終わる世界

第1話

　ネットを揺らす、ゴールの瞬間。世界はスローモーションになった。キーパーのあ然とした顔。歓声が響き渡る前の一瞬。世界が終わった。

　反転暗転。俺はおうちでまったりとゲームをしていた。終わりのないゲーム、服や家具をそろえ終わっても、図鑑をいっぱいにしても終わらない。島作り、服のデザインを悩んでいる。一本道を駆け抜けて海にダイブする。うまく回転が決まった！そのまま深く潜っていく。

　突然突風。私は空のなかでコントロールを失う。マリーが下で両手を広げてなにやら呪文を唱えているようだ。私は自分で魔法を使わずにマリーにまかせた。風に身をゆだねて、心地よいマリーの魔法にのまれていく。

　頭の中にテープの巻き戻しのようなキュルキュル音が聞こえる。はっきりとは言えないが何かがおかしい。なにがお菓子って？抹茶チョコだよ。おいしいって話。甘いもの食べるとひらめくって、集中力あがるってよ。

　痛い、殴られた。熊みたいな俺が小熊だったころ、マラッカ先生にはよく殴られた。俺はこの見た目だがマッチョなヒーローより、クールで知的な探偵に憧れてる。本当の犯人を突き止めてくれる。見た目だけじゃその人の正体は、真実はわからないのさ。いろんな見方ができるように。そういうことを教えられるようになりたい。

　咆哮、光線。怪獣、街を破壊するだけの生き物。パカパカ、ガラケー、古い端末。指先でスワイプ、スマホ、古い端末。家電、従順、ロボット、言いなりの機械。未知、遭遇。宇宙人、私たちのことを指す。空から来たからしかたない、怪獣と同じ。懐かしいふるさと。思い出の小さな世界。壊したくないものはかき集めよう。

　甘い花の香り、くらくらする。アリーさん、僕はもうここで生きていくしかないんでしょうか。彼と二人旅をしています。女の子って弱くて困る。僕がここに来たことでこの世界は、物語は変わってしまった。甘い花の香りがする。いいにおい。アイリ君、私はもうここで生きていくしかないんだろうか。番長になったぞ。男の体は強くていいな。私がここに来たことでこの世界は、物語は変わってしまった。

　好きです、森君。20回告白して振られて。21回目にいいよって言われた、卒業の日。私の卒業の日、森君から卒業しなきゃって思っていた。だけど森君、送辞読むんだもん。森君が立ち上がった時悲鳴が出そうになった。リハの時の子が欠席で森君かもなって思ってたけど。森君の声がしたとたん私の視界から森君が消える。

　明かりの妖精はお話しできますか？

　残念だけどできないのよ、翻訳しようと研究している人はいるわ。

　先生！おしがとうといってどういう意味？

　大好きな人が大好きって意味よ。大好きじゃ足りないくらいで、生まれてきてくれてありがとう！あなたは私の生きがいよって感じ。

　おさんぽはソロ◯◯に入るのかね？大丈夫？あ、そう？ならいいのよ。そろそろ終わりにしようかな。

　終わる世界

　ゴールしたのは誰？

　点をとったのは、得したのは？

　どちらにしても終わる世界

　そこがきたら終わりと知っている

　ゴールが近づいてる

　あと少しもう少しって、終わりを目指す

　いろんな名前のゴールがある

　期限、しめきり、時間内

　終了、おしまい、終わり

　死亡、生涯の幕を閉じる

　得点、決めた、入った

　スマホが手からこぼれ落ちる

　世界が終わった

　また始まる