2日目 ここは武器の店だ。ここで装備していくかね?
異世界といえば何を思い浮かべるだろう?
僕のイメージは、まずモンスターだ。
魔物、魔獣、亜人。そうでなくても野生の獣や未知の生物は恐怖でしかない。
そもそも言葉が通じるかわからない。通じたところで、野党山賊なんかが相手なら勝てる気がまるでしない。
通常のサバイバルアイテム以上に、武器が必要だ。
「結局日下部は何処に何しに行くんだよ?」
「廃墟探索って言ったはずだけど……気になる?」
土曜日。秋葉原駅で待ち合わせた僕らは、大通りを御徒町方面に向かって歩いた。
メイドカフェの客引きや電機屋が並ぶ通りを抜けて立ち寄った店はミリタリー専門店。
目の前の棚には大小問わず刃物が並んでいる。
「ってなぁ……これ、対人用の刃物だぞ? ミリタリーオタクですらこんなの買わねぇよ」
「……持ってないの?」
「……お前サバゲー勘違いしてないか?」
「じゃあおすすめを聞くのも難しいかな」
「だから何するんだって……」
高橋の話をかみ砕いたうえで総合すると、まず靴は登山靴がオススメらしい。
見渡す限り一面の霧に、足元はややぬかるんでいたのでこれは採用。
道らしきものが見えなかったこと、草をの背丈は確認していなかったけれど、湿地帯であれば草を払って進むこともあるだろうと思い、マチェットなる大ぶりの刃物を買った。
服飾に関してはキャンプ用品を最後まで勧められたが、色が派手だったため却下し、ハシゴして向かった別のミリタリーショップで迷彩服を購入。
途中、植生と迷彩効果の話を聞けたのは非常にためになった。
「リュックも迷彩かよ……本当に何するんだ?」
「廃墟探索って不法侵入じゃん? 目立ちたくないんだよ」
「それ、そのまま死んでも見つけてもらえないぞ……」
「死なないための装備探しだしね。肝に銘じておくよ。……プレートキャリアって。なんかゴワゴワしない? 防御力高そうだから買いたいんだけど……」
プレートキャリア。防弾性能のあるプレートを仕込める、チョッキのように羽織れる装備だ。
肩のアーマーはどこか安っぽいけど、もし屋内を散策することになるならこの防御力はありがたい。
もっとも、購入時点でついてくるプレートはダミーとのことなので、実際の銃弾は防げないらしいが、防御性能は重さに比例するのでないよりマシ程度に考えている。
「あぁ……あんまつけてる人いないかも。これとかいいんじゃね?」
ため息混じりに高橋が指さしたものは、プレートキャリアとはまた別のものだった。例えるならハーネスだろうか。モールという装備を拡張する仕組みが編み込まれたリグで、胸部分がかなり露出する形になってる。
「防御力皆無じゃん」
「見るとかそこかよ。これだと胸が圧迫されないし、モールで装備も追加できるぞ。……ポシェットとか、あとメディックポーチとかも買ってただろ?」
試しにつけてみると確かに胸部が楽になる。
腰が引き締まって動きやすさすら感じる。
「凄い……フィット感すごい」
「そりゃそうだろうよ」
高橋が鼻を鳴らす。
「だってそれ、女用だし」
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