第19話
ある夜、国護の意志がはっきりしてからの日課である、神降ろしの精神統一を社殿で行っていた時、どかどかと崇神が入ってきた。
酒が入り、一層熱く臭い。
厳しく「神の御前ぞ。」と叱りつけた。
いつもなら怯(ヒル)み、捨てゼリフで離れる獣だが、その時は違った。
ずかずかと入り込み、近寄り、「おい!」と熱が膨張し、たぎった声。
「去れ。」と顔も向けずに投げた瞬間、ガッと肩を掴まれ、押し倒され襲われた。
一度も顔を合わせてやらず、身じろぎも抵抗もせず、まさぐりの間も無反応を貫いてやった。
閃光の痛みの時でさえ、死に体のように無反応。
…乱暴で粗末な一連が終わり、やっと離れた。
私もスッと立ち、乱れを静かに直していると、満足に大きく肩で息をする獣のさまが肩越しに見え、思わず「ふっ。」と嘲笑をもらした。
表情一変、目を大きく見開き驚く獣に
「吾に何かしたつもりか。」
と放った。
「俺のものになれぇぇ!!!ぎえぇぇぁぁー!」
と狂いの叫びを上げながら、自慢の重い斬馬刀のような太刀で、獣は私を重さに任せて深く袈裟斬りした。
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