第14話

温かい瞬間のお陰で、命の種火を絶やさず済んだが、人生の大半は欲の渦の中に鎮座させられていた。

「日御子儀」「女王」「神」等と崇められる形をとられたが、要するに王国要人の私欲の為の飾り巫女だ。

いけすかない。

いつもお願いばかりだ。

好むものや、強い衝撃以外の記憶は少ない。


いつもいる本部関係者は、私以外には尊大だが、同じ刀の柄模様の訪問者に対しては腰が低い。

…蘇我系か。

大和国の面相ではない。

半島より向こうの顔だ。

魏との仲介をしているのであろう。

私のところには滅多に寄らないが、ある時「洛陽」に出向いてくれと、頭を下げに来たことがある。

魏とは約束済みのようだったので私も形式的に「うぬ。」と諾した。

村より遠くは初めてなので、心なしか嬉しかったが、幼く心配で曽木を見ると、にっこり頷いてくれたので安心した。

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