第25話

誰も二代目を「日ぃ様」とは呼ばない。

心ごとのやり取りが出来てた者は皆、私を「日ぃ様」と呼んでくれた。

彼らに日ぃ様は二人といない。

それを知った時は心が温まった。


他者と比べるなど無用な事。

でもやっぱり嬉しいものだ。


女王は神事だけでなく、書類に目を通し、印を押したりもした。

それもこの二代目は、全て御簾の奥で。

しかもたいして見てはいない。形だけだ。

橋渡しは曽木がする。

その時も曽木は鏡を出しておいてくれた。

あれだけ面倒臭かったのに、参加出来て喜んでる自分が不思議だ。


ふと魏からの書簡を見た。


…ん?卑弥呼?

日御子と記されてない。


…ん?邪馬台国?

大和国(ヤマダコク)と記されてない。


魏は吾国を、こんなにも蔑(サゲス)んでいたのか。


こんな記され方をしてるのに、欲臣たちは満足気。

愚かさに、ぐっと冷める。


魏と同等かが一番大事なのではなく、他国にも記される事で、制度を盤石にする事に重きを置いているようだ。


一般との差別化、区別化、階級。

そんなに威張りたいか。

祟りを恐れるくせに、位置は死守する浅ましさ。


人に上下など無い。

九州の王国群の立派さを見せたいぐらいだ。

立場が上にいけばいくほど、下の者を守る義を持つ、本来の縄文気質を壊さないで欲しいと強く願った。

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