第18話
いつからか、何処から来たのか、まとわりついてくる者がいた。
正真正銘、獣臭のする獣。
崇神(スジン)天皇だ。
弟?…あり得ない。
あの御仁の子である訳がない。
私の親とされている、覇気の無い開化天皇、皇后とも似ても似つかない。
面相もギラギラと吾国のものではない。
何処からでも辻褄合わせで持ってくる国の中枢部のあさましさに呆れた。
何かと鼻息荒く絡んでくる。
あー嫌い。
一層凛と、フンと無視する。
言葉を交わすのも汚らわしい。
仕事上、一緒に何かをする事が無いのが救いだが、暇を見つけては近寄ってきて困る。
短気で何かと大声で騒ぎ、周りも手を焼いている。
私も普段は嫌う「吾は神の子」を都合よく使い、触れさせないように、近寄らせないようにと頑張った。
その頃と前後して、私は欲の臣達にかなり意見をするようになっていた。
汚い決裁には筋の通ってないところを突き、押印しなかったり、皮肉を言って小バカにしたり…欲の亡者達に、笑顔など向けるものかと、侮蔑をそのまま態度にした。
策を盤石にする為にわざわざしつらえた野獣とわがまま神は、このプロジェクトがまんまと遂行するのを阻んだ。
いびつに膨らませた欲は障り無く繁栄する事は無い。
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