第15話

入善から海。

陸に着くと案内臣が待っていた。

言葉がわからないが、振る舞いで教養と忠が伝わる、曽木と同じ信を持つ者だ。


宮殿内の謁見の間に通され、生まれて初めて段下に座らされた。

どかどかと偉そうな足音と衣擦れの音。

頭の下げ方を知らなかったので、伏目で凛と座したまま音主を少し見た。

曹操…ヤな感じ。

力?金?コネ?何でこの位置にいるかわからない程空っぽ。

頭は謀(ハカリゴト)にのみ使うようだ。

私を眺め回し「まぁいいでしょう。」といった感じで「ふむ。」と髭を撫でる。

獣臭のしない獣。

虫?爬虫類?こいつの描く世界の中に私は生まれたのか。


身支度させられ大仰な儀式。

何かを大和国にくれるらしい。

金印といわれるやつだ。

大和の欲臣らが恐れ入って喜んでいる。

君臨の為の道具かと呆れた。

何と重く大袈裟な。

旅行じゃなく、飾り巫女としての任務だと思い知り、一層凛としてみせる。

意地。…国の象徴か…。

内面など求められていない哀しさ。

開き直り生きると自らを諭す。


退屈が多かったが、宴などの面白いものもあった。

吾国に無い色使いの衣。

長い筒袖を振り回し、木、皮、金属、弦などを用いた音色に舞うのを高揚し夢中で観た。

終了後は楽器に触らせてもらったりと児に戻れる瞬間もあった。

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