第5話

漂い、気が付くと帰り支度の頃となっている。

到着時の、つぼみが膨らむ頃とは変わり、満開も終わり、青が目立つようになっている。


ちぬも変わった。

艶やかで自信に満ち溢れ、侍女振る舞いが見られない。

馬車も別の大型のいいものに一人ゆったり。

しろは一層下を向き、行きと同じ馬車。

私も、配置にでもつくように、先に飛騨に引っ張られた。

詞と鳴り物に呼ばれるように。

仕組まれた何かが始まっている。


飛騨に一団が帰ってきた。

祈祷を受けた後は、ちぬは社殿には入れなくなった。

かといって皇宮殿にも入れず、出向中に建てられた、書簡庫殿のような造りの建物内に、快適な居を与えられ、しろや出向を知る者達に世話をされ過ごした。


いずれも秘密裏。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る