人が集まっているという場所へ周囲を警戒しながら向かうことにした。
……集まっているのが村人とは限らないからな。
エーヴァ村で起きた木材絡みの事件のように、モンスターを使ってこの村の農業を妨害しようとしている者がいるかもしれないのだ。
慌てずゆっくり進んでいこう。
人が集まっている場所は村から少し外れたところ。
そこに足を踏み入れた俺たちは思わず、
「「「「「おお~!」」」」」
そんな声が漏れた。
視線の先には広大な平野――どうやら、このすべてが畑らしい。育てられている作物を豊富で、ついつい目移りしてしまう。
俺としては他の四人とは違う点についても感動を覚えていた。
それは、目の前に広がっているこの景色が、ゲーム内で見てから思い描いていたものとまったく同じだったからだ。「こんな感じがなぁ」とおぼろげに脳内で実写化していたのだが……まさかここまで同じだったとは。
――って、いつまでも浮かれているわけにはいかない。
俺たちは人を捜しているんだった。
見たところ、この畑にはそれらしい人だかりのようなものは確認できないのだが……一体どこなんだ?
「キアラ、どこら辺に人がいるんだ?」
「この近くのはずなんだけど……」
近くに視界を遮るような障害物はないが……人の姿は確認できない――と、
「あれ? あそこに誰かいますよ?」
マルティナが誰かを見つけたようだ。
とにかく、その人と接触して事情を聞こうと思ったのだが、
「!? みんな、伏せるんだ」
俺は小声で四人に伝える。
最初は訝しがっていたのだが、
「あそこにいる人は武装している。ライマル商会の人じゃない」
これが決定打となり、全員はその場に身をかがめた。
俺たちの前に現れたのは、剣を装備した成人男性。それだけならば、ライマル商会の人かもしれないが……どうにもそんな感じではない。人相も悪いし。
じゃあ……あの人は何者なんだ?
しばらく様子を見ていると、
「あっ、増えましたよ」
シモーネが口走ったように、男の仲間と思われる人物がふたり登場。どちらも同じくらいの年齢の男性で、やっぱり人相が悪い。
「……もう少し、近づいてみよう」
幸いというべきか、俺たちの前には背の高いトウモロコシが並んでいる。これに身をひそめながら接近し、会話を盗み聞くことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます