第12話
戻った後、神通川の傍でよく採れる翡翠(ヒスイ)で、おにぎりのような勾玉を作り、民に礼として贈るよう曽木に命じ、交流を続けた。
心ほどけた帰り道に咲く梅花空木(バイカウツギ)もまた私を癒した。
群生場所での休憩をねだり、いつも存分に楽しんだ。
甘やかな香りに可憐な白い花がたくさん。
…これになりたい。
転生があるなら次はこれになりたいと、時を忘れて浸った。
いつか曽木が「持ち帰らせましょうか?」と聞いてくれた。
私は悩みに悩み、断った。
「ここにおる方が無邪気であろう。」
曽木は瞬時に私と重ね悟り、「出過ぎました。」
と一人にしてくれた。
花の中で私もまた自らの人生の悲しみを強制自覚する事となり、一段と強くなった。
負けないと誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます