国民的女優の美少女を陰キャの俺が助けたら俺は将来的に彼女とセックスする羽目になるらしいwwww
雲川はるさめ
第1話
助けた国民的女優の初恋の相手が実は陰キャの俺だった件→冷たく突き放したら意外な結末に
なったった
ある夏の日の
本屋からの帰り道での事だった。
大事件が起きた。
「う、うわぁ...!」
ドカーンと現在25歳の俺に体当たりをしてきた女がいた。それから直ぐに、その女に
背後に回られて俺はうしろから
ぎゅっと抱きしめられたんだ。
顔を真っ赤にして唖然としていると。
俺の前を
バタバタバタと若い女が一人と二人の
大柄な男が、駆け足で通り過ぎたと
思ったら、その
髪の長い女が
「助かった...」と後ろで小さく言ったんだ。
振り向くと、もう抱きついていた
両手は放してくれたが、
帽子を目深に被り、彼女はなんだか
落ち着かない様子でキョロキョロあたりを見回していた。
「どうしたの?」
と思い切って尋ねると、
「話があるの。山吹シンジくん」
「これから喫茶店でアイスコーヒーでも
飲まない?奢ってあげるからさ」
大変驚いた。
不思議なことに。
俺は彼女の名前を知らないが、
てか、初めて見る顔なんだが
彼女は俺のこと知っているらしかった。
俺の名前をフルネームで正確に
言ってみせた。
半ば強引に俺は。
彼女に腕を引っ張られ、
近くにあったお洒落な喫茶店に入ることと
なった。
彼女は汗だくで、
「あーあ、ずっと走って逃げていたから
喉乾いちゃった!」と言って
アイスコーヒーをほぼ、一気に飲んでいた。
彼女がウェイトレスに二杯目を注文したあと。
俺は単刀直入に彼女に聞いた。
「俺は君のこと全然知らないし、初見なんだけど。なんで君は俺の名前とか知ってんの?」
「ああ、それね。私と山吹くん、
小学校のとき同じクラスだったわよ?」
「え?マジ?」
俄かには信じられないが。
「君みたいな顔した子、クラスにいなかったけど...」
俺がこう言うと、
彼女はフッと笑ってこう言った。
「帽子外してメガネも取ったげる。
それから地味メイクも、落としてあげる、
と思ったけど、
めんどくさいから私の本名を教えてあげる」
「西野アイリだよ」
「え」
西野アイリ、その名前と。
彼女の声をよくよく聞いた時。
言われてみれば確かに昔の面影がなくはない。
目元が西野アイリっちゃあアイリだと思った。
小学生時代はふくよかだったけど、
随分と痩せて綺麗になってた。
きっと必死にダイエットでもしたのだろう。
俺が関心していると、彼女が
こう切り出した。
「山吹くん。早速だけど。本題に移らせて」
「え」
「私、山吹くんに一生のお願いがあるの」
「悪いんだけどさ。暫くの間、山吹くんの家に匿ってくれない?私、女優の仕事から逃げ出して来ちゃったの。映画の撮影が終わるまで、
てか、代役が決まるまで、お願いできない?」
「もうね、ネットで私、凄い叩かれていんのよ。役のイメージに合わないって言われてさ」
「はぁ?そんな理由で逃げてんのか?」
俺は冷たく言った。
先程。
彼女が眼鏡を外して見せたところで
俺は漸く気が付いたんだ。
目の前にいる女が。
国民的女優の西野アイカであることに。
「無理だね。今、撮影中の映画ってアレだろ。
少女漫画が原作のやつだろ」
「で、お前がイケメン御曹司の相手役の
貧乏女子高生の役を演じなきゃいけないんだろ」
「そーそー!そーなの...」
俺は。
思いきし、彼女の頬をビンタした。
「バカヤロー!せっかく手にした
役から逃げてんじゃねー!
一生のお願いをこんなとこで使うな!!
てか、俺に対して使うな!!」
「お前にしかできない、いい演技して
誹謗中傷した奴等を見返してみろよ!!」
「逃げずに立ち向かえ!
神は細部に宿る!って言葉を
胸に秘めて頑張れ!」
アイリはここで困惑の表情を浮かべた。
やや涙目になっていた。
「え、山吹くん...」
「どうして?小学校時代は
女子に外見からかわれてる私を
一生懸命庇ってくれてとても優しかったのに...!」
「わたし、熱心な漫画原作者の信者から
「主役の恋人の役だか全然イメージに合わない」「キャラが違う」「まじ、代われ」ってボロクソ言われて辛いのに...」
「なんか今の山吹くん、やけに冷たいじゃない...」
「昔の俺じゃねーんだよ」
俺が吐き捨てるよーに言ったところで、
さっき、アイリを追いかけていた
三人組がバタバタと鬼の形相で
喫茶店に入って来た。
「見つけたわよ!もう逃げられないんだから!」と彼女のマネージャー?なのか
ショートカットの若い女が大声で言って
俺らがいる2人掛けのテーブル席に早足で来た。
万事休すだな。
もう逃げられねーぞ、アイリ、と思った。
俺は、伝票を掴み、立ち上がった。
「じゃあ、あとは宜しくお願いします」
そう言って
アイリを芸能関係者だと思うが
三人に託したんだ。
「初恋の相手だったのに!
もう、大っ嫌い!」
そんな言葉が俺の背中に刺さったが、
これもアイリの為だと思ってわざと
俺は彼女を突き放したんだ。
こうして。
アイリは諦めたように
項垂れ、三人に連行されて行ったんだ。
さて。
小学校のときだけの付き合いだった
アイリと俺。
そのアイリと大人になって
あの日、突然の再会。
アイリのお願いを聞いてやらなかった
あの時から歳月が流れた今。
再会から現在までの間、
唯の一度も、
国民的女優が失踪したなんて
ニュースは流れなかった。
映画は無事、撮影を終えたようだった。
彼女は役から逃げなかった。
やがて、映画が公開され、
映画館は連日満席を記録した。
アイリが逃げずに挑んだ映画は大成功を
収めたと言っても過言ではないだろう。
世界的にヒットし、
しかも、
アイリは。
カンヌ国際映画祭、で女優賞
に輝くこととなった。
「この喜びを誰に伝えたいですか?」
「はい、撮影から逃げ出したあの日、
私に喝を入れてくれた男性です。
彼がいなかったら、役と向き合った
真摯な演技をすることができなかったと思います」
「神は細部に宿る、という言葉を私に
教えてくれたのは彼でした。
細かな部分までこだわり抜くことで全体としての完成度が高まる。
全体や見た目ばかりを気にして細かい部分を疎かにすれば、結果として作品全体の完成度も落ちる。だからこそ、本物は、細部に至るまで念入りにこだわりが貫かれている...」
「彼にはとても感謝しています」
「ゆくゆくは結婚したいと思います」
公共の電波中、
俺の名前がテロップで流れ、後に。
大変なことになったのは
ここに書くまでもない。
国民的女優の美少女を陰キャの俺が助けたら俺は将来的に彼女とセックスする羽目になるらしいwwww 雲川はるさめ @yukibounokeitai
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