第17話

私はこの時と、あともう一度この生涯で父に会えている。二度目も仕事で出向いたのだが、またも膳立てにより会えて、幸せを味わっている。


二度目の時には私は何か気付いていた。

この人は私に近い人だと。

だから余計に幸福感が増した。

献帝の憂いが増した面持ちが、少し気にはなった。

自ら望んでも、会いたくても会えない境遇を恨んだりはしないが喜びはひとしおだ。


年頃になった私に合う土産物達。

どれも愛がいっぱいだ。

今回は櫛(くし)のような飾り物を、私の髪に着けてくれた。

見つめ合い、微笑み合い…。

もうこれだけで、品格落とさず遠くとも貴方がいてくれるだけで、私は負けずにいける。

どことは言えない共通点が血というものなのか。

存在証明がまじない以外に見つかったような…。

気を張って生きている分、敏感になっていただけなのかも知れないが、頑張っていた過去の自分を愛おしく思う瞬間でもある。

奴らに尻尾を振らなくてよかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る